空腹とウザイ後輩
「行ってきます」
写真に手を合わせて出発する。
今日はいつも以上に憂鬱だ。空腹なのだ。ダンジョンの帰りドロップアイテムの加速のローブは高く売れると言われたが着ていたローブは汚すぎて捨てるしかないし、性能がとにかく速くダンジョンの未だに見ぬアイテムを手に入れる自分の目的に合致していたため売らなかった。しかし空腹過ぎて売ったことを公開しそうになっている自分に腹が立っていた。
俺は空腹なんて気にならない後悔と痛みを知っているだろうが、そう思って昼休みを迎えると、ムカつくやつが来た。
「せーんぱい♡愛しの後輩が来ましたよ~」
「誰が愛しの後輩だ?どこにもいないようだが?」
「私ですよワ・タ・シ。まあ、本題に入りますが先輩そろそろ昔の女なんて忘れて私と付き合いましょ?」
こいつ昔の女って言ったか?玲歌のことを昔の女だと?しかも忘れろと……いつも付き合え付き合え五月蠅かったがもう許せん。玲歌のことに触れやがった。
【クラス視点】
あ、ヤバい。ヤバいよ、下関君は刃君を止めに行って。わたしは彼女に注意してくる。残ったみんなは何かあった時先生呼んできて!
クラスが騒がしくなってきたが関係ない。この女を二度と近づけなくしてやる。
拳を振り上げた。拳が当たる直前何かに止められる。
「おい!離せ!お前」
止める手を見ると下関だった。なぜ止める?この女に罰を与えなければ。
「お前!彼女がそれを望んでいると思っているのか?どうせ18になったから彼女を蘇らせられるアイテムを探しに行っているんだろ!彼女が生き返った時こんな行動を繰り返していたと知ったらどう思うんだよ。」
玲歌が生き返った時この姿を見たら……冷静になれた。ありがとう下関。俺はまれに玲歌関係で頭に血が上った時に周りが見えなくなる。そのたび下関に止めてもらっている。下関が間に合わず思いっきり殴ってしまったときは謹慎だったが次やったら最悪退学だ。退学なんてなったら流石に実家に帰らされる。あの愛の巣から離れることなんか絶対に嫌だ。止めてくれる下関に感謝してもしきれない。
少し時間が過ぎたところでウザイ後輩がクラスの女子になだめられて近づいてきた。
「先輩、申し訳ございませんでした。入学した時から一目惚れだったんです。先輩の過去を軽く考えて最悪色仕掛けしてでも私を見てほしかったのに、見てもらえなくて悔しくて、彼女さんに嫉妬してしまってこんなこと言ってしまいました。本当にごめんなさい。先輩のことは諦めます。彼女さん生き返ったらぜひ会わせてくださいね。」
「ごめんついカッとなってしまって、怖い思いをさせてしまい申し訳ない。彼女、玲歌が生き返ったら紹介するよ。しつこく傷心中の俺に色仕掛けしてきたかわいい後輩として。」
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