1章ネクロマンサー師匠
初ダンジョン
俺が初めてダンジョンに行ったのは18の誕生日だった。その時にはひとり暮らしだったため険悪な両親からは虐待扱いにならないよう最低限の生活費しか貰わずバイトも保護者の同意がなければできないため最低限の生活費を削って隠れてためていたなけなしの金でダンジョンへ向かった。
ダンジョンへついて俺は落ち込んだ……装備がないと入れないが装備が高すぎる。剣が最低でも10万。この世界のレートはどうなってるんだと頭を抱えた。とにかく安物を探していたがギリギリ買えそうなのは防具がないと心もとない短剣ぐらいで、18になったしバイトしてから買いにくるしかないのかと落胆していたら50%OFFという札のついた大鎌があった。あまりにも安いので訳ありかと思い店員に聞くと、剣よりは元々需要の関係上安い上、それでも想定していたより人気がなかったため半額にしているそうだ。なんでも店長が中二病は鎌とか好きだろ?と言って大量受注したせいだそう。
「あ〜中二病って言ってもその年齢じゃダンジョンに潜れないですもんね……」
店員と二人で苦笑いした。
扱いづらそうだが武器さえあればダンジョンに入れる。最悪殴る蹴るでもいいだろという考えで6万の50%OFFの3万で購入。店員は不良在庫を処分できた(面積とるし面倒だったそう)俺は安く武器を買えた。とてもWin-Winだった。
ダンジョンでは自分の情報を登録する必要があるそうだ。メインの武器と名前、住所、緊急連絡先さえ書けば良いそう。本人に何かあった時のためだけに使いますという規約を説明され意外と時間がかかってめんどくさかった。
ダンジョンの入り口では大鎌を背負って入ってくる素人がいるwと小馬鹿にされるが俺にはダンジョンに入るということで頭が一杯で全然気にならなかった。
【ダンジョン内】
『天恵を授けます』
天恵 それは神がダンジョンを攻略する人間に贈る力だとされている。天恵によって戦い方が決まると言われるくらい大切だ。
俺の天恵は……全属性無効化?全属性の攻撃や防御もすべて無効化する。
俺魔法使えないじゃん。ファイヤーボール!ってやりたかった……。
ダンジョン自体に向かない天恵でないだけラッキーと思い先へ進んだ。
「おりゃぁぁぁ」
大鎌を振り回しゴブリンを斬る。ゴブリンは別名、的と言われ初心者向けのモンスターだそうだ。とは言えモンスターだ、と警戒して挑んだ。意外とスパスパ切れて拍子抜けした。ただたまに周りを通る人に当たりそうになってキレられ何度か斬られるかと思った。
周りのゴブリンをとにかく殲滅していると、レアアイテムがドロップした。初ドロップで興奮が止まらなかった。『加速のローブ』速度が上がるという単純なローブだが、シンプルイズベストすごく強い。
ローブを手に入れてからは重くて扱いに困っていた大鎌を今までより遅く振るくらいの感覚で振ると、さっきまでの倍の速さで斬れた。強かった。あとで知ったが結構短剣使う人に需要があり高く売買されているようだ。
歩く体力のみになったところでゴブリンのノーマルアイテムである米粒程度の魔石を少しは生活費になると思い拾いつつダンジョンを出た。
「えええ!!!300円……」
栄養が片手間に摂れるもの6本分……さすがに厳しい。今月の生活費は、疲れ切った今背負うのにはクソほど重くて腹が立つこの大鎌になっているのだ。そう考えてたらもっとイライラしてきた。栄養取れるやつ4本買って帰ろ……。
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