☆ある男の日課☆

男は小鳥のさえずりで目覚めた


カーテンからわずかに差し込む光がなんとも心地いい


ゆっくりとベッドから起き上がりリビングに移動する


そして、コーヒーを片手に新聞を読む


これが男の日課なのだ


スーツに着替えると地下に停めてあるスポーツカーへと乗り込む


バックミラーでネクタイを直すと、サングラスをはめた


これが、男の日課なのだ


車のエンジンをかけると、体の芯にまで響くエキゾーストのサウンド


お気に入りの曲を聞きながら、海沿いの道を走る


これが、男の日課なのだ


どれくらいだろうか、ふと気付くとバックミラーにパトカーが映った


回転灯を点けている様子で、かすかにだが何か聞こえる


男は音楽のボリュームを下げ、耳を澄ました


「前の車止まりなさい!」


確かにそう言っている


勿論、逃げれば追いかけてくる事は容易に想像できる


「仕方ない、止まるか」


男はそう呟くと、脇に車を停めた


パトカーからは、二人の警官が降りてくる


警官が運転席に近づくと、何やら怒鳴っている事がわかった


男が車の窓を開けると、いきなり首元を捕まれ、車の外に出される


驚いた男は叫んだ


「いきなり、何をするんだ!警官とはいえ訴えるぞ!」


苦笑いをする警官


「さっさと離せ!俺に触るな!」


それを聞いて、首根っこを掴んだままの警官が言った


「小学生のくせに、生意気なガキだ!」


そう、これが男の・・・


いや、少年の日課なのである

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