第15話

数日なんの成果も得られず心が折れかけていた

来てからお世話になってるポーション屋に向かいマジックポーションを買う


「浮かない顔だねぇ~」

「まだ見つからないんです」

「そういえば誰を探しているんだい?婆の知っている人物かもしれん」

「……元魔法騎士団の結界魔法のプロと呼ばれた人物を探しているんです。ただ手がかりがなくて」

「それは何故?」


老婆はポーションを作りながら聞いてくる


「魔法を教わりたくて」

「それなら今の魔法騎士団の団長に弟子入りするのが良いじゃろ」


現魔法騎士団団長はこの国でも最大の魔法使いとされている


「……いえ、秘技と呼ばれるその人物だけの魔法を知りたいんです」


スフィアの探している人物は賢者には届かなかったもののかなり強力な秘技を持つという

その威力は大きなクレーターが出来るほどの戦略兵器になりうる物と言う

その魔法ならば黒龍討伐に貢献出来る


「成程のぉ……そうじゃなこの婆の魔法の訓練に耐えれれば教えよう」

「お婆さんの?」


スフィアの目には強そうには見えない


「どうかね?」

「魔法使いだったんですか?」

「昔はかなり名の売れた魔法使いじゃったよ。現役の魔法使いを騙せるくらいには訛ってないようじゃな」


突如老婆の全身から魔力が溢れ出す

(嘘……この魔力はAランクいやSランク相当の……まさかお婆さんがうわさの?)


「小娘、訓練うけるかい?」

「は、はい!お願いします!」


しっかりと返事をする

ようやく求めた人物を見つけたスフィアは訓練を行うがその難易度に心が折れかけてしまう


「キッカさ~ん!」

「どうしたの?」


出会うと直ぐにキッカにはスフィアは抱きつく

涙目になっている


「また見つからなかった?」

「見つかりました……見つかりましたけど厳し過ぎます~!」


やっている訓練は魔力を暴走する寸前で抑えた状態でそれぞれ違う種類の魔法の同時発動、そして飛んでくる攻撃を避けるという鬼畜な訓練であった

それも見本として平然と目の前で行う

少し気を抜けば暴走するわ魔法は不発になるわ集中しようとすればするほど攻撃を食らう

ポーション屋ということもあって回復アイテムは山積みであった

失敗したら次、失敗したら次、怪我をした?回復ポーション、魔力がない?マジックポーションという感じに数時間やり続けていた

高ランクの魔法使いでも逃げ出すレベルの訓練である


「よ、よく頑張ったね」


キッカは頭を撫でる


「何があったのかなこれは……」


リオが遅れて合流する


「リオはどうだった?」

「今日も武器を作ったよ。数が揃ったら私の武器も市場に出回るらしい」

「そう、明日防具のメンテナンス頼める?」

「良いよ。そっち優先でやるつもりだったしなんなら魔改造する」


リオは楽しそうに笑っている

正反対の2人に囲まれキッカは苦笑いをする

キッカもキッカで順調に依頼をこなしているが両手剣である災厄の聖剣はキッカにとって扱いづらいものであった

武器として見れば類を見ないほどの武器である為使い続けているがいまいち感覚が掴めていない


「キッカさんこの依頼を受けて貰えますか?」

「これは?」

「Bランク相当が2体居る魔獣の群れの討伐です。当然報酬は相応の物を用意しますしAランクへ昇格させます」

「受ける」

「こちらからお願いしておいて変ですが……今までよりも危険です」

「このくらい勝てないと話にならない」

「ご武運を」


キッカはそう言って依頼を受ける目的地まで向かう

目的地には魔獣の群れが蠢いていた

強さも種類もバラバラ一切の統一性がない

キッカはその群れの中に突っ込み切りかかる

Bランク魔獣も来るが魔力増幅で増えた魔力で剣を覆い大きな剣の形を作り横薙ぎで一掃し剣を地面に突き立てて剣を経由して地面から魔力を溢れ出させ広範囲に魔力の衝撃波を与えて仕留める

次々と湧いてくる魔獣をひたすら切り伏せる


「はァァァ」


一心不乱に切りかかる

休む間もなく増援を切り裂き討伐を終える


「かなり多かった……」


これ以上増えたら流石に1人では倒し切れなかった

依頼を終わらせる

キッカもスフィアも力を順調につけていく


~~~


数日後蒼月の銀狼が山の頂上に着く


「リーダー着きました!居ましたね」


蒼月の銀狼のメンバーの視界には大きい黒い龍が佇んでいた

どす黒い魔力を漂わせている


「あれが黒龍……ザック賢者に報告!他のメンバーは警戒しておけ!」

「了解リーダー」


ザックと呼ばれたメンバーが通信機器を使い連絡を取る


「「はい!」」


一目確認して距離を取る

黒龍を確認した時点で目的は達成された


『エーデルワイス、黒龍の様子は?』

「何もしていない動く気配もない」

『数日間監視を頼みたいくれぐれも刺激はしないように……動きがあれば即連絡するのじゃよ』

「了解」

「隠れられる場所でテントを張りましょう」

「ヒーラーとウィザード認識阻害及び結界魔法を頼む。数時間ごとに交代交代で更新しろ」

「「はい!」」


蒼月の銀狼は24時間交代しながら黒龍の見張りをする

数時間後……黒龍は動き出した


「あれは時空間魔法!賢者!」

『何があったのじゃ!』

「黒龍が時空間魔法で移動を開始した!妨害する!ウィザード!魔法を放て!」


ウィザードが詠唱を始め魔法を放つが間に合わず黒龍は魔法で移動する

その場所は……キッカ達の居るレウリスの街中だった

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