第14話

レウリスにつき城壁を下りる

階段付近には警備の騎士が数人経っていた

(強い)

ここの番をする騎士は最低でもCランクはある

冒険者カードを見せて通る


「どうぞお通りください」


訓練場や兵舎が城壁付近に設置されている

魔獣の進行の多い前衛都市は基本城壁近くに騎士団が生活している

円形の城壁で囲まれていて王城が中心にありその前方半分が魔獣襲撃の防衛戦の部隊となることを想定して騎士団の大半が待機している

冒険者も基本は前方付近にいて蒼月の銀狼や疾風怒濤も前方付近にクラン所有の建物を多く持つ


「ウルダよりも騎士団の質が高い」

「この国は王族が元騎士の家系という事もあってほかの国よりも軍事に力を込めている国です、だからこそ最前線で城壁を守り続けられると言われてます」

「凄い物々しい……怖い」

「最も襲撃が多い国ですからね、いつ戦争になってもいいように皆警戒してるんです。このエリアは特に……」

「戦場になることを想定されている」


今日はすぐに宿に泊まり明日に備える


「別れましょう」

「分かりました、夜に指定した宿で集合しましょう」

「最前線の武器……凄い気になる」


3人は別れそれぞれの目的地に向かう

リオは武器屋や有名な鍛冶屋に向かいスフィアは腕利きの魔法使いを探す

キッカはギルドへ向かい魔獣討伐の依頼を受ける


「これ受けます」

「Bランク魔獣の討伐はBランクパーティですら困難です」

「ソロでも受けれるはず」

「受けれますが危険を伴います」

「承知の上」

「はぁ……分かりました承認します」


受付嬢は溜息をつき申請を受理する

キッカはすぐにギルドを出る


「……彼女は別の国から来た人ですか」


キッカの名前を見てつぶやく


「どうしたのです?リン」


休憩明けの受付嬢が話しかける

リンと呼ばれた受付嬢は先程あったことを話す


「ソロでBランク魔獣討伐依頼を受けた人がいるんです」

「それは大変、どなたですか?」

「ウルダの冒険者で一度Cランクに落ちて最近復帰した冒険者です」

「それって二年前?」

「そうですねそう書かれてます……2年前といえば丁度シオンさんがウルダに居た頃ですね」


シオンと呼ばれた受付嬢は名前を見る


「キッカ・アルクティス、元Bランクのソロの冒険者です。彼女なら大丈夫かと」

「何故です?」

「彼女はAランク相当の実力を持ってました、ブランクがあるとはいえ一週間でBに戻ったところを見るに腕は訛っていないようですし彼女は成長速度が尋常じゃないほど早い」


シオンの言う通りその日のうちに討伐して戻ってくる

シオンと面識のあるキッカは受付で軽く雑談を交わす


「流石です!」

「この程度じゃ……」

「この程度って……Bランク魔獣を単独撃破はそうそう出来ませんよ?」

「この程度じゃ黒龍には勝てない」

「黒龍!?まさか討伐隊に入るですか?」

「そのつもり」

「死んでしまいます」

「その覚悟はある」

「はぁ……できる限り助力はしますがあまり無理はしないでくださいよ?命あっての物種ですから」

「分かってる」


(無理しないと討伐隊に入れない)

討伐隊に入るにはエーデルワイスに認めてもらわないといけない

その為には強くなるしかない

今まで以上の速度で


~~~


「おぉ凄いこんな武器は後衛都市で見た事ない」

「後衛都市出身か?」

「はい、これが前衛都市の鍛冶師の武具ですか」


鍛冶屋に来たリオは目を輝かせて武器を見て回っていた

鍛冶師ということもあって武器がかなり好きなオタク


「あぁ前線に立つ騎士団や冒険者を支える武器を作ってる……うちの武器は相当のものだうちの頑固な爺さんが打ってる、性格はともかく腕は他のやつに負けねぇ」


1本の武器を手渡す

鍛冶師としての経験を持つリオにはそれがかなりの腕前の鍛冶師によって作られたことが一目でわかる


「素晴らしい……」

「俺も鍛冶師だが足元にも及ばねぇ……」

「ここにあるのは全てそのお爺さんの武器ですか?」

「そこの棚のやつが俺ので他が爺さんの」


男は武器の並ぶ棚を指を差す

足元にも及ばないとは言っていたがそれでもかなりの腕を持っている

棚に並んでいるのはほかに比べると安い


「お爺さんの作業を拝見しても?」

「あぁ……それは無理だな爺さん人に作業見せないからな」

「そうですか」


流石に邪魔をする訳には行かずしょんぼりとする


「年頃の少女が武器に夢中とはね君は冒険者かい?」

「僕は鍛冶師です、これが僕の作った剣です、ワイバーンを素材とした丈夫で折れず曲がらず刃こぼれもしづらい僕の現状の最高傑作です」

「ワイバーンを素材にするとは豪華だなぁどれどれ」


剣を持ちじっくりと観察している

この剣に特性がついていることに気づく


「なぁ君は誰に教わったんだい?」

「父です、このやり方は曽祖父が編み出したとか言ってましたが」

「爺さん!」


急いで剣を持って後ろのドアを勢いよく開けて叫ぶ


「うるせぇぞ!!」


店の外にまで聞こえる怒鳴り声が聞こえる

(耳が……)


「作業中に……」

「これを見てくれ」

「あ?剣だと」


渋々剣を受け取り全体を見る


「こいつは間違いねぇ」

「おい嬢さんこれはお主が作ったのか?」


小柄な老人がリオに話しかける

ドワーフだろう、武具の制作の腕は全ての種族の中で最も得意とされるドワーフは小柄だがかなり力が強い


「はい」

「爺さん」

「間違いねぇこれはあの人の技法だ」

「あいつ?」

「ローグという人物に聞き覚えは?」

「ローグ……確か曽祖父の名前がそうです」

「ローグの技法を引き継いだ者がいたとはな、お主名はなんという」

「リオです」

「特性付きは初めてか?」

「いえ、何個か作ってます」


本来特性付きの武具はドワーフか腕利きの付与師がいないと作れない

リオはそれを知らなかった、父親が特性付きを1人で作っていた上にあの田舎、他に鍛冶師を見たことはほぼ無い

キッカもその辺は詳しくなかったから違和感を持たなかった


「特性付きの武器の製造手伝ってくれねぇか?当然報酬は用意する」

「良いんですか!?やります」

「まだ俺も特性付き打てないんだが……」

「ローグは異質だ。かの龍殺しの英雄に仕えたローグは逸話に残るほどの剣を生み出した。賢者の協力があったとはいえ人族の身で災厄を素材とした2つの特性を有する剣を作り上げた、その末裔とあれば当然か」


リオは毎日のように通い武具の製造を手伝う


~~~


順調にことを進める2人と違いスフィアは目的の人物に出会えていない

そもそも居るのかは定かではないあくまで噂でしかないからだ

街の人に聞いても首を振るだけ


「本当にいるんでしょうか……」

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