第12話
魔力を込めて斬り合う特性無しだと速度はほぼ互角、他の要素を混ぜればアルフレッドの方が強い
「加速二重奏」
切り結ぶ
拮抗し長く続く
キッカの方が先に息が切れテンポが崩される
「疲れたか」
アルフレッドはその隙を逃さず連撃を浴びせキッカは防戦一方になる
このまま押されれば負けてしまう
(負ける、なら一か八か!)
剣が当たる寸前で魔力を消しそのまま受ける
剣が砕けてしまう
壊れた剣の柄を投げて魔力剣を作る
「剣を囮に……」
柄を防いだアルフレッドの一瞬の隙を見逃さずに斬る
「ガッ……グ」
アルフレッドはよろめく
致命となる一撃、決闘の勝敗は決まった
決闘はキッカの勝利に終わる
「団長が負けた……」
「嘘だろ」
「お前ら!武器を持て!」
1人の騎士が息を切らしながら訓練場に来ると叫ぶ
慌てた騎士を見て全員ざわつく
「何があった!」
「王が殺された!」
「王が!?どういう事だ!犯人は」
「正体は不明黒いローブの人物だ!王の間の騎士を薙ぎ払って逃走した、これより捜索する」
(王が……殺された)
キッカも驚いている
殺したのは黒ローブの人物で牢屋にいたスフィアと決闘していたキッカでは無いとすぐに判断され尚且つ数日間牢屋に居た2人には協力者と連絡を取る方法が無いのを考えて犯人候補から外された
キッカにはそれがレスだと分かった
「レスか……見覚えはないんだな?」
「声も多分魔法か何かで変えてそうなので分かりませんが恐らく私は知らない人物かと」
「そうか……我々も知らないな俺が外してる時とはいえ多くの騎士がいる中での王殺しを容易く行うか俺が居ても勝てたか分からないな」
騎士団員は誰一人として死ななかった
王の間にいた騎士は手加減されていたのか気絶していた
王の間の騎士はアルフレッドには及ばずとも精鋭の集まりそれをたった1人で倒し王の首を取るとなれば相当の実力を持つ
「キッカさん!」
騎士の詰め所に連れてこられたスフィアがキッカに抱きつく
「お前らは悪いが二人で帰って貰いたい」
「騎士がルーヌ村に攻め込んだからですね」
「なぜ気付いた?」
スフィアが言うと怪訝そうに聞く
王の指示で騎士団がルーヌ村を襲撃した
念の為に村人を人質にしてキッカを脅迫する為である
「騎士の襲撃についてとある筋からの情報提供がありましたから」
「とある筋?」
「何者かは知りません、情報を一方的に出してさっさと消えてしまいましたから」
黒ローブを付けていたらしく恐らくレスだとキッカは思うがレスが味方をする理由がわからない
そもそもレスは何を目的に行動しているのかが分からない謎の存在
なぜ騎士団の襲撃を予想出来たのかも謎である
「レスは何が目的……?」
「分かりませんが少なくとも今回に関しては私達の敵では無いようです」
「むしろお前たちを助けた事になる……決闘の日についてはそいつの指示か?」
「日は指定されていませんが決闘すれば或いはと言ってました」
「投獄した時からレスとやらは近くでスタンバイしてたという事になるのか……だが王城内の動きをどうやって……」
アルフレッドが長考している間にキッカとスフィアは城門まで案内されルーヌ村まで渡された馬車で向かう
スフィアが馬車を操作する
「流石キッカさんですねあのアルフレッドさんに勝つなんて」
「ギリギリだよ、それも彼は途中から普通の剣を使ってたし」
「それでも勝ちは勝ちですし正々堂々と勝負するのが騎士の決闘です」
「本当に強かった……」
「アルデルカ王国最強の騎士ですからね、全力ならSにすら届くとまで言われてましたし」
雑談を交わしながらルーヌ村へ戻る
ボロボロになった鎧や武器が入口に転がっている
エーデルワイスとレーネの仕業だろう
「キッカ、スフィア無事で良かったよ」
家に帰るとエーデルワイスとレーネが居た
エーデルワイスはキッカを見ると近付いてくる
「キッカさんのお陰で無事です」
疲れたキッカはすぐに眠りにつく
スフィアが王都で起きたことを2人に共有する
決闘での勝利と王が殺された事など
「その様子だとアルフレッドという騎士がこの村を襲う事はなさそうだね~なら明日か明後日にでもここを出ようか、ウルダまでは時間かかるし」
「そうですね、黒龍の動きも気になりますしね」
「黒龍は動いてない……住処についてもまだ発見されてない……けどクランに依頼が来てた……魔獣の住処になっている山の……頂上の調査」
レーネが手紙をスフィアに渡す
絞った結果高確率で黒龍が居ると予想された山の調査をギルドから蒼月の銀狼に依頼という形で来たとのことでマスター代理はマスターが帰ってくるまで保留にしている
「当然受けるから待機中の一軍に実力や装備見直しさせてる」
黒龍捜索とだけあってクランの精鋭のみを集めて調査を行う予定
長期遠征になるのですぐにでも行動を起こす必要がある
この遠征で黒龍を見つければ帰還後討伐隊の編成が組まれる
話を早めに終わらせて翌日に備える
朝になりキッカと話をして事を急ぐ為今日中にルーヌ村を出る事になった
急な出来事でリオは驚くも事情を聞くと納得してすぐに支度をする
「準備終わり次第向かうよ」
支度を終えたキッカとリオは村人に別れの挨拶をする
「頑張れよ」
「はい必ず倒します」
「2人ともいつでも帰っておいで」
「はい」
「それまで我々が命を懸けてこの村を死守します!ご武運をお祈り致します!」
自衛団のメンバーが敬礼をする
村人達に見送られ馬車は前衛都市ウルダへ向かう
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