第5話

ダウドが合流しリオと一緒にキッカの元に向かっている時キッカは空を飛んで炎を吐くワイバーンに苦戦を強いられていた

魔法が得意ではないキッカは遠距離攻撃の手段がほぼ無い


魔力剣を投げ攻撃するも鱗に弾かれる


「翼を切り落とせれば……」


魔力を足に込めて高く跳躍して翼を狙うが読まれ回避されてしまう

着地して再び跳躍しようとすると炎を吐かれ跳躍が邪魔をされる


「空飛ぶ敵はこれだから苦手、やった事ないけど試してみるとしよう……防御魔法簡易結界」


ワイバーンを囲むように防御用の結界を張る

簡易と名がついている通り決して強固な結界では無いがキッカは防御用に使ったわけじゃない


「これで行ける」


結界を足場にして高速移動をする

ワイバーンが反応出来ない速度で斬り続ける

段々と翼に傷が増え鱗の傷が深くなり鱗の隙間から血が流れる

痛みに反応してワイバーンが大暴れして結界が破壊される


「落ち切ってないもう一度」


翼を攻撃したため飛行が難しくなったのか先程より低空になって移動速度も遅くなっている

もう一度結界を発動すると2度目は通じないと言っているかのように吼えすぐに結界が破壊される

だが結界が壊れる寸前に結界を足場にキッカはワイバーンの背中を取った

鱗の隙間に2本の魔力剣を突き立てて暴れ始めたら1本の大剣を作り出す

支援魔法を再度発動させて力一杯振り下ろす


「斬れろぉぉ!!」


旋回して全力で振り落としに来る、体勢を崩し落下する

受身を何とか取れたのでダメージは少なくすぐに回復魔法をかけて回復する

翼を斬り裂く事は出来なかったが大分効いたのかワイバーンが地上に降りる


「よし、あとは削るだけ」


高速で斬り裂く

尻尾や爪を振るって攻撃してくるが掠りすらしない

思考に動きが追いついてきた

激昂したワイバーンは炎ブレスも駆使し間髪入れずに攻撃を繰り返す

この攻撃を全て避けるのは厳しく一部の攻撃は防御する

防御する度に魔力剣が砕ける


「一撃一撃が強い防御せずに直撃したら流石に致命傷になりそう」


(もう残り魔力が少ない)

身体中に魔力を回して常時回復魔法を使い尚且つ必要な時に魔力を体の一部に込めて身体能力を行っている為時間が経つにつれて魔力が減っていく

人並み以上の魔力を持つキッカでも魔力剣を何度も使うと長期間の戦闘は出来ない


「これを使って!」


リオとダウドが到着する

声のした方に直ぐに向かい剣を受け取る


「これは宝剣?」


特徴的な形をしている両手剣だ、水色の刀身に白色の柄をしている

(両手剣は使ったことない……いやこんな状況じゃ贅沢は言えない、武器があるだけでも有難い)


「龍殺しの英雄が使っていた剣、名前は災厄の聖剣リフェル」

「龍殺しの英雄の剣……使わせて貰います」


(リフェル? どこかで聞いたことある名前、今はいいや)

剣を携えたキッカは再びワイバーンと対峙する

魔力を込めると込めた魔力以上の魔力が剣から溢れ出す


「これは……魔力増幅?」


製造の際に高位の素材を利用する事で武器や防具、魔道具にその魔獣の特性を基本1つだけ付けることが出来る(例外は存在する)

特性をつけれる鍛冶師はそう多くないと言われている基本はドワーフが作る高級な装備

魔力増幅はその道具に魔力を込めると物によるが数倍に込められた魔力が引き上げられる魔法使いが特に欲する特性

それもこの剣は並の魔力増幅とは桁が違う

(一体何を素材としたんだろかこの剣は……)

魔力増幅は良くもランクBとされているがこの剣はランクA相当、並の武器の比じゃない性能を持つ


「これなら行ける」


支援魔法をかけてワイバーンに突っ込み切り裂く

一撃で鱗を斬り裂き傷口から血が溢れる

魔力増幅を利用して大量の魔力を放出して魔力で巨大な剣を形取る

2人を巻き込まないように距離を取る

ワイバーンは回避しようと翼を動かすが片方の翼がボロボロのせいで飛べず反撃の為に炎ブレスで対抗する


「ありったけの魔力で」


残り魔力全てを込める

魔力で出来た青白い光の巨大な剣が空高く掲げられる


「オーラブレイド」


巨大な剣を振り下ろした一撃は炎ブレスを斬り裂くだけではなくワイバーンの装甲をものともせずに真っ二つに切り伏せる

大量の血を流しワイバーンは絶命する


「かはっ」


全ての魔力を失った事で魔力欠乏になり血を吐き意識が朦朧とする

ふらつくキッカをダウドが支える


「良くやったあとは任せて休め、リオ看病してやってくれ」

「了解、道場なら応急処置できるから道場行こう」


道場にリオとキッカを置いてダウドは避難所に戻りワイバーンを倒したことを伝える

すぐに自衛団員が壊された柵を簡易的に修復しに向かい村人は壊れた家の残った木材などを回収して一箇所に集める

ワイバーンの素材は高く売れるため自衛団員の数人は剥ぎ取る

グーラベアの死体は焼かれて一部しか回収出来なかった


「魔力ポーションの在庫は……あった」


道場にあるキッカ用の更衣室に移動して重傷者用の敷物に乗せる

リオは道場内を探し回り魔力ポーションと回復ポーションを掻き集めて飲ませる

傷は少ないがキッカは疲労している回復ポーションは疲労も多少なり回復する


「汗びっしょり服脱がしますよー」


水で冷やしたタオルを準備してキッカの服を脱がす

スタイルがよく細身で綺麗な肌色をしていて傷が1つもない


「うっわ綺麗、筋肉もそんなになさそう」


剣士だとは思えない肉体をしている、貴族の令嬢と言われた方がまだ納得出来る

体を拭く時に体に触れると理解する

見た目では分からないが筋肉が引き締まっている

素早く体を拭き新しい服を着させようとリオが服を取り出すと同時に扉が叩かれる


「ダウドだ、入れるか?」

「まだ無理!覗きも厳禁!覗いたら宝剣刺す!」


リオはすぐに叫び反応する


「分かった、良くなったら言ってくれてか宝剣をそんなことに使うなよ……」


扉越しにそう言いダウドは扉の前で待機する


「……うん?」


キッカが魔力欠乏から治り目を覚ます

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