第13話 納得なんて出来ない

「ここで服脱ぐんだぜ!」


「おうおう!」


二人は洗面所で服を脱いだ。


「(うわぁ、女の裸まじまじと見たの初めてだ!)」


「で、次はとうとう風呂か?」


「お、おう、入ろーぜその前に体洗ってからな!」


「こうか?」


「ダメダメ!ちゃんとタオルを泡立ててからゴシゴシすんだよ」


「おー!何かスッキリするなぁ!」


二人は次第に楽しくなり背中洗いっこをした。


「じゃあ風呂入るか!」


チャプンッ


「おお〜、何ともぬくいなぁ...」


「良い湯加減だぜぇ〜...」


狭い浴槽に二人だ、体が密着している。


「(何か違和感あんだよな...全然興奮しねー。何か、懐かしいとすら感じる、女と風呂っつったらもっとこう、興奮するもんじゃねーのか...?)」


「熱い!そろそろ風呂飽きた!」


そう言うとキャバ子は勢いよく風呂を出てった。


「お、おい待て!ちゃんと体拭けよ!」


一方その頃、某大手病院では


「手術は無事完了しましたよ」


「おぉ〜良かった良かったぁ、彼は優秀な後輩だからね〜」


「...それで、例の物を入れましたが、まだ安全の保証は出来ない品だとは理解してくださいね。万が一の事があっても保証は出来かねますので」


「うんうん、大丈夫ですよぉ」


「では、私はこの辺りで。勤務お疲れ様です」


そう言うと医者は去って行った。


「さぁて、シズク君はどんな奈落にやられたのかなぁ、その辺の奈落ではないよなぁ、やはりあの女、かな。」


男は不敵に笑みを零すと


「ようやく...ようやく相見える時が来たんだねぇ...楽しみだよ...ミライ」


一方、レイ達は会議をしていた。


「あのね、どうも嫌な予感がするの。余りのんびりもしてられないかもね」


「と言うと、やはり奴が派遣されているんでしょうか?」


「うん、マズい気配があったから皆の様子を見に行ったらレイ君がいなくて慌てたよ」


「でもミライさんはあのシズクとかってゆー男に勝ったんでしょ?あいつ相当強かったのに。ミライさんがいれば怖いもんなくね?」


「その人じゃないの。シズクって人が言ってた名前の中にクドウって名前があったのが問題なんだよ」


「誰なんスかそいつ。ミライさんが警戒する程の奴ってヤバくね?」


「うん、ヤバいよ。だからレイ君とキャバ子ちゃん、は寝ちゃってるから良いや。レイ君には特に知っておいて欲しいから教えます」


「オス!」


「私達は近いうち、百鬼夜行を決行します。これは奈落と人類の戦いになり、その勝者がブレイクマンを身に宿す事が出来るの」


「百鬼夜行?ブレイクマン?」


「順を追って説明するね。百鬼夜行とはあの世とこの世にいる奈落を召喚する儀式なの。残念ながら応答してくれない奈落ほど強い個体が多いのがネックだけど、それでも気分次第では手を貸してくれるはずだよ」


「おおー!すげぇ儀式なんスね!」


「うん。そして肝心なのはブレイクマンという存在なの。私も見たことはないし、伝承なんだけどね、人類と奈落と天子の均衡が崩れる時、ブレイクマンはこの世に姿を現すとされている。そして、ブレイクマンに選ばれた者はね、世界の均衡を正す程の力を有するの」


「すげー強いんスね!」


「...うん。つまり、ブレイクマンを呼び下ろす所まで戦えれば、ブレイクマンに選んでもらえるかもしれないって事」


「ふーん、でも百鬼夜行って儀式するのに、必要な物とかないんスか?」


「俺だ」


「え?」


一瞬場が凍った。


「そう、ライガー君が生贄になってくれるんだよ」


「え?!もっとしょーもないチンピラとか、悪人じゃダメなんスか?!」


「ダメだね。奈落を呼び落とすには奈落の生贄が必要だし、彼はとても強い奈落だから、強い個体も呼べると思うの。上質な血肉ほど、大物は好むから」


「...レイ、気にするな。これは俺の望みでもあるんだ。例えお前に反対されても俺自身の為に俺は生贄になる」


「そんな...!ようやく先輩とも仲良くなれたと思ったのに!初めて出来た男友達だって...!」


「...お前」


「レイ君、残念だけど、これは人類の為なの。理解してね。今日はもう寝ようか」


「.....」


レイはどうにも納得出来なくて、歯を食いしばった。

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