第6話 エクソシスト
レイは役所の外壁に何か仕込んでいる様だ。
「ふぅー!疲れた!建物がでけぇんだよ。後はこれをポチッとな」
ポチッ
とてつもない爆発が起き、建物が土煙を上げながら崩れていく。
「ギャアアア!!!」
注意不足で爆発に巻き込まれたレイは腹が裂けて吹っ飛んだ。
「痛ッッ!!!クソ!腸が飛び出ちまってらぁ!ミライさんは怪我したら何て言ってたっけ...」
ーーー
「最初の任務は...そうね、役所の爆破とかどうかな?」
「何で役所なんスか?」
「君がお世話になってた役所は犯罪者がいたんだよ?罰を与えなきゃいけないでしょ?」
「ああ!そうだ!加藤の奴がいた所なんてろくな所な訳がねえッスよね!」
「うん。それにあの役所の近くには新しくエクソシスト課が出来た警察署がある。もしかしたらエクソシストと戦う事になるかもね」
「エクソシストって強いンスか?見たこともなくって」
「う〜ん、個人差かな。もし負傷しても大丈夫。ポンタ君を失った時の感情を強く思い出して。最悪な気分と共に復活出来るから」
ーーー
「思い出した!(ポンタの事...)」
ギュルルルと腸が中に収まっていき、傷口も塞がった。
「ふっかーーーーつ!!!」
ガッツポーズで立ち上がった。
「お前、今怪我が治ったよな」
「ああん?誰だてめー」
後ろを振り返るとスーツ姿で刀を構えた男がいる。
「お!アレか?!エクソシスト!」
「ふむ、この事件に関与しているとみて間違いなさそうだ。俺はエクソシストだ、お前を正義の名のもとに祓う」
「正義だァ?!正義は俺に決まってんだろバーカ!」
ーーー
「灰狼の力を使うのには、まずハイになって。そしてポンタ君や君に降り掛かった理不尽な事件を強く思い出すの。その怒りの感情が灰狼の力を強めてくれるよ。大丈夫、直ぐに慣れるから」
ーーー
「は!」
「ガウ!」
エクソシストの刺突と零の拳がぶつかり合う。
「?!これは!」
レイの手はまるで狼の手の様に変異して、黒く鋭い爪が生えている。
「ガァ!!!」
レイのアッパーをエクソシストは紙一重で避けるも、頬には傷を負って血が流れ出した。
「奴の拳...何か鋭利な爪の様なものが生えてきやがった。厄介な相手かもしれんな...」
レイは四つん這いになると、ググッと力をためている様子だ。
「何か仕掛けて来る!」
次の瞬間、レイは猛スピードでエクソシストに飛び付いた。
「な!早!」
「ガウガウガウ!!!」
エクソシストの喉笛に噛み付いた。
「ガハ!やめ...!!!」
ドスッ!
エクソシストは咄嗟に刀でレイの胴体を刺す。
「ギャウ!」
エクソシストから飛び退いた。
「グルルルル...てめー、良くも腹ぁ刺しやがったな」
「ゲホッ!くっ応援を、、、」
その瞬間、エクソシストの両腕が肩から切断された。
「?!?!ギャアアアアアアアア!!!」
エクソシストは転がりながら悶絶している。空を見上げるとライガーが建物の上に翼を広げて立っていた。きっとライガーが何かしたんだろう。レイはエクソシストに近寄る。
「悪ぃけどよ、偽物の正義様にゃ死んで貰うぜ」
「ハァ、ハァ...貴様は自分がした事を理解しているのか?」
「ああ?うん、まぁ」
「貴様は、罪もない人々を、一瞬にして大量虐殺したんだぞ、それが...ゲボ!正義だと?!」
「でも、この役所には犯罪者がいたんだぜ。悪者の巣窟だろ!」
「例えそうだとしても、全員じゃないだろう...お前は善人まで大量に殺したんだ!」
「...え、でも、俺は!俺は...」
「貴様は!間違いなく!あく」
その瞬間、黒黒しい大羽がエクソシストの首と胴体を切り離した。赤黒い血が地面に広がっていく。
「あ.....」
バサッと羽音をたててライガーが降りてきた。
「任務完了だ。帰るぞ、掴まれ」
「あ?...ああ」
パトカーの音や人々の悲鳴が聞こえてくるのを、レイは空から眺めていた。
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