第4話 ハッピーニューイヤー

鳥の囀りで目が覚めた。もう夜は明けた様だ。


「あ、頭、痛くねえし、血も止まってる...あれは夢じゃないんだな」


レイはポンタの亡骸を探すが、何処を探しても見つからない。やむ無く帰路についた。


「はぁ...ポンタ...骨も拾ってやれなかったよ...何で...」


グゥゥゥゥ〜


「...こんな気持ちでも腹は減るんだな。卵かけご飯でも食べるか...」


放心状態で飯を口に入れた。


「!!!?ヴエェェェ!!!ゲホッ!何だこれ、、ドブみてえな味だ!」


テンパリながらも冷蔵庫に目がいった。


「ま、まさかな...」


冷蔵庫の中の卵、サラダ、食パン、次々に口に入れるが、ドブの様な味でとても食えたもんじゃない。そんな中、豚の生肉が目に入り、食べてみた。


「ん!めぇ〜!え、何で?生肉ってこんな美味かったっけ?訳わかんねーけど、暫く豚肉だけで良いや!」


大の字で暫く横になっていた。


「ケースワーカーの加藤の野郎、殺しても殺し足りねえ...あ、あいつの死体はどうなったんだろ、もう警察沙汰になってんのかなぁ...行ってみるか」


もう日が暮れて夜になっていた。トボトボと歩いていたら、もう着いていた。


「君!こんな所で何してるんだ?!」


「あ〜警察、やっぱりか」


「やっぱり?君まさか、事件に関与してるんじゃないだろうな?そこで止まって両手を上に上げなさい!」


「...なぁ警察さんよぉ、あんた、今までどんなもん食った?」


「何を言ってるんだ!?早く両手を上げろ!」


レイは詰め寄りながら声を荒らげる。


「給料良いらしいもんなぁ〜?美味いもんたらふく食って来たんだろ?車も持ってて、良い服着て、良い女抱いたんだろぉ?!あぇ?女...?」


「う、うわぁ〜!!!」


パン!パン!パン!


レイは焦った警察に銃殺されてしまった。肩、胸、頭を撃ち抜かれた様だ。


「あ、あぁぁ、あ、応援、応援を、、!やっちまった、こんなガキ、こんな場所で、怖くて、!」


パニックを起こしながら上司に連絡を取っている様だ、次の瞬間


「ええ、それで、はい、、、とにかくすぐ来」


ドシャア!


警察は頭が飛んで、首から下が崩れ落ちる。


「?おい田中!おいどうした!田中!」


ガシャン!


何者かが足で無線を破壊した。


「チッ急いで来て正解のようだな、おい起きろ」


その者はナイフで手首を切り、零に飲ませた。


「女ァ!!!」


レイは何事もなかった様に飛び起きる。


「はぁ?お前は何言ってんだ?俺は男だ」


「へ?」


目の前には深緑の髪と瞳をした、少しロン毛の男だった。


「...誰?」


「説明は後で十分だ、背中に捕まれ。落ちんなよ」


「やだよ男なんかに抱きつくの」


「俺だって嫌だわ!良いから早くしろ」


「(こいつホモか...背後から羽交い締めにして気絶させて逃げるか...)」


レイが背中に抱きつくと同時に、黒黒しい漆黒の大きな翼が男から生えてきた。


「おおうおうおう!?!?」


ヴワァッと土煙を立てながら空に羽ばたいて行く。


「おわ〜!すげえ、、、すげえ、綺麗だ!」


満月の夜、自分を連れた謎の男は何処へ向かうのか不安に思うよりも、夜の街の光の粒が、レイの目には輝いて見えた。

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