第6話
ボルク村の宿屋で一泊し、俺たちは再び山道を歩いていた。
多少魔物が出たが、昨日テディを倒したこともあり道中苦労する事なく次の街に着くことができた。
カジノの街スロッカスである。
ゲームではあまりカジノをしていなかったが、少しくらいはやってもいいだろうか。
そんなことを考えていたら、ナーヤがこちらを覗き込んできた。
「アンタ達目的を忘れてないわよね。カジノに行かないでね。」
釘を刺されてしまった。
仕方がない。情報を集めるとしよう。
確か情報を持っているおじさんが雑貨屋の地下にいたはずだ。
地下に降りて直ぐに緑の太ったおじさんを見つけた。
「すいません。この町の近くで魔王の配下を見かけませんでしたか?」
俺は尋ねた。
「俺も見てないが、今奴はナガラ滝の裏の洞穴にいるらしいぞ。あんなところで何をやっているかはわからないが。」
俺はおじさんにお礼を言ってその場を離れた。
さて装備を整えたらすぐに洞穴に向かうとしよう。
俺は階段に向けて歩き出した。
その時、
曲がり角で少女とぶつかってしまった。
「ごめんなさい。前をしっかり見てなくて」
少女が謝ってきた。
「こちらこそ不注意ですみませんでした。お怪我はありませんでしたか?」
俺は少女に尋ねた。そして思い出した。
彼女の名前はヒマリ。賢者であり俺たちのパーティーメンバーの一人になる。
そういえばこんな出会いだったな。
他の2人に比べて少し影が薄いから忘れていた。
「私は大丈夫です。それでは失礼しますね」
ヒマリは地下の奥に進んでいった。
確かヒマリとはナガラ滝の前でもう一度会うはずだ。
俺たちは装備を整えナガラ滝を目指した。
ナガラ滝に着くとヒマリに後から追いついてきたヒマリに話しかけられた。
「あれ?先ほどお会いした方ですよね。こんなところで何をしているんですか?」
「魔王の配下がこの奥にいると聞いたので今から倒しにいくんですよ。」
「奇遇ですね。私もその為に来たんですよ。もしよかったら一緒に行動しませんか?」
「ぜひお願いします」
ヒマリが仲間(仮)になった。
さてそれでは中に入ってくとしよう、とはならなかった。
この奥には魔王の配下がいて戦闘になるのだが、今のままでは間違いなく負ける。
なのである程度レベルを上げる必要がある。
レベル上げには近くに宿屋がある方が効率が良いので一度スロッカスに戻ることにした。
スロッカスの近くに戻った俺たちは魔物を狩ってレベル上げを開始した。
ヒマリ、仲間になって直ぐにレベル上げをさせてごめんね。
俺は心の中で呟いた。
3日ほどレベル上げをした俺たちは配下討伐の為洞穴に潜った。
道中も魔物がいたがレベル上げをしていたおかげで難なく倒せた。
それにしてもナーヤ・ヒマリ、君たちはMPを使い過ぎだ。もう少し節約してくれ。
そんなことを考えていたら洞穴の奥にたどり着いた。
奥では魔王の配下ベラルが待ち構えていた。
「お前らこんなとこに何の用だ?」
ベラルは尋ねてきた。
「お前を倒すためにここまで来たんだよ。覚悟しやがれ」
シモンがモブキャラみたいなイキり発言で挑発した。
「ほう。どうやら俺が魔王様の配下と知っていて挑みに来たようだな。では相手をしてやろう。」
ベラルとの戦いが始まった。
ベラルは魔王の配下の中でも脳筋野郎なので、魔法での攻撃が適している。
ナーヤの出番だ。
「ブリスト」
レベル上げで氷の中級魔法を覚えたナーヤはひたすらその呪文ばかりを唱えている。
今パーティーにはヒマリがいて俺は補助に回らなくていいので、シモンと一緒に物理攻撃を畳みかけた。
ベラルはひたすら物理攻撃をしてくるが即死するダメージではないのでヒマリの回復呪文で対処できた。
俺たちは耐久戦を制し、ベラルを倒した。
「まさかこの俺が負けるとは。望み通り魔王様について少し話してやろう。」
「魔王様はスロッカスから海を越えた先にあるクオーツ大陸の中心部にいるだろう。まぁお前たちでは全く歯が立たないがな。」
そういってベラルは消えていった。なんで敵って消える前になると饒舌なんだろう。
ベラルを倒した俺たちは洞穴を出た。
「あの…」
洞穴を出た俺たちにヒマリが話しかけてきた。
「皆さんは魔王討伐の旅に出かけるんですよね。私もこの先ついていってもよろしいですか?」
「いいわよ。私も女の子と一緒に旅した方が楽しいし。」
ナーヤが凄く嬉しそうある。
女の子が二人いると華があっていいね!
「良かったです。それではこの先もよろしくお願いします。」
ヒマリが仲間になった。
昔クリアしたRPGの世界に飛ばされた まろまろ @maromaro0645
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