第3話 9月15日の音

物音がする。

ガソコソと何かが立てている音が。


それに気がついたのは眠る直前だった。


部屋の電気はすでに消しており、真っ暗な部屋の中で音だけがする。


体は強張り嫌な汗が背中を流れる。


それを知ってか知らずか、音の主はガソコソと動き回っている。


始めはキッチンの方で断続的に音がしていた。

しかし、ひときわ大きな音をした後に、突然音が聞こえなくなった。


私は布団を頭から被り音の主の出方を気配で感じるように神経をとがらせてい。


すると、音の主はゆっくりとこちらに近づいてきた。

いまでは私の側で音が鳴っているように聞こえる。


それにしても、今日はひときわ大きいな?

もう少し静かにしてくれないものか。


そんな事を考えていた時だった。

私の耳にとても抗いたい音が聞こえてきたのだ。


そんなまさか、ありえない。そう自分に言い聞かせ、その音を聞かなかったことにしようとした。


それなのに……。その音は再び、さっきよりもはっきりと私の耳に届いてきたのだ。


『ズルズル』と……。


ああ、2階の方よなんて罪深いんだ。こんな夜中にラーメンを食べるなんて。

音の誘惑に負けた私は、布団から起き出し、即席麺を作り始めたのだった。





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