B004_わがまま

君には、好きな人がいる。


好きな人が私じゃないことは、知っている。

どんなことをしても、どんな言葉を伝えても、

君の気持ちが変わらないことも、知っている。


他の人の隣で幸せそうに笑う君の横顔を見て、

悔しくなったし、胸が苦しくなった。

少しずつ会える時間も少なくなって、

いつか、私たちが一緒にいた時間すら

忘れられていくのかもしれない。


それでも、私は君を嫌いになんてなれない。


だって、そんな真っ直ぐな君を、

私は好きになったんだ。


私たちが結ばれることは無かったけれど、

それでも、一緒に過ごした時間は本物だから。

私の中で光り続ける、宝物だから。

やっぱり、好きになって良かったと思うんだ。


だから、これは自分勝手な気持ちの整理で、

ただの私のわがままだ。

君を困らせるだけの、ほんの少しの恨み言だ。


「私、君が好きだよ」


_____


報われない恋って、

人を大きく成長させる気がします。

子供でも、大人でも、

きっと人生の分岐点になることだと思います。


立ち止まって涙を流したあと、

再び歩き出す彼女はきっと、

ほんの少しだけ、大人になっていることでしょう。

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