新しい台本
B001_窓から見えた太陽
雨が降っている。
さっきまで晴れていたのに、突然の雨だ。
慌てて走る人間たちを、ただ、窓から見ていた。
あーあ、かわいそう。
でも、私だってかわいそうだ。
呟いてから、気付く。
雨に濡れたって、あの人には心配してくれる家族が
待っているかもしれない。
私はどうだ。
時間の止まった部屋でひとり、
ぼんやりと外を眺めているだけ。
外の人間たちは窓から見つめる私に
気付くことなく、走ってゆく。
かわいそうな私に、気付くことなく。
このまま雨が降り続けて、
私も皆も沈んでしまえばいいのに。
「どうして泣いているの?」
傘も差さず、少年が立ち止まってこちらを見ていた。
誰かと目を合わせるなんて、随分と久しぶりだった。
泣いてなんかいない、と言い返そうとした。
でも、できなかった。
頬につたう涙に気付いたからだ。
誰かと話したかった。
誰かに心配されたかった。
「……少し待ってて。傘とタオルをあげるわ」
誰かと関わって生きたかった。
誰かを心配する、優しい私になりたかった。
――きっともう、彼に会うことはないけれど。
私は彼のことをずっと、ずっと忘れないだろう。
_____
自己肯定感低めの少女?の話です。
忙しさや辛さで、感情が薄くなっていくようなことがあると思います。
自分のことすら他人事に思えてしまうようなそんな気持ちの時に救ってくれるヒーローが現れてくれたらいいのになぁ……なんて考えながら書いた台本です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます