このタイトルを初めて見た時、一瞬脳が理解を拒否したよね。
中二病で、魔法少女で、ゾンビで、ロリで、アラサーで、アラフォー!?!?
ちょ、待て。どうやったらそのタイトルを回収出来るんだ!? タイトルからすでに漂ってくる香ばしさと闇鍋感。知りたい、でも恐い。
……結局好奇心が勝ってしまってつい味見してしまったよ、この闇鍋。でも、これ意外と美味しく出来てて、正直クセになる。結局、このレビュー書いてる時点での最新話まで味わい尽くしてしまうぐらいには。
ちなみに、タイトルは割と序盤であっさり回収され、驚いたことに全て真実だった。敢えて言うなら、追加要素として、百合と怪獣と合体ロボと触手は是非とも加えておきたいところ。
この作品の内容だが、こんなぶっ飛んだ要素満載にも関わらず、意外と世界観とか設定の作り込みがしっかりしていて、物語としての説得力はかなり高く、ギャグではなくシリアス寄りで、ジャンル的にも女児向け魔法少女モノよりも本格的なSF寄りだったりする。
例えばタイトルについて解説すると──。
アラサーのオタク女子の主人公が仕事帰りに某国に拉致され、人体実験の結果死亡し、その死体はいずれ使うかもと素材として冷凍保管されてそのまま10年が経過。その間に世界では魔物による災害が多発するようになり、唯一の対抗手段である魔法少女が活躍するようになっている。
某国が戦争状態になり、主人公の死体を保管していた研究所は遺棄され、電源が喪失して自然解凍された主人公を気まぐれな邪神(仮)が復活させるが、欠損部位を他の部分で補填した結果、身体が小さくなり、しかも魔力で身体機能を補わないと生命活動が停止する不完全な復活、ゾンビとなる。
魔力を補給するには、同じ魔法生物である魔物を倒すのが一番なので、かくして戸籍年齢はアラフォー、自己の認識ではアラサー、外見はロリのゾンビヒロインは、正体を隠した謎の中二病全開の魔法少女として魔物との戦いに身を投じていくのである。
これだけでもなかなか凝った設定、そして意外と隙のないタイトルだと分かる。このような細部に至る作者のこだわりがこの作品全体の物語としての説得力を高めているのだろう。
ちなみに、なぜ魔物が発生するのか、なぜ魔物は人を襲うのか、なぜ魔法少女だけが対抗できるのか、なぜ若い女性にだけこのような力が芽生えるのか、といった魔法少女モノでは「そーゆーもの」としてあえて説明されることが少ない設定についても作中でそれなりに説得力のある説明がされているのでそのへんも物語のリアリティに貢献しており、私がこの作品を本格的なSF寄りと評する理由である。
ここまで長々と書いてしまったが、一言だけ言わせてもらうなら「面白いから読め」これに尽きる。