第171話 おりじんふぇいかー・りちゅーにんぐ・おーばーろーど
というか、私が指輪を装着してなんで他の子の強化に繋がるんですかね？
「セヴンスさん指輪つけた？じゃあ、写し終わるまで10分待って？」
あ、もしかしてこの指輪に私の根源を一時的に写し取る的なアレですか？
というか、何もせずに10分待つのも手持ち無沙汰ですしこの間に説明とかほしいんですが、どうでしょう？
「あ、説明、説明しなきゃだ」
お？雛わんこが私の表情から何をして欲しいかを察してくれましたね。
存外しっかりと片付けられているデスクからノートパソコンを持って私と理珠さんへ向ける雛わんこ。
……多分、ここから研究発表なのでわんこ語が炸裂しそうなので覚悟しておきましょう。一言聴き逃すだけで意味不明になるので！
「えっと、指輪の純魔結晶にセヴンスさんのを写し取って、根源共有状態に更にセヴンスさんのを追加するの。他の子みたいに自分のを二重にするための純粋な魔力を得られないから、混ざりあった中でベースになってる魔力を利用したらどうかなと思って。だけど安定させようとすると全然うまく行かなくて、出力を上げて不安定化させると逆に成功するっていう意味不明な状態、気をつけて欲しい。使う魔法の、セヴンスさんからの比重を高めすぎると暴走して大変なことになる……。リスクを抑えるリミッターを作ると上手く行かないのが、本当によくわからない。困る」
長い長い長い！
えっと、何とか要約すると……。
自分の魔力で二重根源化するんじゃなくて私の魔力を使って二重根源モードに強化変身するみたいな感じですかね？で、
というか、暴走のリスクを取り入れないと安定しないとか絶対これ中二病の根源が原因じゃないですか！
かっこいいですもんね！暴走！
いや、実際に戦力として運用しようとしている装備にそんな要素があるのは現実では不安しか無いんですが……・
「で、セヴンスさんを二重根源化すると……、出力的には他の子にセヴンスさんの根源を増設するより遥かに高い効果になるみたいなんだけど……。その、理論上どんな魔法を使っても100％暴走する……みたいな予測が出てて。ごめんなさい」
あー……、「特定の強化モードは存在自体がバグで、常時暴走している扱い」みたいな設定は中二病的に大好物ですからね。
そりゃ、無理矢理外部装置で根源を増やすなんて邪道な強化方法を使ったら暴走するぜー！ってなるのは感覚的に理解できてしまいます。
で、私がそう理解できるって事は根源側もそう考えてしまうということで……。
これ、アレですよね？めっちゃピンチな場面で理珠さん達から指輪を回収して全部装着して暴走確定の強化モードに入るとかそういう演出用の設定ですよね！？
おーけーおーけー、雛ちゃん問題なしです。
むしろ現状が最適解と言って良い展開だと思います。
「大丈夫ですよ。私はほら、エラさんが言った通り次は雛ちゃんの魔力も使って根源共有変身するわけですから実質パワーアップしたようなものですし、ね？」
さしあたって、目の下にクマを作るほど必死に研究してた雛わんこの頭を撫で回しておきましょう。
あー、目を細めてされるがままになる雛ちゃんも可愛いですねー……。
「で！
「ひゅーどんどんぱふぱふー。ミラのはれぶたい、しっかり記録するからね！」
おっと、いつの間にかミラさんも起きていたみたいですね。
やや寝癖がついた髪を手櫛で直しながら胸を張ってそんな宣言をしてくれました。
「という事でセヴンス！……その、根源の共有を……ね？」
そして、そんなドヤ顔から一転してちょっと頬を染めつつ私の方をチラチラ見ながら小声でそんなお願いするのずるくないです？ずるいですよね？ずるいんですよ！
「あ、一応十分待って？共有状態だと波長が変わりそう」
おっと、勢いに飲まれてミラさんへ突撃しそうになった私にわんこからストップがかかりました。
危ない危ない、実験のための
なお、10分経過するまで真後ろからそっと私に抱きついている理珠さんが一瞬たりとも私を離してくれなかった事は追記しておきます。
さて、10分経過したのでミラさんとの魔力共有の時間です。
今回、私は再臨する必要が無いのでポーズとかは取る必要が無いのはちょっと楽ですね。
「じゃ、じゃあセヴンス。お願い……っ」
休眠モードを解除してウェディングドレス姿で目をつぶってキスを待つミラさん。
絵面が強すぎやしませんか！？
まあ、待たせるのも良くないと言うか、背後からの視線が痛いのでサクッと済ませてしまいましょう。
ミラさんを抱きしめて唇を合わせ、接触した粘膜からそっと魔力を流し込みます。
「んんんっ！」
ええい！気持ちいいのはわかるんですが悶えないでください。毎回のことですが、理性ゲージがガリガリ減っていくのを頑張って耐えてるのは私も一緒なんですから！
「えっと、じゃあ……。ねえ、これみんなでやるから恥ずかしくないのであって、一人でやるのってものすごく恥ずかしくない？」
再臨用にみんなで考えたポーズを取りながらミラさんが呟きますがそこについては完全に同意ですね。
そっと周囲に目を向けてみれば、理珠さんと雛わんこも地味にこっそりと頷いていました。
「と、とりあえず……、
はい、今回はソロ再臨ですのでエフェクトは控えめですが銀色の糸と黒い雷が乱舞してミラさんの姿を黒く染め上げます。
ドレスが黒く染まり、手枷足枷首輪にチェーンと中二病全開な拘束具が装着されていき、その後に各種アクセサリーがその姿を彩っていきます。
前回からの変更点ですか？
首筋から右手にかけて黒い稲妻の様なタトゥーが出現したり、ただの手枷足枷だった拘束具に精緻な装飾が施されてそれ自体が儀式的なアクセサリに見えるようになったりした事ですかね？
いや、元からバチクソ好みだったんですがそれを超えてくるとか、中二病の根源は私の好みをとてもとても良くわかっているようです。
……正直、シアちゃんの思念の一部であるとは認めたくないぐらいデザインや魔法の好みに関しては意気投合していたりします。
「魔女、マリオネイター・メシアン・グリムリーパー！
うーん、困ったことにかっこいいんですよねこの姿。
で、ここからどうやって次の段階へ行くんでしょうか？
「えっと、じゃあセヴンスさん。指輪をミラさんに嵌めてあげて？」
あ、予想はしてましたがやっぱりそういう方式なんですね。
……これ、どの指の指輪を渡すのが正解なんでしょう？
薬指はなんか、私的にも理珠さんに嵌めてもらうのがしっくり来るのでそこは避ける方向で行きたいんですよね。
うーん、他の指ならもう変わらないですよね。
よし、人差し指の指輪にしましょう！
「……うん、しょうが無い……かな……」
思わずといった様子で漏れたミラさんのか細いつぶやきがちょっと心にキますが、かといってここで薬指の指輪を渡そうとしてもミラさん自身焦っちゃうと思うんですよね。
……って、ミラさんの再臨状態ってすべての指に指輪が既に嵌まってる状態なので、この指輪はどの指につければ？
まあでも、左手の薬指に欲しがってそうな念波を感じるのでそこにしておきましょう。元からめっちゃ目立つ指輪くっついてますが大丈夫です？指曲がります？
って、ミラさんアレですね？嬉しそうなの必死に隠しておすまし顔してますよね？
……正直ですね？そろそろ妹扱いとかでごまかすのも限界なんですよ。
ぶっちゅけ、さっきの
「えっと、じゃあ僭越ながらミラが最初に強化形態をお披露目させていただきます」
かしこまった言動をしながらも、ちょっとドヤ顔のミラさん。かわいいですね？
というか、中二病の根源が二重になるって事は中二病成分がまた増えるんだと思いますが……
黒いウェディングドレスから更に中二病成分マシマシって一体どうなってしまうんでしょうか？
「じゃあ、いきます！」
右目の眼帯の前に指輪を掲げ、右手はそれを支えるようにクロスさせて……。
あ、これアレですよね？邪○眼が疼く！的な構えのやつです！
『
☆★☆★☆★☆
おかしい、今回で強化お披露目まで進行する予定だったのにかっこいい変身ワードを叫んだ所で終わってしまいました。
まあ、かっこいいミラさんの新衣装は次回へお預けということで。
なお、変身ワードに関しては仕事中に思いついたやつを書いたノートを会社に忘れてくる失態をかましたので地味に変更される可能性がなきにしもあらずです。
いや、現状でもだいぶ中二成分多めだと思うのでそのまま行く可能性が高そうですが。
拡散して欲しいというお願いに即座に答えて頂けた皆様、本当にありがとうございます。お願いしてからすぐ動いてくださるとか、作者は応援してくださる方にとても恵まれていると思いました。本当に感謝です。
そのおかげなのかひょろわー増加率も☆の数も元の増加ペースに戻りつつあります。
出来ましたら、今後とも定期的に拡散したりしていただけるとうれしいなぁなんて……
次回は強化形態お披露目と新魔法ですねー。
更新予定は12月19日22時の予定です。
よろしくお願いします。
次の更新が楽しみだと思われた方は、良いねコメント★拡散等で応援していただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。
最新話までお読みいただき、感謝致します。
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