第158話 透明レインコート……だとぅ!?

 どうやら作戦実行のために依霞さんは転移じゃなくてヘリで来るって話らしいです。なんか、転移を利用しない事で追加戦力が来ることを匂わせる必要があるとかなんとか。

 で、先行する私達はいそいそと(主にエラさんの兵装関連の)準備をしていたわけですが……。

 「セヴンス女史、出来れば私達も参戦させて頂きたい」

 まあ、そんな気はしてましたがゾン……蘇えりし者レヴナント3人娘から同行願いが出ました。

 気持ちはわかります。自分達が役に立つ所を見せたいですもんね?

 でも……。

 「ダメです。今日の魔物は超大型サイズ、最近の傾向から考えて間違いなくあのドラゴンが飛んできます。そんな場所に、私達との魔法の相性も確認出来てない貴方達3人を連れて行くなんて出来ません」

 なんたって前座の魔物さえどデカいですからね。


 今映像を確認しましたが、どう考えても世界的に有名な日本のRPGシリーズで状態異常特化の敵として出てくる息の臭いやつです。しかもサイズ的にグレートの方。

 正直、くさいいきを食らって何らかの状態異常に陥ってる様子とか見せたくないのでホントは私達だって戦いたくない相手だったりします。

 いやまあ、理珠さんの藤御簾の中から一方的に攻撃して終わらせるつもりなのでそんな無様な自体にはならないと思いますが。


 「はあ、自分達が役に立つって価値を認めさせて立場を固めたいんだろうけど、そんなの要らないからね?」

 っと、遅れてたザマさんがやってきたようです。

 「そんなことより貴方達にはやってほしいことが有るの。実家の住所を教えてほしいのと、魔生対が発行する身分証明と一緒に貴方達の実家へ送る手紙の用意。変身した姿で逢いに行ったから娘が生き返ったって信じてもらえなかったんでしょう?なら、日本政府が発行する本人確認の書類と一緒にお手紙を送ったらどうなのかしらね?」

 ザマさんの言葉に思わず動きを止める3人娘。

 さっすがザマさん、権力の使い所をよくわかってますね!

 流石に、政府発行の証明書付きの文書で本人ですってやられたら信じない人はまず居ないでしょう。

 「だから、今回はセヴンス達に任せておきなさいな。大丈夫、そんな事で貴方達を見捨てたりはしないから」

 よし、3人が感動してうるうるしてる今がチャンスです。

 サクっと現地へ潜ってしまいましょう。

 

 「って、いきなり臭いのはおかしくないですか!?」

 はい、渋谷へと影から侵入した私達を待ち構えてたのは、形容しがたい悪臭を振りまく魔物。

 あ、一般市民の方々は匂いが強すぎて避難誘導するまでもなくものすごい速度で逃げて非難完了したとかなんとか。

 ちなみに、さすが首都だけあって東京には地下鉄構内各所にシェルターが作ってあるので急にドラゴンが降ってきても避難が遅れてる人とかはそんなに居ないはずです。


 「これは、ミラも流石に……」

 「……鼻をつまんでで祝詞を唱えたとして、魔法が発動してくれるのでしょうか?」

 「ぬぉぁぉぉぉ……、ごめんセヴンスさん、これは……無理……」

 おおっと、身体強化で感覚まで強化されるタイプの雛わんこが両手で鼻を押さえてダウンしました。

 うーむ、モル○ルグレート、恐るべし。

 あ、ちなみに匂いとしてはカビと生ゴミ系の匂いですくっさぁ!

 「よーしっ!嗅覚センサーカット!機動補助ブースター展開!セヴンスさん、エラいっていい?」

 そして、逆にデバフを一切喰らわないゾンビぼでー故自在に嗅覚をストップできる私とそもそもメカなので匂いなんて無視出来るエラさん。

 「どうぞー、瞬殺はダメらしいんで気をつけてくださいねー?」

 とりあえず、気合と根性でなんとか藤御簾だけでも展開した理珠さんを褒めておきましょう。


 さて、では突っ込んでいったエラさんはどうですかね?

 「そのていどじゃ捕まってあげられないかなぁ!」

 赤と青2色の美しい軌道を残してレーザーブレードが二刀流で振るわれ、迫る触手を消し炭へ変えます。その直後。

 「あ、くさいのはダメだからねっ!」

 十重二十重に襲い来る触手を延々と斬り続けていたエラさんが魔物が大きく息を吸い込んだのに気が付きました。

 即座にブレードの出力を上げて刀身の長さを伸ばすと車椅子で高速旋回して周囲の触手を焼き切り肩の武装が展開するのに十分なスペースを作り出します。

 そして展開される長大な銃身を持つレールガン……もどき。

 本来必要な電力を魔力で肩代わりして発射されるのは巨大な針……いや、針というかサイズ的に銛とかじゃないですソレ?

 発射された銛は周囲に音速突破の衝撃波を撒き散らしながら防御の為に展開された触手ごと貫き魔物の口へと突き刺さります。

 これにはたまらず魔物も多数の触手で顔?を隠して回復に入らざるを得なかったようです。

 

 一応一点突破用のレールガン以外は熱系の兵器ぶきで揃えてきので、血すらも臭いあの魔物の体液が大気中に放出されるのを最低限で防いでいます。

 と、そんな折に上空からヘリの音が聞こえてきました。

 そして……。

 「降下ー降下ー降下ー」

 親方!空から露出狂が!

 ……まあ、ノンパラシュートスカイダイビングしてもあの胸と股間の霧は剥がれないんですけどね。

 自衛隊を真似た掛け声と共に飛び降りてくる依霞さん。

 「クッション」

 で、地上が近づいてきた彼女は降下先の地上へ深い霧を発生させたかと思うと「ぼふんっ!」っというおよそもふもふとした物体からしか発生しない音を立てて霧の中へと突っ込みました。

 「おk、現着。……臭い」

 うん……、臭いですよね……。


 「k、状況確認。グッジョブ。作戦に移る」

 しかし、匂いに顔をしかめつつも当初の予定通り戦闘に加わる霧の魔法少女。

 なんか、東京近辺で大型の魔物が出た際に確認したいことが有るそうなんですよね。あ、ドラゴン絡みの件だから優先して叶えてやってほしいってザマさんにも言われてます。

 「初手より奥義にて以下略。二重根源・再覚醒デュアルオリジン・リ・イグニッション纏装ペルソナ霧の召喚士ミスト・サモナー

 そして、おもむろにピアスを弾く依霞さん。

 純白の霧が集まって形を創り、彼女の新たな衣装を作り出します。

 ……いや、新たなも何もその前が全裸なんですよねぇ。

 光る布がその裸体を包み、長い長いコートの形を形成します。

 お?露出控えめになっちゃったりします?

 そして、光が収まった時、そこに居たのは……。

 「裸透明レインコートだとぅ!?!?!?」

 素っ裸の上に透明なレインコートを1枚羽織っただけの、何ら見える範囲に変化のない依霞さんの姿でした。

 一枚羽織ったはずなのに更にえっちになるのって、何かおかしく有りませんか!?


 「……なんでか服着ようとすると透明になる。困る」

 ……あ、御本人も悩んでらっしゃいましたか。ありますよねそういうの。

 私もなーんでかどんな服に着替えようとしてもニーソがくっついてくるんですよねぇ。いやまあ、普通に全裸になって理珠さんに買っていただいたお洋服着ればいいだけなんですけど。

 いやしかしエロい。いや、フェチい!困りました、正直言って以前より目のやり場に困ります!

 透け衣装好きなんですよ悪いですか!?


 「とりあえず、目的は検証。撃破する予定はないおk?魔物もしばらく撃破禁止で」

 あ、言われてた通りドラゴンに対して何か調査を仕掛けるっぽいですね?

 魔物を倒すのを止められたのは恐らく、電波妨害目的だと思います。

 ……いやでも臭いんで何とかしたいんですけどね!?

 「k、臭いのは私も一緒。だから、匂いは閉じ込める」

 魔物撃破禁止の指示を受けて相当渋い顔をしたと思われる私達に向けて全裸レインコート娘は苦笑いしながら宣言しました。

 「集え、集え、凍える夜霧。形なきものを成し、形なき事を為せ!」

 詠唱とともに生まれた濃霧が集まり、集まり、集まり……って集まり過ぎじゃないですか!?

 あまりにも巨大な霧の塊に、植物系触手魔物も警戒して動きを止めました。いや、臭いのは以前変わらないんですが!

 ふと依霞さんを覗き見ればこれがもう、最大限に楽しそうなギンギン笑顔を浮かべています。

 

 集まった霧は徐々にその姿を明確にしていきます。

 翼を生やし、首を伸ばし、巨大なあぎとを作り出し……。

 いや、依霞さん!?緑色の髪の少女がソレを召喚すると、世代的にちょっと色々思い出しちゃうんですが!?

 「敵がドラゴンを出すなら私だってドラゴンで勝負する。魔法に専売特許なんて無い……。召喚!濃霧の氷竜ミスト・ドラゴン!」

 

 霧が巨大な竜の姿を取って固まり、高く高く咆哮を上げました。



☆★☆★☆★☆


依霞さん、二重覚醒で霧で色々作れるようになりました。

あと、裸レインコートは全裸に一枚服を着込んだわけだから全裸よりエロくない。いいね?


という事で、ロマサガ2リメイクが発売されたのでFF4ネタです。

いや、メーカー以外に特に関係ないんですが。

なお、作者はスチーム版を購入したのでまだプレイできてないです……。


次回はドラゴンVSミストドラゴン……が成立するかどうかですね、

霧の中、連絡も取れないドラゴンはちゃんと戦闘してくれるのでしょうか?





 

 

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