第155話 同類じゃないですかこれー!!
いやぁ、瓦礫の撤去やら地下構造物の安全確認やらに付き合ってたら4日もかかってしまいました。
といっても、私と
仮設テントに泊まり込みだった魔法少女のみなさんはほんとお疲れさまでした。
んで、今何をやっているかというと……。
『あ、出てきました。鎌倉に魔物が発生したおよそ3分後の東京湾上空、ここにドラゴンが現れたわけですね』
『こうしてみるとしかし、やはり大きいですね。この出現直後に何故か一旦付近の貨物船の甲板に着地するわけなんですが……。はい、ここですね。足元のコンテナを御覧ください。このコンテナが、規格通りであれば40フィート、メートル換算で12メートルの長さが有るわけですね?このコンテナのサイズを基準にスケールを逆算しますと、直立状態で大体60メートル程の大きさであることがおわかり頂けるでしょうか?』
『もう、ほんと怪獣映画の様ですね。で、何故か足元のコンテナを掴んだまま羽ばたき始めて……』
『はい、この数分後、鎌倉に飛来したドラゴンによる破壊活動が行われるわけです』
『いやぁ、恐ろしい被害でしたよね。最近は世界各地で魔物の大型化も騒がれていますし、今後も魔生対による更なる対策が待たれますね』
『……ところが、ところがですよ。このデータを御覧ください。これは鎌倉での魔物発生から3分後、つまりドラゴンが出現した瞬間のとある通信会社の回線状況なのですが……。わかりますか?』
『おや?東京湾にドラゴンが出現した直後なのに通信状況に障害表示が出てないですねぇ』
『そうなんです。ドラゴンは魔物特有の魔力を纏っていない……と、このデータからは読み取れてしまうんです』
『はー、不思議ですねぇ……』
災害救助活動中に受けられなかった授業の補講を受けてる現役高校生組(雛わんこ除く)を尻目に、右手でスマホゲーをプレイしながら左手で膝枕で寝てる雛わんこを撫でつつ、なんとなく垂れ流しにしているニュース番組を見ています。
……雛ちゃん、魔力根源を混ぜ合わせた(意味深)日以降犬化が進んでる気がするんですが大丈夫でしょうか?いや、別に大丈夫じゃなくても可愛いので問題ないんですけど。
で、ドラゴンが魔物じゃないのは魔力の感じで気がついては居たんですが、世間一般の方も電波の様子で見抜くとかやりおるわって感じですね。
まあ、魔物じゃないなら何なの!?って議論で止まってるみたいなんですが。
直接観察した私はわかっちゃってるんですよねぇ……。
あれ、何かの魔法で変身した人間ですよね?ただ、ちょっとなんか魔力から感じる印象がぼやけるというか、複数人の魔力が混ざって感じるというか、そもそもなんか普通の魔力保有者の魔力と違う気がするというか……。
んー、まあ、良くわからない魔力として感じたって事です。
あ、雛わんこが拾ってきたコンテナの中身は段ボールに詰まった衝撃吸収材がぎっしりでした。多分輸出用かなんかだったんだと思います。
念の為国家機密さんチームにもドラゴンが手放してからのコンテナの様子を追ってもらったんですが、特におかしな点は無いとの事でした。
……なんというか、私の直感は「何かあるぞ」と告げているんですが……。まあ、現状だと何も出てこなかったということですね。
うーん、調べ方が悪いのか、もしくは超慎重な相手で常になにかに監視されてる前提で動いてるとか?
とりあえず、次の動きがあるまでは考えても無駄という事でしょう。
と言っても次……ねぇ。
魔物はですよ?ターゲットが私達魔力持ちなので、無人の地域に誘導して戦闘とかそんなに難しくないんですよ。
でも、中の人入りのドラゴンとなると誘導とか無理なんですよね。
だって、中の人がやりたい行動があってドラゴンになって出てきてるわけじゃないですか。
だから、私達がいくら「ヘイ、カモンカモン!」ってやってもスルーされて終わりになっちゃうんですよ。
正直、現状揃ってる手札だと次の出現時もまた周囲に結構な被害が出てしまうんじゃないかと思います。
可能なら出現と同時にぶっ飛ばしたい所なんですが、長射程で高火力の魔法少女は今魔生対に居ないんですよねぇ。
青杜さん、なんでこのタイミングでアメリカに行っちゃってるんでしょう。……渡しそびれたロスキャンの方も渡さないと、蟹座がカッコ悪いままなんですよねぇ。
あ、一応なんか依霞さんに対抗策というか、使える魔法があるそうで次の出現時は彼女に任せるそうです。
そんな感じで皆さんの授業が終わるまでダラダラしていると……。
「なんだ、セヴンス居るじゃない。暇なら今夜私の家に遊びに来ない?というか来て。見せたいものが有るの。あ、出来れば一人で」
珍しく、白さんから押しが強めのお誘いが入りました。
まあ、断る理由は無いんで受けますけど……。
「あれ?時間的にまだ授業中じゃないです?」
「3年生は受験対策しないなら受ける授業が少なくなるのよ。私は大学卒業したら
あー、なるほど……。
確かに、私の時代でも高校3年生となれば模試は多いけど授業はあんまりなかった気がします。
大学、魔法少女は入学に推薦を貰えたりでだいぶ有利らしいんですが、入った後は別に優遇とか無いのでちゃんと単位取るの結構大変らしいんですよね。
実際、今年卒業予定の如月さんは卒論用の資料集めとかで忙しいらしくあんまり魔生対に顔出しませんからね。
ま、とりあえず見せたいものが有るという白さんのお家へ伺いますか。
「あ、帰りにスーパー寄っていきましょ?夕食ぐらいは作ってあげる」
おお、料理上手だと噂の白さんの手料理!これは期待が持てるんじゃないでしょうか?
☆★☆
さて、理珠さんに夕食は白さん宅で頂くので今日は必要ない旨をメッセージアプリで送って、今しがた買い物が終わって白さん宅に到着したところです。
というか、量多くないですか?5~6人分ぐらいありませんかこれ?中学生ぼでぃにはちょっと重いんですが!?
多分、材料を見る限りというかルーも買ってましたしコーンクリームシチューの予定で間違いない思うんですけど……。大量に作って冷凍しておくとかなんでしょうかね?
あ、ちなみにシチューとかカレーを冷凍する時は芋類を入れずに作って食べる前に素揚げしたじゃがいもを入れると味が落ちにくいです。特にカレー。芋が食べたければ、皮ごと素揚げした小さいじゃがいもを丸ごと一個とか添えると皆喜んで食べてくれますよ。
あと、今メッセージ確認したら理珠さんとミラさんからディフォルメされたジト目な本人の顔のスタンプ(魔生対公式サイトより配信)が帰ってきてたんですがこれお土産とか用意して帰らないと酷いことになる系ですか?
飲み会帰りの昭和のお父さんかな?
ということで白さん宅と思しき部屋の前までやってきました。
ちょっと遠いけど魔生対本部から歩いて通えないこともないぐらいの距離って感じですね。健康には良さそうですが、雨の日は大変そうです。
で……。
「あの、なんで自室に帰るのに扉の前で立ち止まってるんですか?」
見た所、鍵を探してるとかそういうのでもなさそうですし?
「まあ、ちょっと……ね」
私の問いかけを受けて意を決したのか、顔を上げて徐ろにインターホンを押す白さん。
……自宅ですよね?
「え?ああ、ちょっとね。セヴンスに会わせたい人達が居るんだけど、その関係」
ふむ、何やらよくわかりませんが、多分お客さんが来てるので急に扉を開けて驚かせないようにしたぐらいな感じでしょうか?
「ただいまー。まだいるー?」
「無事だったか!?」
玄関の扉を開くと同時に、明らかに魔法少女な髪色をした見知らぬ3人娘が飛び出してきて白さんに抱きつきました。
あ、これこの子達に災害救助派遣に参加する連絡とかせずに留守にしちゃってた感じですね?なるほど、そりゃ部屋に入る前にちょっと覚悟を決める時間が必要ですよね。
……ところで、この3人なんですが。
めっちゃ色白な白さんと比べてすら白いというか血色が悪くて青白い肌、特に変身する理由がないのに変身した状態で待っていた事、なーんかものすごく親近感を覚える魔力の波長……。
……
☆★☆★☆★☆
大体夏場にカレーが悪くなる原因は芋
ということで、白さん宅訪問会です。
上がるまで行きませんでした。
シチューはコーンクリームシチューだとご飯をおかずに出来ると思うんですよ。
普通のホワイトシチューだとちょっと難易度が高いです。
コーンクリームシチューってなんぞやって人は専用のルーが出てるので探して作ってみるのも良いやもしれませぬ。おすすめです。
ということで、次回はゾンビ会議ですかねー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます