第154話 ギリシャ神話のように
『だから、ちげーって!その鬼のドライバーは30話からキャクホンが代わってほとんど別の作品なんだって!なんで日本人なのにわかんねーんだよ!』
はい!こちらアメリカに来てしばらく経過した青杜です!
私は今、アベンジ・ストレングスことイザベル・ベネットさんにマスクドライバーについての講義を受けてます!なんで!?
『サクヤちゃんが詳しかったからって全員が詳しいわけじゃないんですー!イザベルさんだって、私が知りたかった星の大戦争の話ほとんど知らなかったじゃないですかー!』
でも、知り合いが居ない私にグイグイ話しかけてきてくれるのは感謝ですね!
ちなみに、よく知りませんけど今ドラゴンがドラゴンがーって騒いでますよね?
代わりに……。
『そりゃそうだけど、この鬼のドライバーの敵みたいにでけー魔物がどんどん出てくるようになったんだから、倒し方の参考に見とくのは良いことなんだって』
巨大な魔物の出現頻度が今、爆増しているのです!
☆★☆
「はい、現地のルーチェ☆メテオリーテです!ということで、今日はニューヨークはマンハッタン!クライスラービルに突如出現した、ガス惑星の様な見た目の巨大な球体の魔物の対処に来ています!」
とはいえ、元々アメリカの魔物はなんか大雑把にでっかい奴が多かったみたいで特に問題視はされてなかったりしますね!
あと、巨大な球体の魔物って言われて出撃してきたんですが……。
どう見たってオオスズメバチの巣じゃないですかーアレ!なんでわかんないんですか!
『毎回、虚空に向かって何喋ってるんだよ。というか、今回の出撃人数やたら多いんだけど強敵なのかアレ?』
『はい!魔物じゃない通常サイズのアレに刺されて死ぬケースがたくさんあるぐらいには!』
アベンジ・ストレングスさんの疑問さんの疑問にはそう返したんですけど、殆どの場合はアナフィラキシー・ショックでの死亡なので毒が直接の死因じゃないんですよね!気にしたら負けです!
問題は、アレが第二種なのか第三種なのかですよ!
女王サマを仕留めれば終わりなのか、数倒さなきゃ終わらないのか。
どっちみち強敵には違いないので、責任者の人に提言して手伝ってくれる人いっぱい呼んでもらいました!
『でーは、この私の毒でまずは混乱させると?よーろしいでしょう!』
で、一番槍はこの人。蝶の仮面なのに根源が殺虫っていう虫が嫌いなんだか好きなんだか良くわからないスプレイ・パピヨンさん。
マダムって呼びたくなる感じのぶわっぶわしたドレスが蝶重そう。
……根源が黒色火薬とかじゃなくて本当に良かったね!
『Fly・Mosquito・Killer!!』
シューッと言うスプレー音と共に、長銃の様に長い長いノズルを持った謎のクソデカスプレー缶からものっすごく濃い殺虫剤が噴射されました!
効果は抜群で、5メートル前後はあろうかというの黒と黄色で危険なアイツが巣から飛び立つと同時にぼとぼと落ちてきますね!
……あれ?つまり5メートルサイズの魔物が高い所から思いっきり落下してくるって事じゃ?
「うっひゃぁ!」
真上から迫ってくるギチギチ鳴く怖い顔面を必死に回避!
「ついでに!
で、回避した勢いのまま他の子に向けて落下してる巨大スズメバチを角度を付けた空中かかと落としで弾き飛ばしました!
一方で、アベンジ・ストレングスさんは落下してくる群れに対して受けの体勢。
どかどかと重そうな音が響いてますが気にしません!ここしばらくで彼女の戦闘スタイルは把握したので!
他の子を守りつつ落下物を受け止める度にその両腕に赤く、黒く、金属質に輝く外殻が生まれ始めてぇ……。
『ああもう!めんどくせぇから巣ごと落とすからな!』
その両の手を組んで巣の方向へ向けたと思うと、外殻が分離してぇ……。
『Avenge Torpedo!』
はい、見事なロケットパンチが発射されました!
あ、えっと、両手を組んでのロケットパンチだとなんか別の名称が有るんでしたっけ?詳しくは知りませんが!
かっ飛んでいったアベストさんのロケットパンチは見事に巣とクライスラービルの接続部に命中して巣を落下させま……いや、これ色々ダメですよね!?
『こーら!まーだ巣の中にどれだけクソ虫共が残ってるか不明なんですよ!?なーんてことしてくれやがりますかこーの脳筋!』
ほら、スプレイ・パピヨンさんもカナダ訛りでめっちゃ怒ってますし!
もう、こうなったら巣が地上に落下して中の蜂達が飛び出してくる前に巣ごとぶっ壊すしかないんじゃないでしょうか!?
……というか、私が周囲に被害が出るからって隕石落として巣を破壊するのを躊躇してたのにアベストさんずるいですよねっ!
まあいいです、この怒りは新技に乗せてあの巣にぶち込むまでです!
下から攻撃するのが落下の勢いもダメージに加わるので都合がいいですよねっ!
落下予測地点に走りながら、イグニッションピアスを思いっきり弾きます!
「
走る私の背中に深いワイン色のマントが広がり、頭にはティアラとヘッドギアの中間みたいなごっつい装飾が、両腕には肘までを覆う頑丈そうなガントレットが装着されました!
いやぁ、私の魔法って流星脚を除いて遠距離向きのばっかりで近距離戦闘が苦手だったじゃないですか。その分遠距離攻撃としての火力はもんのすごいんですけどね!
でも、それしか出来ないってことは活躍できる戦場が少ないのと、何かしらのイレギュラーで接近戦を強いられた時に不味いって事なんですよ!
だから、必死に接近戦で戦う方法を考えたんです!
……考えて……いたんですよ……っ!
それを聞いたセヴンスさんが一冊の漫画を私に手渡すまでは!
なんですか、私の根源そのままの名前をつけた必殺技って!使ってみたら一発で再現できちゃったじゃないですか!
さすが私の推しです!でも蟹座の扱いは酷いと思います!私蟹座です!
さて、内なる小宇宙を燃やしながら巣の落下地点に駆け込んだ私は踊るような動作とともに拳を構え……。
「りゅーせーけぇぇぇぇん!!」
1秒間に100発の、音速を超えたパンチを繰り出します!
……いや、そこまで速くないですし、そこまでの数も本当は無いんですが、そういう気持ちを込めて撃ち込んだって事で許してください、ね?
流星の根源から流れる
『あーら、巣という壁がなくなればこの私の魔法が十全に届くというこーとですのよ!』
更に、死に体となった蜂達に向けて噴射される更なる殺虫魔法。
これ、私の流星拳で中の蜂達が動けなくなってたから良かったんですけど、元気なままなら殺虫魔法が発動する前に大量に空中に飛び出してて大変でしたよね絶対!
まあ、後はもう単なる作業でした!
瀕死でピクピクと蠢くキモチワルイ蜂の群れに、リトルウィッチやメディスンマンのみなさんがとどめを刺していくだけの簡単なお仕事!
いやでも、数がとても多かったので沢山応援を呼んでおいたのは間違いじゃなかったんだと思います!
2~3人で百匹以上のどでかい蜂にとどめを刺して回るとか重労働この上ないですからね!
そんな感じで、私のアメリカ生活は順調です!
……正直、日本に戻ってあのドラゴンに流星の魔法をぶち込みたいっていうのが本音なんですけどね!
あんなでっかい的、滅多に相手に出来るものじゃないですから!
え?心配?
やだなぁ、私の推しはあんなドラゴン程度にやられるような人達じゃないですよぅ!
☆★☆★☆★☆
EDでギリシャ神話のように輝く聖衣纏って~って歌詞にありますけど……
ギリシャ神話に聖衣って出てきませんよね?
はい、聖衣をくろす 小宇宙をこすもって素で読めた人向き回です。
ということで暗い話の次なので箸休め回です。
流星の根源からの近接攻撃で最初に思いついたのが流星拳でした。
しょうがないですよね?
あと蟹座はネタにしやすいので本当にしょうがないのです。作者も蟹座です。
アベンジ・ストレングスさんは受けた衝撃を火力に変換してお返し出来るタイプのタンク型魔法少女です。根源は復讐。身体強化強め。
次回は白さんの自宅に上がり込むセヴンスさん回です。
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