第145話 さらば流星、おいでませ忍者。

 「はい、この度不肖青杜架夜!アメリカ出張?留学?が決まりました!推しと離れるのは心苦苦苦苦ぐるぐるぐるぐるしいですが、日本の魔法少女の実力を知らしめて来ますので!帰国したらめちゃめちゃ褒めてください!特に両手に花で膝にわんこのセヴンスさん!」

 ブンブンと握りこぶしを振り回しながら元気いっぱいに宣言する青杜さん。

 推しだと言われるのは嬉しいんですが、この状況肯定しちゃうんですか貴方!?


 しかし、一文字さんとの入れ替わり派遣は流星の魔法少女でしたか。

 なんか最近近接攻撃も「修行」してるとか言ってたのでどんな魔法を開発したのか興味があったんですが、お預けになってしまいました。

 まあ、直接見られなくてもネットで動画を漁れば見つかるとは思うのでそちらで拝見させてもらいましょう。


 「そして、ボクが帰国した100号戦士こと一文字朔夜だよ!」

 同じく元気よく宣言する帰国したての一文字さん。

 全員顔知ってるだろって?いえ、これはザマさんの横に立ってる新人さん向けのアピールなので必要なことなのです。

 「ア、私、ナバホ族のココ・レイエス。メディスンマン、ストーム・レイヴァン。ヨロシクオナガイシメス」

 で、こちらの方が交換派遣枠の方ですね。

 肌の色からしてネイティブアメリカンの方ですね。

 というか、リトルウィッチじゃなくてまじない師メディスンマンを名乗ってますし、部族も名乗ってる辺りで間違いないでしょう。

 ナバホ族、名前だけならとあるカードゲームの年季の入ったプレイヤーには有名ですよね。 ハイ!ニィ!ヤッ!と言えば伝わるでしょうか?

 「レイヴン!?」とかエラさんが特定の単語に過剰反応してますが気にしたら負けです。


 ちなみに、パトリシアさんは今朝、大荷物を抱えて逃走を謀ろうとした所で確保され、逃げないようにSPに両脇から抱えられながら帰国ドナドナしていきました。

 逃げようとしなければお別れの挨拶ぐらいは出来たんでしょうけどねぇ……。おかしい人をなくしました。

 まあ、段ボール箱4箱分のイトウのご飯とレトルト味噌汁、ふりかけ、カレールーを持ち帰ったようなので日本食欠乏症発症まで多少時間は稼げるでしょう。


 で、なんだかんだ一文字さんと一緒に戦闘映像に映ってたココさんの事はみんなそれなりに知ってたので良いんですが……。

 やっぱり気になるのはザマさんが連れてきた新人さんですよね。

 長い髪を真ん中で分けたデコ出しスタイルのメガネっ子で、身長は中学3年生平均ぐらいでしょうか?

 染めたりしてるわけじゃないんでしょうけど、わずかに深緑の光を反射する黒髪がとても綺麗です。所々に結ばれた和柄のリボンはこれ、和紙でしょうか?ちょっと珍しいアクセサリですね。

 体系的には……くっそぅ、全体的に細い印象なのに出るトコはしっかり出てるうらやまけしからんスタイルです。

 しかもアレ、今から成長するぜ!って段階でですよ!?戦力的には全体的にミニサイズなチームセヴンスの大敗北です。

 

 「おかえりなさい一文字さん。で、頑張ってきてね青杜さん。そして、ココさん、魔生対は貴方を歓迎します。……ということで、引き継ぎ勢は終わったのでみんな気になってるであろう新人さんにも自己紹介をしてもらいましょうかー」

 ザマさんに促され、新人魔法少女が一歩踏み出してキレイな所作で一礼します。

 「拙し……わたしは八瀬、八瀬神楽やぜかぐらと申します。まずは皆様、父を陥れ弄んだ星の神命いのちを叩きのめして頂きました事に御礼申し上げるでござ……ございます」

 いま間違いなく拙者&ござるって言いかけましたよね!?

 なんでしょうこの、言い直した単語から読み取れるテンプレ感は。

 いや、別に服も学校の制服であったであろうブレザーで普通なんですよ?別に網タイツ履いたり忍者といえばポニテ!みたいな髪型してるわけでもなし。

 強いて言うならなんかこう、影が薄いと言うか立ち振舞が何故か印象に残らない感じがありますけど。


 「根源はしのびと紙。変身後の名は繰紙胡蝶くりがみこちょうでご……ございます。あと、戦闘術としては多少の念力テレキネシスと忍術を少々。皆様のお役に立つべく、粉骨砕身の精神で任務を努めさせてもらうでござ……います」

 って、この子も超能力者ですか……。魔法少女適正と超能力適性って地味に重なる部分でもあるんですかね?

 あと、「忍術を少々」って単語は世代的に最強のサラリーマンを連想してしまうのですが、流石に空間断裂を殺気が見えるとか言いながら平然と回避したりはしませんよね?

 って、突然ぶつけられたジャパニーズメジャーカルチャーであるニンジャの衝撃にココさんが眼をキラッキラに輝かせてます。

 外国の方、忍者大好きですよね。

 「自己紹介だけであんなに存在感をアッピルするとか、汚いなさすが忍者きたない……」

 そして、何やら急にライバル心とか見せてきてる九條さん。

 

 「ねえセヴンス、あの子ってクソ教団が洗脳して操ってたっていう忍者マスターの娘さんなの?」

 「ああ、洗脳が解けかけて混乱している所を真割さんが終わらせたという方のですか……。戦闘に関わったお二人を恨んでいたりしなければ良いのですが。」

 そして、それはそれとして両腕に抱きつかれつつ、両側の耳元で吐息とともに囁かれる私のこの状態はなんなんですかね!?

 明らかに私の周囲だけ浮いてるんですよ!ソファーに座った私の両側にミラさんと理珠さんが抱きついてて、床に座った雛わんこは徹夜明けで私の膝に頭をあずけてすやすやタイムですよ!

 まあ、それはそれとして自己紹介の口上から考えて恨んでる感じはしないですよね。むしろ外道な行為をやって名を汚す前に始末をつけてくれて感謝みたいな、そんな空気を感じます。……うーんサツバツ!


 「なるほど?貴方があの忍者の忘れ形見でやがりますのね?あの方には攻撃が当てられずに苦労させてくれやがりましたからね。貴方にも期待してますわ」

 八瀬さんの自己紹介を聞いて立ち上がった真割さんはずかずかと彼女に歩み寄り。

 「ああ、ワタクシがデア・ペネトレイターこと真割愛留ですわ。以後よろしくおねげーしますわよ」

 いい笑顔で右手を差し出しました。

 「ああっ!貴方がっ!弄ばれていた父に始末をつけてくれた事、感謝するでござ……います。父の最期を飾っていただいた言葉に、心意気に、拙っ……わたし感動したのでござ……います。どうか、仲良くしていただければ幸いですお姉様!」

 そして、それを満面の笑みで両手で掴んで離さない忍者ガール……。


 ……あ、貴方もそういう方向性なんですね?

 誠に遺憾ですが、最近ちょくちょくネットで囁かれる魔生対初動対策課=百合カップルお見合いサークル説が否定できなくなってきました。どうしましょう?

 いや、元凶かもしれない本人にだってどうにも出来ないことなんですけどね!?


 しかし、忍者で紙使いですか。

 彼女の魔法習熟度次第ですが、これめちゃめちゃ動画映えする魔法を使いそうな気がしてきました。

 出来れば早速拝見させてもらいたい所なんですが、「話の途中だがワイバーンだ!」みたいに都合よく魔物が湧いてくれるわけないですよね。

 わけないですよね?

 ね?

 

 ……駄目ですねフラグを立ててみましたが、今日は日の出前に1匹出現してますので頻度的に2体目が出る可能性は低いでしょう。

 まあ、急に出てきた魔物が八瀬さんと相性良いとも限りませんし?というか今出現したとしても自己紹介動画も投稿してない八瀬さんが出撃させられる可能性はまず無いですからね。

 とは言え、近いうちに初陣を飾ってもらいうのは間違いないと思うので変身シーンや戦闘方法はその時にじっくり見学させてもらいましょう。


 特に変身シーンをちゃんと拝めるのは同じ所属の魔法少女の特権ですからね。

 果たして、どのタイプの忍者衣装なのか!

 わたし、気になります!


☆★☆★☆★☆


最初はアインハンダーさんが渡米する予定だったんですが……。

渡米するキャラは一人称で専用回もらえるじゃないですか。

ブロント語で1話書き切れるのか?って疑問と、そもそも忍者属性のキャラが来るのに謙虚な言葉遣いのナイトが不在とかちょとsYレならんしょこれは・・・?

ということで悩んだ末に流星の魔法少女があちらに行くことになりました。

白さん渡米の予想とかありましたが、ちょっと彼女は今期別の仕事が……。


ということで、次は忍者少女の初陣回です。


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る