第129話 私の最高の仲間達!
「私の方も出血が止まりませんね?それどころか、身体強化に含まれている自然回復力強化の影響下にあるにも関わらず小さな傷ですら塞がる気配がありません。これは不味い気がしますね?」
右ストレートさんだけじゃなくて魔弾先輩の方も血が止まらないみたい。
え?ミラ?ミラと姉さんは血の根源を持つ魔法少女よ?無駄な出血なんて許すはずないでしょう?
でも、ミラも出血は止めてあるけど傷が回復する気配がないし、そういう概念も持ってるのかな?不治みたいな?
一旦止血をやめて血を流してみると、明らかに血の流れ出る量が多い。
傷、不治、出血の一旦傷がついちゃえば時間稼いでるだけで相手が倒せる構成って事?というか、そもそも間合いを取りながら傷を作り続ければ普通に相手が動けなくなって終わりだよね。
で、本人が攻撃特化にしてある分、あっちの空間の概念持ちが防御担当してるのかな?
いや、概念だもんね、自分が負った傷は治してしまえる可能性も考慮しないと。
ふふっ、こうやって色々考えてるとミラもセヴンスに近づいてるみたいな気がする。決して楽な戦闘じゃないのに楽しくなってきちゃった。
「くっそ、なんでそっちにも
いや、超能力者を星に選ばれたものって呼んだり魔法少女を邪神の使徒扱いしてる根拠がまずわからないし……。それだけ自分たちが特別だって思っていたかったのかな?
よくわかんない事を叫びながら切り裂き魔の方の
「どうして概念能力の使用で超能力である
最初みたいに深い裂傷が複数発生するような事は無いけれど、切れ味の良いナイフで浅く裂いたみたいな切り傷があちこちに生じる。
うん、ミラ自身は出血による戦力低下や命の危機とは無縁だけど、流石に傷が痛くて集中しづらくなってきたし相手の戦力も把握できたと思うからこちらの手札を見せても問題ないと思う。
おっと、念の為に実験だけはしておかなきゃ。
腰の鞘から剣を抜いて、その刃で手の甲に出来た小さい傷を皮膚ごと削って敵から付けられた切り傷の痕跡を消してみる。
前より大きな傷をつけた痛みはあるけど傷自体は自然回復強化の恩恵を受けているのか血が固まり、
うん、どっかの漫画でみた傷を治すための行為自体を禁止するみたいな効果は無いと思っていいかな?
それならミラの新魔法でどうとでもなるんだから!
6のケースを開封して2匹のヘビが絡み合った装飾の杖を取り出し、膝をついて両手で捧げるような姿勢を取る。
思い浮かべるのは、いつも自信なさげでちょっと頼りない笑みを浮かべているメガネのお姉さん。……顔より胸のほうが印象が強くてイメージがブレやすいから気をつけないと。
これが、セヴンスの
『
実体の無い騎士がミラの記憶と杖に仕込まれた本人の血液によって、その姿と能力を写し取って姿を変える。
いつもと同じように、自信なさげな表情を浮かべながらミラの手から杖を受け取ったのは水銀の魔法少女、メリクリウス・アルタリアさんの姿をした亡霊騎士。
当然、写し取ったのは姿だけじゃなくて……。
「水銀さん、傷の治療をお願いします」
おっぱいさんの写し身となった亡霊騎士は、当然のように自らの周囲に蠢く水銀の下僕を呼び出してそっとミラ達の身体を拭う。
深い傷は一度では消えなかったけど、二度三度と水銀のスライムが傷を拭う度に小さくなって消えていった。
ふふーん、これがミラがセヴンスと根源を結びつける事で可能になった最強の魔法!
……うん、実は最強は言い過ぎで、出力としては本人の3割ぐらいの効果しか出せないし、一応セヴンスも呼べるんだけど戦闘時の、あの良くわからない高速思考とか魔法の変な使い方とか本人以外どうやっても無理だし?
あと、眼の前に本人がいる時は本人がいるのに写し身を呼び出すイメージが出来なくって喚べなかったりするし、制限はそこそこ強め。
でも、この魔法の本当の力はそんなところじゃなくて……。
『
7番のケースから取り出して組み立てた赤い刃の大鎌を軽い調子で受け取っていく騎士と、本人曰く武器は無いけど私と言ったらこれと言われて渡されたゲームのコントローラーを受け取っていく騎士。
そう、この魔法は現状で3人まで、私が仲間だと信じられる魔法少女を呼び出すことが出来るの!
……ちなみに、セヴンスが7番なのは最初に7番の英雄から作り始めたからであって、7番目に作ったとか、強さが7番目とかそういう理由じゃないからね?
だって、第一の英雄、セヴンス!とか収まりが悪くなるでしょ?
「えー?はー?なんですかそれー?魔法少女のコピー作ったりとかずるいとおもいまーす!鬼巫女ちゃんのコピー作って私と一緒に行動させるべきだとおもいまーす!」
「……セヴンスさんと関わると使う魔法がどんどんおかしくなっていくって噂は本当みたいね?傷も癒えましたし、出血が止まったおかげで魔力による疑似血液生成で問題なく動けますね。ミラさん、なにか作戦はお有りですか?」
無事に先輩方も復活したみたい。
でも、経験豊富な先輩方が作戦立てたほうが良いと思うんだけど……。最年少で経験も浅いミラが主導しちゃっていいの?
「やー、今手札が一番多いのはミラさんですよー?私達には今の状況を打開する手段がありませんしー?だから、なんとか出来る人が主導したほうが大体上手く行くと思いまーす」
まあ確かに、魔弾先輩は超能力の妨害で忙しそうだし、右ストレートさんは走れないって所がネックになって立ち回りを考えられないみたい。
エラ姉さんは敵を引き付けるのに必死だし……必死かな?あれ絶対何やっても防がれるから全武装の使い心地を確かめるつもりで色々使ってるよね?
その、両腕がリニアガンに変形してるように見えるんだけどどういう経緯でそうなったの!?
っと、今は姉さんの変形機構を考察してる暇はないんだった。
えっと、作戦、作戦……。あ!こういうのはどうかな。
大盾を構えていた亡霊騎士達に引っ込んでもらって、メリクリウス・コピーの水銀スライムを薄く膜のように展開して代わりの視界遮蔽物として展開する。
なんてったって流体だ。液体に傷はつかない、この相手に対しては最強の防御魔法になると思う。なんだったらこのまま傷も治せちゃうしね?
外部からの知覚を全て阻止する霧なんてとても便利な魔法を持っていてくれて助かった。……まあ、理珠姉様の藤御簾と違ってそこに居るっていうのはバレちゃうんだけどね。
地味にこの子の魔法もセヴンス並に種類があってびっくりした。目立った戦績は無いけど、隠れた実力者なんだと思う。
さて、この状態で進軍すればこちらは無傷で接近できるって考えたんだけど、どうかな?
セヴンスのコピー?喚び出した時は明確に、何かをやってもらおうと思って喚び出したはずなんだけど、作戦を考えてるうちに思い出せなくなっちゃって……。
とりあえず、エラ姉さんと協力して攻撃に参加してもらって、防御に手を割かせる感じで行こうと思う。
「なんだよそれ!クソかよ!霧も水銀もテメーの魔法じゃねーだろうが!」
逃げ道を塞いで進軍してみれば、切り裂き魔が悲鳴のような罵声を浴びせてきた。
なるほど、手札で相手を圧殺するってこういう感覚なんだ?
ちょっと気持ちいいけど油断に繋がりそうで少し怖い。
早めに右ストレートさんの射程内に追い込んでこの戦闘を終わらせてしまおう。
窓際まで追い込んで後ちょっとで射程内、強敵だったけどこれで終わりかな。なんとかなって良かったぁ。
なんて、倒してもいないのに気が緩んだ瞬間だった。
「こうなったら私が盾になる!てめぇは私が死ぬ前に空間を歪めてこいつらをバラバラに吹っ飛ばせ!」
「中々無茶を言いなさるが、この場合それが正解でしょうな」
なんて会話が聞こえてきた。
……そうだ、セヴンスコピーを喚んだのはワイヤーで敵やミラ達をそれぞれ括り付けてバラバラに転移させられるのを防ぐためだったんだ。
やっぱ、セヴンスみたいに無茶に見えても絶対に成功する作戦なんて思いつかないよね……。失敗したなぁ。
なんて思っていると……。
《ですから、こうやってお互いにフォローする必要があるのですよ?》
頭に響く理珠姉様の声とともに黒い雷を纏った矢が窓を突き破りながら空間の
そっか、理珠姉様見てくれてたんだ。
そうだよね、ミラの思考も心理状態も繋がってるんだから焦ってる様子が伝わってしまえば理珠姉様が動かないはず無いものね?
空間の魔物さえなんとかなってしまえば、後は何の問題もなく……。
「エラさんはちゃんと避けてますかー?行きますよー?
右ストレートさんの必殺の一撃で、
はぁ、
☆★☆★☆★☆
ミラさん本人は気がついてませんが、騎士12体とか魔法少女コピー3人とか操れる精神構造は他の人には真似できなかったりします。
ということで、ミラさんの根源合体魔法お披露目。
出力3割で魔法少女3人喚べたらほぼ1人増えたのと変わらないじゃんとかそういうアレ。
なお、コピーに藤御簾を使わせると3割存在感が薄れるだけとか、とても悲しい効果になる模様。
あ、エラさんの武器腕リニアガンは3SLのコープスペッカーのヤツです。
ガチタンキラーのアイツです。
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