第123話 3人での再臨と開戦準備

 「セヴンスさーん、私の義足込みでの重量結構なものになるんですがー、ワイヤーってちぎれちゃったりしませんよねー?」

 「多分大丈夫です。義足込みで体重が1トン超えて無ければセーフです」

 ということで、奴らが集会をしている廃ホテル前のビルに全員集合しました。

 バスで接近して見つからないのかと思ったんですが、あのホテルからじゃ見えない角度でここまでたどり着ける道があったからこのビルが選ばれたっぽいです。

 で、この集会。そもそも付近の住民がまだ居る地域でやってるので通信妨害による魔物探知にバリバリ引っかかってるんですが、あちらとしても魔法少女が来るなら来いよ数敵優位はこちらに有るぞ的なスタンスっぽいんですよね。

 といっても、想定してるのは転移1名、加えて私のチーム4人で5人程度の襲撃でしょうから初動対策課全員が不意打ちで攻撃かけてくるのは想定外だと思います。

 

 「セヴンス、エラ姉さんは1トン余裕で超えそうなんだけど……」

 まあ、そうなんですよね。

 そもそも普通のビルの床の耐えられる重量が300キロ前後ぐらいですからね。

 それを踏まえて、エラさんには今金庫とかサーバーとかを設置する為に床を補強された区画。確かヘビーデューティーゾーンでしたっけ?に待機してもらってます。

 作戦前に確認した所、1トン前後はなんとかなりそうでした。

 まあ、フル装備すぎてロボか?ってなってるエラさんは現状1トン超えてますが短時間であれば問題ないでしょう。

 曰く「みんなパワーアップ形態あるのにエラだけ無いのひどくない!?」って言われたので技術班が頑張って全部乗せ出来るようにしたそうです。

 「ミラ、ミラ、大丈夫。エラ、自分で飛んでいくから!」

 ブースターや姿勢制御における全機能を身体を動かす程度の感覚で操作できるエラさんだからこそ出来る事らしいんですが、人間サイズで飛んで、戦闘機動出来るメカが存在するってすごくないですか?


 そんな感じで、ゆるく打ち合わせしつつ時間は作戦開始10分前。

 準備のために皆が変身を開始します。

 それじゃ、私達もやりますかー。

 気合を入れて視線を向ければ、理珠さんもミラさんも私を見つめていました。

 はい、のっけから全力稼働です。3人で再臨して臨みましょう。

 なにやら、みんなの視線が私達に集中してる気がしますが気にしないようにしましょう。地味に、最近雛わんこが熱視線なんですよねぇ……。


 最初に理珠さんと、次いでミラさんと骨まで溶けるような熱い口づけを交わします。

 地味に大変なのが、理珠さんに絞られ過ぎないようにしないとミラさんに注ぐ分が無くなってしまう事と、ミラさんに注ぐ時に私の魔力だけを注がないと理珠さんの魔力が混じってしまうことですね。

 交じると再臨失敗するという事実は昨晩判明しました。

 念の為実験しておいてよかったです。

 ところで、右ネキはなんで両手で耳をふさいで後ろ向いてるんですか?

 あ、見ちゃうと戦闘不能になりかねない?なるほど。

 見られないからってセルフで血涙流すほど悔しがらなくても……。

 

 さて、私を中心に手を取り、理珠さんとミラさんも手を繋いで背中合わせの三角形を作ります。

 では、3人であの言葉を叫びましょう。進化の言葉を!

 s.CRY. ◯d!

 ……失礼、間違えました。

 「「「再臨アドヴェントゥス」」」

 

 黒雷と花びらと銀色の糸が乱舞する球体が私達3人を包み込みます。

 「「「心聖アニムス・キャロルム完全同調チューニング・ペルフェクゥム」」」

 そして、私達3人の声と同時に変身が開始されます。

 まあ、私と理珠さん、私とミラさん、2人から影響を受ける私、という組み合わせなので理珠さんの衣装変化は前回と変わらずですよ。

 強いて言うなら、前回よりフリルが増量されて帯から下がほぼスカートの様に変化してるとか、帯にジャラジャラとシルバーのアクセサリーが増えてたりだとか、ピアスが増えてたりとかするぐらいですね。まあ、実は穴の空いていないフェイクピアスなんですが。

 ……いや、変化量思ったより大きいですね?


 一方、ミラさんの方はもうどえらい変化量です。

 というか、ある意味胸の純魔結晶から絶えず私の魔力が流れ込んでるせいで再臨するとそっちの要素がマシマシになるといいますか、中二病全開になります。

 純白のウェディングドレスは黒く染まり、血の根源を表しているのか所々に赤い差し色が入ります。

 同時に、首輪、手枷、足枷と鎖と共に連想される拘束具が次々と具現化し、衣装の各所にも長いチェーンと、その先端にペンデュラムを思わせる宝石のついたアクセサリーが生まれます。

 多分こっちは傀儡の根源イメージですね。

 両手指5指にも鎖のついた指輪が現れ、隠密性皆無、何をやっても鎖の金属音がするやべーウェディングドレスの女が完成します。

 左手薬指の指輪だけ妙に豪華なのは何なんですかね?ブラックダイヤとアメジスト、そしてルビーがそれぞれ私と理珠さん、エラさんなんだと思います。

 正直、中二病的にバチクソ好みの衣装で困ります。

 

 私?私は……。

 まず、胸に大きなクリスタルの装飾が出現しまして……。

 次いで各所の藤の花の装飾がまあ、ほぼほぼ2倍になりましてですね?

 色が、藤色と赤の2色で生成されるわけですよ。

 3本の藤花のかんざしの装飾がゴリっと増量されまして、反対側から鎖とガーネットがじゃらじゃらとくっついた簪が1本……。

 派手と中二のギリギリを攻めたような装飾過多気味なスタイルになりました。

 指輪?ミラさんとお揃いの含めて2つに増えてますが何か?


 後は3人で考えたポーズを決めつつ、変身完了を叫んで終了です。

 「魔女、ウィステリア・ヴェール・ザ・ジョーカー!」

 「魔女、マリオネイター・メシアン・グリムリーパー!」

 「魔法少女、セヴンスジョーカー・ブラッド・サイレンス!」

 「「「完全解放リベラティオ・ペルフェクトゥム!」」」

 はい、鎌を持った中二病患者を死神グリムリーパーと好意的に表現してくれたミラさんに感謝ですね。


 《2人共、問題なしですね?》

 《こちらミラ!何の問題も無い……と思う》

 《理珠です。こちらも問題ございません》

 ん、どうやらちゃんと変身成功のようです。

 私達が再臨している間に他の方々も大体は準備が整ったようですね。

 

 「さて、じゃあワタクシもそろそろ教祖サマをぶちころがす為の必殺の一撃を準備してやろーじゃねーですか。……で、どいつが教祖なんだかわかんねーんですけど指示頂けます?」

 と、何やらごっつい暗視ゴーグル亜種みたいなのを装着した真割さんが問いかけますが、魔力を透視して配置の解る彼女と違ってそもそも私達には壁とブラインドの降りた窓しか見えてませんからね。

 疑問に対して何も答えられません。

 PrrrrrPrrrrrr

 と、沈黙を破るように内線電話が鳴り響きました。

 あ、そうか。別に魔物の魔力圏内だとしても有線の情報通信は普通に使えるんですよね。

 

 ……えー、誰も出ないようなので私が出ました。

 そういや、魔法少女って基本的にソロ活動か増えてもペア活動なのでリーダーって居ないんですよね。

 とは言え、全員が一同に介して同じ相手と戦うなんて状況は早々無いので問題はなさそうですけど。

 一瞬、ラーメン屋の演技でもしようかと考えましたが通話の相手が警察・機動隊の可能性もあったので我慢して応答しました。

 「はい、こちら魔法少女待機フロア。何か問題ですか?」

 返ってきたのはホッとしたようなため息と……。

 「っはー、良かった、セヴンスさんか。ちゃんと会話できる相手でホッとしたよ。そろそろ時間でしょ?あのクソカルト共の首刈り用の連絡サ。教祖はわかりやすくちょっと離れてるヤツね。壇上で演説中で隙だらけ。大司教アルシェヴェックの位置は転移前に直接指示するから、パトリシアさんをこっちによこして」

 

 ん、ちょうど良く敵の配置の情報でしたね。

 真割さんとパトリシアさんに伝達すると、2人共殺る気まんまんの表情でそれぞれの役割を開始しました。

 地上を見れば、警察や機動隊の方々が廃ホテルから死角になる経路でじわじわと接近しています。

 こちらも、有線でなら通信可能な事を踏まえて中継車から各部隊へ長い長いケーブルを引っ張ってるのが見えます。良い力技ですね。

 

 さて、時間も迫ってまいりましたし?戦闘開始オープンコンバットと行きましょうか!



☆★☆★☆★☆

3人再臨回

首輪手枷足枷鎖付き黒ウェディングドレスとか性癖盛りすぎですが、この作品は足し算しか出来ない使用なのでご了承ください。


さて、突入準備と斬首の準備が整いました。

早いとこ敵に仕掛けたかったんですが、再臨時の描写を抜くのもどうかと思いまして

次回で斬首戦術開始ですのでご了承ください。


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