第121話 カルト教団ぶっ潰し作戦会議

 雛わんこ巫女服ノーパンポールダンスにより右ネキ出血多量で医務室送り事件から一週間ほど経過しました。

 その間、特に概念型の魔物が発生するでもなく、通常の魔物出現にセイクリッド・スターさんが現れるでもなく不気味な平穏が続いています。

 まあ、なんだかんだ前回襲撃してきた星機卿カディナルさんなら十分な戦果を挙げられる予定だったのでしょう。

 セイクリッド・スターさんが来たらむしろ有利になる予定の戦闘で被害ゼロとかやられてしまって現在はさらなる戦力増加に努めているとかでしょうか?

 

 しかし、一般市民とかではなく魔法少女を目の敵にして狙ってくれるのは対応する側としてはやりやすくはあるんですよね。や、魔法少女というかもう完全にセヴンスチーム狙いみたいなものになってますが。

 正直、毎日同時多発概念型襲撃とかやられて守れなかった魔法少女達が誹謗中傷の的になるような展開よりはよっぽど気が楽です。自分が頑張ればとりあえず被害は出ないっていうのが良いですね。

 

 あ、強化装備のあのピアス。

 オリジン・インジェクターと名付けられたアレもパトリシアさん含めて全員に行き渡ったようです。

 ただ、問題として二重根源変身するには当然新しい魔法が必要なわけで……。雛わんこみたいな完全パッシブ型でもない限り、受領即運用とは行かないみたいです。

 実際の戦闘で使用してみて、実用に耐えうるようなら海外輸出までありえるとか。魔生対の立場が強くなる!ってザマさんは大喜びでした。


 で、今日は魔法少女たちの授業が終わった辺りで会議室への集合命令がかかりました。

 多分、アレコレ調整がついてあの魔物崇拝カルトを色んな面から抹殺する準備が整ったんだと思います。

 ザマさんがギラッギラのいい笑顔を朝から浮かべてましたし、今日の昼過ぎに国家機密さんからメッセージアプリで「やっと寝られる!ビバ睡眠!」というメッセージが謎のスタンプと共に送られてきたので間違いないと思います。お疲れ様でした。


 「ぬー、ラフィーネン魔力の構成が変わるわけでもないからの。流石に外見じゃやつがれとて何の魔物なのかわからんのじゃ。すまんの」

 「じゃあ、解るのは誰に何体分の概念が吸収されたかって事だけね。確認のためにわざわざお越しいただいたありがとうございます」

 「ザマさん、そいつにお礼言わなくていいですからね?というか、わざわざ私をパシらせて用意させたなんじゃこら大福をコイツに食わせるのは論外ですよ?」

 そんな、やや緊迫した空気が漂う中。私はザマさんの執務室にシアちゃんを連れてくるように言われた挙げ句、ザマさんの地元までひとっ飛びしてご当地スイーツの購入という仕事をさせられていたのでした。

 

 いや、正確には人間と概念型の魔物が合一する映像からどの概念の魔物が合一したのか解析できないかとシアちゃんに話を持ちかけた所、美味いもの食わせてくれるならと言われて私がパシらされていたわけですね?

 くくく、しかしシアちゃん。それが罠であるとは気がついていないようですね。なんじゃこら大福はあんこ、クリームチーズ、いちご、栗と大福に入ってそうな具を全部盛りにした特大のサイズの大福。これをこの時間に食べてしまえば晩御飯は禄に喉を通らないという罠を!

 そして、それを理解している私とザマさんは真っ二つにして半分ずつをお腹にinです。……あ、これいちごが全部ザマさんの方に行ってますね?ちくせう。


 まあ結局、概念型の魔物って外見だと区別がつかないですし、儀式の方でも◯◯の魔物ーとかって呼ばないんですよね。流石に何のヒントもなしで魔力のみでどの概念なのか突き止めるのはシアちゃんでも不可能だったようです。

 一応、誰に何体の魔物が合一されたかは映像を集めてきた2人によってレポートにまとめられていますのでわかるんですが。

 星機卿カディナルさんから聞いた教祖の6体と、映像から判明した大司教アルシェヴェックの5体、司教エヴェック2人の3体がそれぞれ何の概念の魔物と合一したのかはわかりません。

 一応、教祖の大山田の強制と自死だけ判明していますね。コイツは私が相手をすることになる感じなのですが……。

 しんどいのは、今回の魔物崇拝カルトの被害者が全員私とあんまり関係ない人間ばっかりなので、感情の高ぶりをトリガーとする事象剪定の瞳バロールズ・オキュラスの発動が見込めないことですね。

 強敵を真っ当に攻略しなければなりません。


 ……いや、真っ当に攻略とか私が考えてどうするんですか。

 相手の居場所がわかってて、こちらが先制攻撃をかけられるんですから初手でほぼ勝利な手があるじゃないですか。

 会議で同じ案が出ない様なら提案させてもらいましょう。

 

☆★☆


 そんでもって放課後です。

 いつもの会議室でいつもの配置。今日も両脇は理珠さんとミラさんでガッチリと固められています。

 「はーい、それでは魔物崇拝カルト教団『星の神命いのち』ぶっ潰し会議を始めまーす」

 うん、のっけからザマさんがハイテンションでトバしてますね。

 まあ、色々裏で動いてた結果の発表の場でもあるのでしょうがないですね?

 「今回、国内の宗教団体がガッツリ公共への被害を齎す活動をしていたとして警察から全面的な協力を得られることになりました。また、魔物と合一した超能力者に関してもかの存在は人間を捕食する人類とは別の存在になったという定義において人権を剥奪されています。今回の作戦行動は全てにおいてお上の許可が取れているもしくは後からもぎ取るので完全に何やっても問題ナシ、全力で行っちゃってください」

 つまり悪人に人権は(今回に関しては)無いので思いっきりヒャッハーしろって事ですね?わかりました。


 「でーはー、次にお手元の資料を御覧くだっさーい」

 ……しかしザマさん。テンション上がりすぎてますが大丈夫でしょうか?

 「えー、1枚目は今回襲撃予定の施設の立地と周囲の状況なので無視していいです。郊外だからよっぽどじゃない限り周辺に被害は出ないって事の認識だけしとけば良しです。で、2枚目は構成員の名簿とか人数とか。正直ここも魔生対うちには関係ないから飛ばしてください。魔物でも、超能力者でもない一般人は全部警察に任せちゃいましょう」

 まあ、逆に一般人を殺さずに制圧しろって言われてもちょっと難しいですからね。拘束する手段は有っても殺さずに確保する手段が……いや、あるかもしれません。

 「ザマさん、初手で依霞さんに一般人が昏倒する様ななんかこう、いい感じの霧を撒いてもらったら警察の方もだいぶ楽になるんじゃないですか?」

 

 その手があったかと皆の視線が依霞さんに集中します。

 「彩月さん、作戦開始はいつ?」

 「3日後の夕方、日没と同時に仕掛けます」

 「K、それまでに仕上げる。作戦に組み込んで」

 あ、これそんな便利な魔法は持ってなかったヤツですね。しかし、今から作成する魔法を使えるものとして作戦に組み込めなんて、カッコイイこと言いますね依霞さん。


 「っと、話が飛びましたが、そういう事なので2枚目の資料も無視して大丈夫です。で、3枚目が本題。調査チームが調べてくれた奴らが集めた概念型の一覧表。……正直、ちょっと目眩めまいがするけど一通り目を通して」

 言われたとおりに、軽い気持ちで資料をめくると……。

 ずらりと並んだ概念30個超。

 これ、合一した概念と野放しの概念型の魔物も全部混ざっちゃってるんでどれが相手に居るかすらわからないんですよね……。

 さて、ザマさんはこれに対してどんな作戦を立ててきたのやら。



☆★☆★☆★☆

やたら九州銘菓が出てきますが

別に九州に住んでるわけではなかったり。


ということで作戦会議開始です。

初手でアレやればボス死ぬよね?を真面目に実行するアレな作戦を立て始めます。

奇襲は初手で最大火力を投入するのが正義ですからね!




 

 

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