第113話 しかし、それはメタられている。
「はぁ、所詮は芸人崩れの
地面に落下し、亡霊騎士団からタコ殴りにされて活動を停止したコピーの魔物へ向けて侮蔑の言葉を吐く封印と不壊の魔物。
って、さらりと重要情報垂れ流しましたよね今!
加えて、コピーしか能力のなかった奴に対して1体と合一した程度と言っていますので封印と不壊、コイツは少なくとも2体以上の魔物となんかこう、合体した感じなのでしょう。
いや、まあそもそも原罪教と完全に同じ階級分けなのかもわかりませんし、かっこいいからで枢機卿や侍者をヒエラルキーに突っ込んでる感もだいぶありますが。
それでも、間に複数階級が挟まってるのは確かでしょう。
なら、1体と合体した程度とのたまったコイツが封印と不壊2体分の能力だけしか持たないなんて事は無いでしょうし。
むぅ、大した相手じゃないとかフラグ立てるからこうなるんですよ?誰ですそんな事考えたの。
私の方へと向き直り、自然な動きで腰を落として胸の前で手を構える封印と不壊の……いや、教団の
これ、空手のなんとかって構えですよね?手羽先?いや、なんか違う気が……。
しかし、なんというか威圧感がありますね。これは相当な使い手と見ていいでしょう。いや、格闘技とか素人なので隙がどうこうとかはわからないんですが。
うーん、真っ当に戦ったら戦術的に負けな気がしますね。何か奇策を考えましょう。
何はともあれ、使おうとしたときに封印されてると困るので先に
さて、これで私に封印の能力はあまり効かなくなりました。私の魔法、魔力消費的には小技に分類される物が多いですからね、これだけ同時発動しても
こちらの勝利条件は
うーん、達成難しそうじゃないです?
「人数的に振りだと思うんですが、撤退したりはしないんですか?」
私が
「はっ、勝てる勝負で逃げるバカがどこに居る」
うーん、この状況で勝てる認識なの怖いですね。
後2つ3つぐらいは隠し玉がありそうな予感がします。
……いや、なんでこんな何でもないタイミングでこんな強敵と戦わなきゃならないんですかね?
まあ、にらみ合いしてても時間が過ぎていくだけですし、仕掛けるだけ仕掛けますか。
一応被害が最小限になるようにしたとは言え、封印の能力を喰らいたくはありません。かつ、
大鎌の柄に
流石にちょっと鎌が大きいので重たいですがそこは身体強化でなんとかします。というか、なんとかならなくなる前に
……鎖鎌は分銅の方を回して巻き付け、引き寄せてから斬るのが本来の使い方?そんな事は知ってますが今回に関しては鎌をぶつけた方が勝利への近道なのでこれで良いのです!
『沈め!』
高速で飛来する鎌を認識すると同時に、
声と同時に、かなり距離を取っている私ですら飲み込む範囲が水に飲み込まれました。
……いえ、違いますね、コレも概念の一種でしょう。
呼吸は出来ず、全ての行動において本当に水が纏わりついているかのような抵抗がありますが濡れていません。
「水中の概念」とでも言ったところでしょうか?
戦闘の余波で舞い散った街路樹の葉が浮かび上がらないことから考えて、水中に潜らされたと感じた存在にしか効果がない感じですかね?
当然私はその対象に入ってるので気合を入れて加速させた鎌も水の抵抗を受けて一瞬で減速、到達前に落下してしまいました。
『
次いで襲い来るのは寒波。
身体に触れている水の概念を持たされた空気が一気に冷たくなります。
奴自身は影響を受けないのか、この状態で駆け出して一気に接近する算段のようです。
呼吸と身動きを妨害する概念の水中へ引きずり込み、接近して魔法を封印し、自身への攻撃は不壊で防ぎ、相手の溺死、もしくは凍死を待つ……と。
そりゃ自信もありますよ。これ、ソロで突破できる魔法少女が何人居るんですかね?って話ですもの。
組み合わせによっては複数人食えちゃったりするんじゃないでしょうか?
……ただ、残念ながら私には効果があんまりないんですよね。
ほら、ゾンビですし?呼吸とか別に必須じゃありませんし?体温低下とかもあんまり関係ありませんし?
相手が加速してこちらが減速した、ぐらいの効果しか無いですね。あとは遠距離攻撃がやり辛くなったぐらいでしょうか。
『封印!』
で、この封印も既に展開してる私の魔法には意味がないですし。
そりゃ、どうやって調べても私が死体だって事はわからないとは思いますけど、ちょっと自分の能力を過信しすぎてませんか?
当てる気まんまんで放たれた正拳突きを
背後から迫る脅威に対し
概念の水中から逃さなければ時間経過で私が死ぬ前提の行動でしょうけど、それは消極的が過ぎるというものです。
私を倒すつもりならそもそも大鎌の回収を許すこと自体が失策ですしね。
なにせ、私が新しく魔法が発動できない以上
☆★☆
「なぜだ!なぜまだ動ける!?」
速度の出ない概念の水中で交錯することこれで7回目。
一向に動きの鈍らない私に対して
まあ、必殺のつもりの戦術が想定した時間の何倍も過ぎてるのに効果を発揮しなければ驚きもしますよね。
空手の動きにも慣れてきましたし、逃げる
正直、このまま小競り合いを続ければそのうち
「疾走れ、影無き木々の根よ……」
紡がれる祝詞は不可視の拘束魔法である影藤の絡み根。
罠が仕掛けられた場所は
水の抵抗が小さくなるよう四足獣の様に低い姿勢を取ります。
同時に、
バランスを考えずに全開で加速した影響で
私の軌道から細かい制御は効かないと見切ったのか、距離さえ取れば自爆すると判断した
「何だ!?何事だ!?」
奴が地に足をつけた瞬間、無数の蔦に絡め取られて四肢どころか首すら動かせないほどに全身を拘束されます。
さらなる隠し玉でもない限りコイツの能力ではこの拘束を突破できないはずですし、これでチェックメイトですね。
……あれ?期せずして、なんか色々知ってそうな敵を拘束できちゃったんですけどコレどうしましょう!?
☆★☆★☆★☆
物理で破壊じゃなくて生物的な弱点をついて殺そうとしたら
なんか相手が既に死んでて効果が無かったでござる。
4つも使える概念能力引っ提げてきたのに既にメタられてた可哀想な人でした。
一応、どんな条件でもソロで撃破できるのは吸血姫と雛ちゃんと特定のライダーを引いたときの100号ちゃんぐらいです。
理珠さんも初手で藤御簾展開出来る距離ならヤれます。
あ、サメには無条件で負けます。相性最悪です。
……しかし、枢機卿でコレなら教皇は何種類能力使えるんでしょうね?
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