第104話 穏やかな心を持ちながら激しい羞恥によって目覚めた伝説の魔女
「7さんはいこれー、教団のスタンドアロンのぱしょこんからぶっこ抜いて来たデータ。とりあえず使えそうな情報を片っ端からコピーしてきただけで、どんな情報があるかもわかんなくてサー?分析に協力してほしいなーって」
と、教団本部と思しき建物に直接空間の穴をつなぎ、現在から1秒前のPCを再演して起動。パスワード入力要求に対して、正しく入力されていた瞬間を過去再演して突破、監視カメラには何も起こっていなかったさっきまでの過去を光学上にだけ再演することで対策、後は好きなだけデータぶっこ抜き放題という、反則にもほどがある手段で入手したデータを国家機密さんから渡されました。
いや、これ流石にズルすぎません?
しかも、アクセスしてるPCは過去再演上にある架空の端末なので実際のPCには一切のアクセスログが残らないという無法っぷり。
いやこれ、このコンビを前にしたら機密も何も有ったもんじゃないですね。
情報系に特化した魔法少女が一人二人居るんだろうなと予想はしてましたが、ここまでのぶっ壊れ性能なのは予想外でした。
で、その2人が引っこ抜いてきたデータと私が持ってきた研究者さんチームwith邪神レポートの情報から、教団の活動で怪しい部分が無いか、さらなる資料になる情報は無いかと議論してるんですが……。
効率が!効率が悪い!
なまじ、何でも調べたい場所をすぐに調べられるからなんでしょうけど、思いつきで動きすぎです。
これ怪しそう、調べようか、ハズレだった。次どうする?
じゃないんですよ!いやまあ、確かにちょっとおかしいなって活動があったら調べたくなるとは思うんですが今回はそうじゃないでしょう?
概念型の魔物を操って何度もけしかけてきたりしてるという事実を踏まえれば、つまり、概念型の魔物を教団が意図的に作り出しているということです。なので、怪しむべきは教団の活動記録。それも、特定のイレギュラーっぽい予定じゃなくて定期的に開催されてる奴です。
例えば……。
「ふむ……。この、月1で開催されてる『神命との交信・森林浴及び瞑想体験ツアー』とか超怪しくないですか?」
教祖サマのパソコンではなかったのか、真っ黒なお金の流れとか明らかにヤバそうな組織との取引情報とかそういうのばっかり残ってましたが、魔物やら超能力やらに繋がる情報はほぼありませんでした。
でも、どの活動で何にいくら使ったかしっかりデータが残ってるので、その活動についても推測することが出来ます。
いや、これ超怪しいやつですよ。
「どのへんがー?だって、お金の流れ的にアレでしょ?バスのレンタル代、キャンプ用消耗品、交通費、で、参加費を取ってプラスにしてる感じの普通の活動にしか見えないんだけど?わたし何か見落としてるー?」
「定期的にやってるっぽいし、収支はプラスだし、ただの隠れ蓑的な宗教活動にみえるんだけど?」
甘い、甘いですね。さっきザマさんの執務室から拝借したかすたどんより甘いです。美味しかったです。
「ところがぎっちょん、キャンプに行ってるという名目かつ、各種消耗品までそこそこ詳細に記録が残ってるのに「キャンプ場料金」って項目が無いんですよ。こいつら、どこでキャンプしてるんでしょうね?」
まず、そのへんの屋外でバスを停めて適当にキャンプするとか普通に違法です。確か、キャンプ場として指定された地域以外でテントを貼ると違法とかそういうのだったと思います。
で、真っ当な新興宗教ですよーって顔してる集団ならそんな行為は出来ません。なんたって、この国は新興宗教に対して風当たりが強めですからね。しかし、しっかりキャンプ用品は項目に記載されています。
となれば、考えられるのは過疎地の山や森の奥深くへと入り込んでのキャンプでしょうか?これならば違法ではありますが、基本的に人に目撃される可能性は低いですし、同じ場所で複数回通報されるとかでなければ警察を呼ばれても注意されて終わりぐらいでしょう。法律には違反してますが、特に他人に迷惑をかけてるわけではないので。
実際、記録にある高速道路の利用履歴では過疎地かつそこそこ山の中までバスが入れる地域が選ばれています。
で、話はちょっと変わりますが、この国における魔物の発生を感知する為に使われてるシステムはこの国の通信網、正確には携帯電話の基地局の稼働データです。
とある地点を中心に一定の範囲で通信断絶のエラーが出た時に魔生対側に連絡が入るみたいな奴ですね。
ところで、携帯電話・スマートフォンなんですが、日本国内ならばどこでも通話可能なのでしょうか?
当然答えはノー。過疎地ならまだしも、日本の7割を占める山林地域をすべてカバーする通信網は現状備えられていません。どこかのデータで見ましたが、陸地面積換算で30~40%ぐらいの地域で電波が届かないそうです。
つまり、深い森の奥やら険しい山林やらで魔物が生み出されても感知する術はないということですね?
さて、色々お察しだとは思いますが一応話を戻しましょう。
魔物を生み出し、使役してると思われるカルト教団が定期的に電波の通じない山深い森を訪れてやっている儀式。
いったいなんなんでしょう?わたしにはさっぱりわかりませんわ。
一応、謎は残ってるんですよね。
恐らく、魔物を作り出すためにエヴゲーニヤのゆらぎ発生装置を使用していると思うんですが、というか先程のデータに有った帳簿に
魔物を、特に概念型の魔物を発生させるためのゆらぎを作るのってかなりの魔力を必要とするんですよ。
その辺りも、この2人に映像を出してもらえば調べられますかね?
「なる……ほど……、確かにあたし達もノーリスクで好きなだけ調べられるからってパワープレイばっかりで適当にやってたかもしんない」
「TRPGとかで育ちきったキャラに稀によくある情報系脳筋って奴だねー。数値の暴力で何でも調べられるから手当たり次第にあれこれ調べるんだけど、なかなか事件の真相にたどり着かないやつ」
ふむ、二人共多少は自覚が有った模様ですね、これなら今後はきっと問題ないはずです。
というか、別に私の行動から推論を立てて検証ってスタイルが正解ってわけでもないでしょうからね。そのへんは高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に立ち回ってほしいものです。
「やー、さすが宝刀剣王斬をホトケノザって読ませるセンスの人だよねー。目の付け所が圧倒的にさすがって感じー」
は?
「え?あの『小説家の野郎!』にあるすごい文字数の設定資料と3話だけ書かれてエタった小説って7さん作でしょ?」
「まってセピア!それ本人ゼッタイ黒歴史扱いしてるから言っちゃダメな奴だから!」
国家機密さんのちょっと良くわからない発言を必死で止める
き、きおくにございませんね!キャラとか世界観とか妄想するのはすごく楽しかったけど、いざお話を書いてみたらぜんっぜん思うように書けなくて一瞬で力尽きた黒歴史満載の話とか全然知らないです!
「んー、でもほら、わたし達には黒歴史かどうかなんて断言はできないしサー?公開されてる以上は書いた本人に感想を伝えるのって礼儀だと思うんだよねー」
え?あれ?公開されてる?
あまりにも即エタったので私、あの小説非公開にしてたつもりだったんですがもしかして設定ミスしてました!?
というか、なんで書いたのが私って断定されてるんですか!?
「いやあの、
って、ザマさんにも見つかってんじゃないですかー!
「えー?わたしはいいセンスだと思ってるんですよー?あの、主人公が6属性の剣を束ねて持って反発させて『無』を呼ぶところとかー」
ぎゃー!痛い痛い!過去の自分に殺されそうです!いや、死んでるんですけどぉ!?
「やっぱこれ、皆にも読んでもらったほうが良いと思うんだよねー。設定はすごく作り込まれてるし?なんなら魔法のアイデアとかに繋がりそうだし?なんか、難解な用語とかも作者サマがここに居るんだから解説してもらえば良いわけだしー?」
あ、ダメだ。ええ、ダメです。
これはここで2人共死んでもらうしか無いです。その後私も死にましょう、永遠に!
「
「はわわわわ!ごめんなさい、すみません、申し訳ないです!あたしがなんとしてもこいつに拡散なんてさせませんので!なんかそのヤバそうな魔法は許してください!」
「なんでもしますからー、主にみっちゃんが。喰らいたくはないけど、その呪い魔法?がどんな性能なのかは知りたくて止める気が起きなーい」
後日聞いた話ですが、そこには穏やかな心を持ちながら激しい羞恥によって目覚めた伝説の魔女が居たそうです。
とりあえず、パスワードを覚えてなかった自分のアカウントにセピアさんに協力してもらいつつログインして私の黒歴史は完全に消去しました。
セピアさん、「わたしはふつーに好きだったんだけどなー?」って言ってましたけど、それネタとして好きだったって方面ですよね!?
☆★☆★☆★☆
盗撮ダメ、ゼッタイ。
という話だったのですがちょっと下ネタ過ぎたので変更しました。
なお、結局はずか死を覚悟するセヴンスさんです。
ちなみにこの国家機密、自分の価値を完全に理解しててよっぽどのことがない限り自分が害されることはないって知って行動してる辺りが超質が悪い奴だったりします。
後まあ、自由に行動する権利が無いので身内ばっかりの場所だとはっちゃけがちなアレです。
超性能ですが色々可哀想な子だったりもします。
次回は儀式覗き見回の予定です。
邪悪な儀式と敵の目的が解る……ハズ。
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