第103話 調査チームにはいって ほしそうに こちらをみている
魔物崇拝者の宗教団体ねぇ?
あたしとセピアでこれまで潰してきた数が国内で3つだっけ?
多分、人外かつ正体が解明できてない存在って所が琴線に触れるんじゃないかなーと思うんだけど、しょーじき迷惑極まりないよねー。
えっと、1つ目が神様の化身、2つ目が異世界からの使者、3つ目が神託を受けた人間が変化した姿だっけ?で、今回が地球の免疫機構と?
まー、手を変え品を変え、どう考えても女の子を誘拐して吸い殺すしか考えてないような奴らを崇めるためのお題目をよく思いつく事。
そんで、お題目ってのが本当にお題目でこれら3つの団体は全部キョウソサマがお金を儲けたり、女の子を好きにしたり、犯罪者の身内を匿うためだったりと誰一人自分が語った教義を信じてないのが本当にお前らさぁって感じー。
今回のキョウソサマは何が目的なのやら。
やたらと清掃作業ボランティアの入ってる教団の活動報告を眺めながら、片手間で関係の有りそうな施設に「のぞき穴」を開く。
「ねーみっちゃん、だいぶ前だけど超能力者と魔法って関係あるのかーって話で一回調査したと思うんだけどサー?ねーみてこの映像、すごくない?前にわたしらが調べた時とかかり具合がぜんぜん違うんだけど?」
空けた穴の一つ、地方都市と都会の中間みたいな街にででんと構えられた教団本部のホールで、どんな活動をしてるのか探っていたセピアが
今回、公安のお仕事を断ってというか、休みを取ってまでこっちに来て調査に協力してくれてるのはとてもありがたい。やっぱ、前回の
まあ、そこはあたしも一緒だから今回のお仕事は特に気合が入ってる。
名誉挽回、汚名返上ってね?
構成員から目的から手段から、何から何まで丸裸にしてやるって気合い入れてるんだ。
問題は、対セヴンスさんパーティー用の魔物をこいつらが試験運用してるのか、魔物が同時に発生するケースが多くてあたしの魔力を全部覗き見には使えないってことだよね。
で、セピアの見せてきた映像なんだけどまあ、すごいね?
なんかこう、エロ漫画の催眠術みたく集まった30人ぐらいの信者さん達が言われた通りの動きをしてる。拝め、跪け、隣の人間の頬をたたけ、空気に飲まれてやってる感じじゃなくてマジで操られてる感がパない。
これが
うーん、でも、この大人数をこんなに好き勝手操れるなら目的はお金とかじゃないっぽいなぁ。
とりあえず、あたしとセピアで映像と資料を写しまくってるとウチの部屋の開かずの扉からノックの音が響いた。
「すみませーん、ザマ……羽佐間室長の指示で、調べ物の役に立ちそうな仮説とか予測とか出来立てほやほやの奴持ってきたんですけどー」
「鍵はー?」
「は?鍵?」
急いでたのか忘れたのか、羽佐間室長はこの使いっ走りさんに鍵を渡し忘れたらしいね。まあ、どっちにしろここにセピアが居るのを見せるわけにも行かないんだけどさー。こいつこれで存在自体が国家機密なわけだし。
んー、でもどっかでこの声聴いた記憶があるんだよね、転送部屋以外で。
「んふふー、この部屋は鍵無しで入れないヤツは進入禁止なの。資料はそこに置いといて、すぐ回収するから」
まあ、いつもどおりの対応でいいかな。
「ねーねーみっちゃん、あの声セヴンスさんだと思うんだけど良いの?部屋はいられちゃうよ?」
ゑ?
……あ!聞き覚えがあるはずだ!動画編集中に何回も聞いてるはずじゃん!
「あ、入れるなら入っちゃって良いんですね?失礼しまーす」
気楽な返答と共に外で僅かに魔力の気配。
しまった、面と向かって話したことが無いからって忘れてて良い声じゃないでしょー。
そして、セピアの足の間、机の影からにゅるっと出てくるゴスロリの少女。
んー……、まあいいか。
セヴンスさんって羽佐間室長の親友でしょ?で、それに鍵を渡さずにこの部屋によこしたって事はこの流れまで織り込み済みって事でしょ?
まさか、セピアが来てるのを忘れてこの流れをやらせたなんてうっかりをあの切れ者の羽佐間室長がするはずないし?
「えっと、先ほど外で言った通り資料を持ってきました。紙の方が好きな方が居るって事だったので印刷したものとPC用の両方。えー、そちらの方は初めまして。私はこちらで魔法少女の支援及び魔物の対処を行っているセヴンスと申します」
他人の足の間から出てくるという不測の事態にも慌てず、作業の邪魔にならなそうな場所に移動してあたしに一礼して資料を差し出すゴスロリ少女。で、流れで初顔合わせのセピアにもしっかりと挨拶。
謎の魔女やってるからそんなのは存在しないだろうけど、もし持ってるなら名刺とか差し出してきそうな勢いだ。
なるほど、これは社会人さんだわ。すごいビシっとしてる。
「ご丁寧にどうも。わたしはー……あー、自己紹介とかしちゃって良いのかなこれ?みっちゃんどう思う?」
そこであたしに振ってどうすんの!?
まあでも、この人なら大丈夫そうな気が……いやどうだろ、セヴンスさんと関わると否応なしにトラブルに巻き込まれる予感がするんだけど。
こういうのって本人の人格とか関係ないからこまるんだよねー。
「まあいいやー、7さん美人さんだしわたしの直感が素性を話しといたほうが面白そうだって言ってるから言うねー?」
おい待て国家機密!
で、まあ、国家機密女が軽率に自己紹介してしまったわけだ。根源も名前も。
セヴンスさんの反応?
傷を追った時にその部分に健康だった過去を再現したらどうなるんですか?とかいきなり想定外の使い方を提案されてびっくりしたよね。魔法を解いたら元の傷に戻ってしまうとは言え、緊急時にセピアが自力で応急処置を出来る様になるかもと考えたらとてもいい使い方だ。
というか、なんか諜報系の魔法少女が居るのには気がついてたっぽいんだよね。
さすが羽佐間室長の親友、侮れないわこれはー。
ちなみに、セヴンスさんをあたしが転移させることはほぼありえないからなのか、普通に話が出来てる。
……なんというか、話したい相手とは話せないのに勝手なトラウマだなぁ。
で、渡された資料を読んだわけなんだけど。
これってつまり、周囲の非活性魔力が多いほど超能力が強くなって、超能力者は超能力を使うと普通の人でもほんのちょっとだけ宿してる活性魔力がなくなるから魔物に襲われないって事でしょ?
そんで、信者達の思考をコントロールして望んだ魔物を生み出してるんだよね?
その、超能力を強化するための魔石ってどこから持ってきたの?
少なくとも、伊豆の研究所のヤツは無事だったんでしょ?
そこまで考えて、ついさっきまで見てた教団の活動報告を思い出す。
確か直近の活動は……。
「風鳴港の瓦礫撤去及び清掃ボランティア……っ!」
こいつら、善人面してボランティアしてる振りして魔石を集めてた!?
あたしのつぶやきに即座に反応したのはセヴンスさん。
自分のスマホを操作して魔生対のデータベースにアクセス、星の
……いや、あたしの一言でここまで理解する?鬼巫女、月ヶ瀬ちゃんじゃないんだよ?
やー、侮れないわこの人。
「7さん、助手にほしいかもしれない。ねー、暇ならしばらくわたし達の調べ物に付き合ってくれなーい?」
うん、セピアの不躾なお願いにあたしも賛同したいぐらいだね!
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ということで裏方チーム合流回。
次回セヴンスさんはセヴンスさん視点からですね。
そして、この教団があらかた回収済みの純魔結晶を必死に探す哀れなヘビが1匹
中間管理蛇、ほんと可哀想
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