第99話 魔弾とメイドと反射の魔物
突如出現した2体の魔物。
しかも片方は人語を喋る概念型。
そんな状況にあって、7年間現役で戦い続けた先輩は冷静でした。
「現役の皆は外の魔物をお願いね?私はコイツを足止めするから、急いで倒して加勢に来て?戦力の分散は最小限のほうが良いでしょ?よろしい?」
なるほど?雑魚と思われる方を4人で速攻撃破して、その後合流し強敵と思われる方を5人で倒すと。
普通に考えれば有用なプランです。この状況じゃなければ私も迷わず賛同したでしょう。しかし……。
「よろしく無いので、この概念型の足止めは私も一緒にやりますね?理珠さん達は外の魔物の処理をお願いします」
そもそもですよ?咫村崎さんが、魔弾の魔法少女が居るとわかってて純魔結晶を奪いにやってきた魔物とか絶対メタ貼ってるに決まってるじゃないですか!
それ以前に、突如襲ってきた謎の敵を引退した先輩一人に任せるとか、世間じゃそれを死亡フラグって呼ぶんですよ!
「あの人が瞬殺されるなんて!」みたいな流れになるのが目に見えるようです。
「任されました。セヴンス様もお気をつけくださいね?ミラさん、エラさん、行きましょう」
意図を汲んだのか、純粋に咫村崎さんより私の方を信用してくれてるのか、理珠さん達は迷わず外の敵の掃討へと向かいました。
「先輩として、立つ瀬が無いのだけれど?」
知りませんよ。見え見えの死亡フラグに突っ込もうとした咫村崎さんが悪いです。
「はいはい、立つ瀬とかメンツとかそういうのはどうでも良いのでサクっと変身してください。敵の前ですよ?」
「月は空に、光は胸に、貫く牙はこの手の中に!フラウ・フライシュッツ、
ちょっとむくれながらも、胸に手を当て、如何にも魔法少女的な口上を名乗り変身を開始する魔弾の魔法少女。
髪が紅蓮に染まると同時に燃え落ちるようなエフェクトと共に着用していた服が焼き消え、代わりに赤黒い炎がその身を覆います。
炎が形作るのは、足首までのロングスカート、フリルがふんだんにあしらわれた白と黒のワンピース、そして……。
頭部を彩る、純白のホワイトブリム。
そう、魔弾の魔法少女フラウ・フライシュッツさんは究極で完璧な、メイドさん姿の魔法少女なのです。
メイド服を纏うと、炎に包まれた腕をその胸へと差し込み魔弾の魔法少女の魔弾たる
「起きなさいザミエル。空腹でしょう?」
黒い銃身に、黄金で華美な装飾を施されたフリントロック式のマスケット銃。
そして何より……。
『
喋るんですよあの銃!しかも自己判断である程度魔法を勝手に使うんですよ!
どこのインテリジェントデバイスですか!魔砲少女じゃないんですよ!?
あ、ちなみに同タイミングで私もサクっと
あと、シアちゃんは未だにテーブルでクッキーかじってます。邪神ですからね、この程度の魔物とか私達の戦闘とか余裕なんでしょうきっと。
……というかですよ?自分が原因で生み出された魔物との戦闘なんですからむしろシアちゃんが倒してくれて良いんじゃないですか?何サボってんですかねこの邪神。
「のじゃー?やつがれの身体は戦闘に耐えうる魔力出力を有しておらんので、戦闘しろというのは無理なのじゃが?」
事実なんでしょうが、本体じゃないから死んでも平気みたいなスタンスで堂々サボられてるとイラっとしますね?しますよね?するんですよ。
まあ、邪神にイラついてても何一つ事態は好転しないので魔物の方へ集中しましょう。
容姿はボロ布を纏ったひょろりした長身の人型。概念型であると全力で主張しているスタイルです。
魔力量的には、多分2~3人は食ってますねコイツ。複数回狩りを成功させている概念型とか厄介この上ないです。
その上、魔弾の魔法少女に対するメタ能力を持っていると深読みすれば遠距離攻撃に対する絶対的有利な何かを持っているのは間違いないでしょう。
『遠距離無効』か『反射』辺りの概念が臭いですね。
「何にせよ、一発撃ち込んでみないと何者か判断がつかないでしょう?私から動かせてもらいますね?」
言うが早いか、
って、様子見ですよ?ちょっと強すぎません?
「バリア持ちなら貫通特化の弾丸を撃ち込んで見るべきでしょう?ザミエル、
『
ノリノリなザミエルくんの叫びと共に発射される桜色の魔力弾。
そして、それを眺めてニタリと粘っこい笑みを浮かべる概念型の魔物。
あ、これあかんやつですね?
「
魔物の周囲の魔力に触れた瞬間、入射角そのままに反射してきた魔力弾を
「咫村崎センパイ、初手はもう少し軽めの攻撃で様子を見るべきでは?」
私のボヤきにバツの悪そうな表情を浮かべるメイドさん。
というか、やっぱり反射でしたね。
となると、反射される条件を割り出して反射されない攻撃で倒さないといけないと、面倒な相手ですね。しかも、喋ってましたからねコイツ。下手すると私というイレギュラーが居るってだけで逃げ出しかねません。
やっぱ、概念型ってめんどくさい事この上ないですね!
「なるほど、反射……反射ね?」
何か思いついたのか、ヤる気の表情で再びザミエルくんを構える魔弾の魔法少女。
「反射されても大丈夫な攻撃かつ、それを処理している間身動きが取れなくなるような攻撃がベストなわけね?そして、その様な攻撃は私には出来ないと思っているわけね?その目論見、甘いですよ?」
『
その銃身に集まるのは先程以上の大魔力。
えと、大丈夫なんですよね?ちゃんと反射されても周囲に被害が出たりしない奴ですよね?
「ザミエル!
『
「
そして、ザミエルくんの銃口から連射される色鮮やかな魔弾の雨。
それらは全て反射の魔物纏う魔力によって跳ね返され……。
「本来の魔弾はね?狙った相手にしか当たらないのね?反射で軌道を跳ね返そうが、自らの意志で弾道を修正して何度でも、何度でも、相手を貫くまで追い続けるの。ご存じなかった?」
反射された魔弾はある程度の距離を弾かれると空中で一旦静止し、再度反射の魔物へ向かって突撃します。
……そして、それが今連射されてるんですよねぇ。
なんというか、反射の魔物は反射の能力に頼ってるが故に動けないと、そういう状況になってしまっています。
反射のバリアを解除すれば現在進行系で増加し続けている無数の魔弾がその身を貫きますし、反射のバリアを張り続けている限り逃げることも反撃に転ずることも出来ません。
詰みって奴ですねこれは。
多分、初弾を跳ね返してそのままの流れで攻めて行ければワンチャンあった可能性はありますが跳ね返った分は私が無力化しましたからね。
なんだかんだ、7年も最前線で戦い続けてきた最初の魔法少女の相棒は強かったということです。
しかし、コイツが諦めるまでは戦闘が終わらなそうなのがちょっとめんどくさいですね?
……できれば、生け捕りにして人語を話せる理由等確認しておきたいところなんですけど。
☆★☆★☆★☆
属性過多じゃね?って言われたキャラの属性を増やしていくスタイル。
この作品のキャラ属性は全て足し算で構成されております。
メタって来た相手をメタり返したメイドさん。
でも、チェックメイトには持っていけましたがそのまますんなり倒せるかどうかは・・・
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