第97話 魔弾の魔法少女……少女?
はい、と言うことで隠し子疑惑を振りまいた翌日ですね。
今日は非変身状態の理珠さんと、変身が解けない私とミラさん、そもそも話の発端となったシアちゃんに加えて……。
「更に今日は特別……言うほど特別でもないか、なゲスト。カメラマンとしてエラさんについてきてもらってまーす」
「ひゅーどんどんぱふぱふー」
ふっふっふ、エラさんはとてもノリが良いので、こういう私のくだらないボケにだいたい付き合ってくれる得難い人材なのだ!
「セヴンス、それ誰に説明してるの?というか、エラ姉さんもセヴンスのボケに毎回付き合わなくていいから!あれは半分ぐらいはスルーするのが礼儀なの!」
礼儀じゃないですよ……?
まあ、それはそれとして、やってきたわけですよ。
一応、魔力関連の研究ですし、ゆらぎが発生しても余計な思念を受け取らないように伊豆の僻地に作られた魔石研究所へ!
こう、山奥にひっそりと建つ研究所ってものすごく興奮しません?
絶対悪の秘密結社じゃないですかこれ!
いや、民間への被害が出ないように考えてわざわざ通勤がしんどいこんな所に作ってあると思うので悪どころか善意からの立地なんですが。
交通手段はその、私の
ちなみに、運転……というかもはや操縦でしたねアレは……は、エラさんがやりました。
こう、後部の格納位置に車椅子(メカメカしいものとする)をセットしたら急に電源が落ちたようにエラさんが動かなくなってですね?というか本当に電源落ちてたんですけど。
そしたらですね?車のスピーカーからエラさんの声がするんですよ。
もうね、テンション爆上がりですよ。Night2000ですよ!KITYですよ!
てってれてーてってれてーてれってれってってーですよ!
おはよう、マイケルって言ってもらいたかったんですが、女性の声だとやっぱり違うなと思って断念しました。
ちなみになんかナンバーが特殊で、これは特別自動運転実験車両的な意味だそうです。「そういうことにしておいた」ってザマさんが言ってました。
というか、外から車内を見ることが出来ないミラーシェードみたいなガラスでしたからね、フロントガラス含めて。
流石に、魔法少女が3人と1機乗ってりゃ目立ちますから致し方ないところです。
ちなみに、エラさんは車のボディもとても楽しそうに動かしてらっしゃいました。
この人、実はめちゃめちゃ順応性高いんじゃないでしょうか?
で、早朝から出発してエラさんの操縦に揺られること4~5時間。
目的地へと到着した時の会話がさっきのおふざけですね。
とりあえず、乗ってきた妙にかっこいい黒い車(どう考えてもナイトなライダーを意識してるデザイン)を守衛さんに指定された駐車場に停めて研究所へと入所します。
なお、守衛さんは明らかに運転手の居ない車にめちゃめちゃ驚いてました。魔法少女が乗ってた事?聞けば、そこそこの頻度で雛わんこが呼ばれたりしているようで慣れた対応でした。ちょっと悔しい。
受付で借りの身分証というか、ゲスト用のカードキーを発行してもらって担当者を待ちます。
なんでも、今回案内してくださる方は有名な方なので私でも見たこと有るかもみたいに言われたんですが一体どんな方なんでしょう。
と、いらっしゃいましたね。
んー、まあ研究所ですし白衣を纏った身長160前後の若い女性。
優しそうな目元とノンフレームのメガネが印象的な方で、髪はお団子にしてありますがあのサイズだと解いたら結構な長さなんじゃないでしょうか?
あと、流石に魔法少女モードの初雪さん程ではないですけど右の八重歯がやたら目立ちますね。
確かに、なーんか顔は見た記憶があるような無いような……。
ネームプレートの表記は
んー?これも聞き覚えと言うか、文字列に見覚えがあるというか……。
「あの、もしかして魔弾の魔法少女、フラウ・フライシュッツ様ではございませんか?」
魔弾の魔法少女……?
あ!言われてやっと私もこの方の顔に見覚えがある理由がわかりました。
最初の魔法少女の相方、遠距離戦闘のプロフェッショナル。
ついでに言うなら、変身による認識阻害やらの特典が知られる前だったので思いっきり人前で変身して、今でも探せば変身シーンの動画がネットに上がってる人ですね!
いや、ほんと初期は「何者なんだ」が先行してプライバシー保護とか一切ありませんでしたからね。
咫村崎さんの名前も、ネットで正体見たり!みたいな感じのつぶやきで流れてきたのを見た記憶があります。
遠距離狙撃がメインだったので狙撃の待機地点が避難地域と被ってたりしたんですよね。
「はい、正解。私が3年前に引退した、正直そろそろ少女を名乗るのが恥ずかしくなってきたけど彩月さんが新しい名称を考えてくれなくて困ってる、狙撃の魔法少女、フラウ・フライシュッツですね?気がついたウィステリア・ヴェールさんにはジュースでも奢ります。よろしい?」
逆に、3年前まで現役だったんですねこの方。
んーと、初代さんと同年代ということは現在25か6ぐらい、なるほど?確かに少女と名乗るのは気が引けますよね。(精神年齢的には)その1歳上の私だって魔法少女を拒否したぐらいなんですから。
「本当なら魔女とでも名乗りたいんだけど?今、魔女って言うと初期の頃の魔法少女と同じで特定の人物を指す言葉になってるから名乗れ無いのね?」
あー、なるほど。確かに魔女って名乗ってるのが私しか居なくて、私自身無駄に目立ちまくっちゃってるもんだから魔女とは名乗れないですよね。
「でもね?そんな事はどうでも良くてね?」
ふむ?神妙な顔つきになった咫村崎さんが私の前で深々と頭を下げました。
最敬礼とされる45度をオーバーして地面と直角になる勢いで。
「セヴンスさん。サっちゃんの仇を討ってくれて心から御礼を申し上げます」
あー……、そうですよね。
理珠さんの心臓を潰しやがったあのクソ女の魔物は初代さんの仇でもあったんでしたっけ。
初代さんの相棒だった咫村崎さんからしたら確かにお礼を言いたくなる人間なのかも知れないですね、私。
というか、初代さんの本名はサっちゃんって愛称で呼べるお名前なんですね。
いや、この咫村崎さん、フラウ・フライシュッツさんと違って初代さんの正体って全然わかんなかったんですよ。
そもそも初代さん日本全国どこでも普通に空飛んで移動してましたからね。
どこぞの電話ボックスで変身して現場までひとっ飛びとか普通にやる感じですよ。
いや、認識阻害魔法があるって知られていなかったとは言え、人前でホイホイ変身してた咫村崎さんの方が脇が甘すぎたんじゃないかって説は大いにありますが。
「私としてもほら、大事な人を傷つけられた分お返ししただけですし、気にしないで行きましょう。ほら、あんまり丁寧な口調でおしゃべりされるとくすぐったいんですよ!」
私に丁寧すぎる言葉遣いで対応して良いのは理珠さんだけですからね!
いや、親しくなると言葉遣いが崩れるとかが全然ないんですよ理珠さん。
……おっと、惚気けると止まらないので語るのは後日ということで。
「そういう事なら普段の口調で話しますけど。感謝してるのは本当なので今回の視察も全力で協力させてもらいますからね?私に始末書を書かせるような要求をしてきたって対応致しますよ。よろしい?」
お、ありがたいですね。
運が良ければ何の魔力も浴びてない魔石が複数個手に入ったりするかもですよ。
シアちゃん的には超ラッキーなのでは?
☆★☆★☆★☆
ということで、初代魔法少女の相方。
魔弾の魔法少女、少女?咫村崎南さんのエントリーです。
引退理由やら初代さんのお名前やらは次回かその次辺りで。
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