中二病の魔法少女ゾンビ いぐにっしょん

第90話 のじゃロリ座敷わらし?現る

 ミラさんが水流崎のお家で暮らすようになって、もう何ヶ月でしょうか?

 年明けに皆で(理珠さんは変身して)晴れ着を着て初詣に行ったり、雪の積もった地域で魔物を倒した後に雪だるま……いや、あれはもはや雪像でしたね。を作って遊んだり、バレンタインデーに魔生対の配信に出演してチョコを作る2人を応援したり、楽しい日々でした。

 冬はイベント多くて良いですよね。こんな身体ぞんびになる前の出不精でひきこもり(というか、休日に遊びに出るほど体力残ってませんでした)な私でもゲーム内の企画を通してなんとなくイベントに参加した気になれてましたし。


 ……10年前はまともにゲーム性のあるスマホゲーなんてほぼありませんでしたからね、バレンタイン限定キャラを求めて必死にガチャを回すなんて事はしなくても大丈夫でしたし……。

 くっそぅ、抹茶ラテちゃん引くのに天井したじゃないですか!長距離はこの子がメインって決めてるんですよ!

 まあ、それはさておき……。


 冬、寒いじゃないですか。

 朝とかもう、布団の中から出たくねーって打首獄門愛好会ってバンドの楽曲に全力で頷きたくなる感じですし。

 理珠さんも寒いのは苦手なのか、朝練に行く回数が減ってミラさん含む3人で布団の中で微睡んでるケースが多くなってます。

 今日もですね、ミラさんを真ん中に左右を私と理珠さんが固める陣形でぬくぬくと眠ってたんですよ。

 休日ですし、昨日はバレンタインに魔生対宛(住所は別の場所を記載)に届いた魔法少女宛のプレゼントの仕分けやら開封で疲れましたし、朝はちょっとゆっくりしましょうか的な予定を立てて。


 話は代わりますが、理珠さんと私ってなんというか、平たいんですよ。何がとは言いませんが。

 で、ミラさんは結構年相応……年相応じゃない気がします。結構大きいんじゃないですかねコレ?なものをお持ちなので抱きついて揉んでると楽しいんですが。

 今日もですね、寝ぼけまなこで手探りに膨らみを探し当ててたぽたぽしてたわけですよ。

 ……あれ?今日のミラさん胸おっきくないです?

 いや、それ以前にミラさんと私の間にもう一人誰か居ませんか?

 というか居ますよね!?え?何!?


 一気に目が覚めて布団を跳ね上げると、ミラさんと私の間、その決して大きくない隙間にむにゅっと入り込んでいる子供が一人。

 いや、まあ、私も外見だけ見ると子供ではあるんですが、流石に小学生高学年ぐらいのこの子を子供と呼ぶ権利はあるはずです。

 「ふぬぁあ、寒いのじゃぁ。布を、布をかけて温まらせるのじゃぁ……」

 えええ、誰これ……。


 「優希さん、どうかなされましたか?」

 布団を剥がされた寒さで目が覚めたのか、理珠さんものっそりと起き上がってきました。

 ……ミラさんはまだ寝てます。この子、出身が出身だけに寒さ耐性強いんですよね。

 「あの、理珠さん、この子知ってます……?」

 綺麗な黒髪のおかっぱですし、肌の色や顔の作りから見ておそらく日本人ですし、どことなく理珠さんに似た顔つきにも見えます。

 ありえる線としては理珠さんの親戚の子とかその辺りでしょうか?

 あ、でも水流崎のお家直系とかではないはずです。この胸のご立派っぷりは水流崎家の遺伝では発現しないんじゃないかと思います。

 しかし、それにしては服がなんというか、布を適当に巻き付けただけみたいな良くわからない奴なんですよね。

 

 「ええと……、いえ、わたくしの親戚にこの年齢のお子様が居る家庭はございませんし、わたくし自身もこの子に見覚えはございません。一体どこの家の子なのでしょうか?」

 えええ、理珠さんも知らない子となるとご近所さんでもないわけですよね?

 え?マジで誰なんです?

 「さむぅいのぉじゃ……。ぬぅぅぅ」

 あ、寒かったのか両側の私達の拘束から解かれて横向きになったミラさんに抱きつきに行きましたね。

 そのままモゾモゾと胸のあたりに顔を埋めようと動いてますが、たーぶんその角度だと……。

 「ぬがっ!」

 うん、胸の結晶にゴリっと行くんですよ。

 痛みを与えられたことでようやく目が覚めたのか、謎の幼女は目をこすりながら身体を起こしました。

 

 「うぬぅ、炭素生命体の肉体で他者の体温を浴びながら眠るのがこんなに気持ち良いとは知らなかったのじゃ。良い知見を得た。良い経験になったのじゃ」

 なんか、単語の選択が幼女じゃ無くないですか?というか、こんな感じの喋り方をする何者かとしばらく前に会話した気がしますね?

 「あれ?優希さん、この方のお顔、少し優希さんに似ておられませんか?」

 「え?いや、私としては理珠さんの面影が有るなーと思ってたんですが……」

 「うむ、眼球と頭部の構造上自分の顔を眺める機会は他者の顔を眺める機会に比べれば少ないと思うからの、「誰かに似ている」という思考に自分に似ているかどうかが入ってこないのはごく自然なことじゃと思うのじゃ」

 と、したり顔で解説しつつはだけた布団を羽織ってぬくぬくし始める謎の……いやもう大体わかってるんですけどね。口調が口調ですし。

 

 「なんか、色んな魔法少女の話を聞いておかしいとは思ってたんですが、ついに実体化までしてなんなんですか中二病の根源さん?」

 いやもう、これ声も前に聞いた声そのままですし、口調ものじゃのじゃ言ってますし他に考えられませんよね!?

 「ふふふふふふ、ははははは、のーっじゃっじゃっじゃっじゃっじゃっじゃっ!」

 まって、その三段笑いはおかしいですから。ツッコみませんよ!?その明らかなツッコミ待ちにはツッコミませんからね!?

 あ、ちなみに理珠さんは私絡みの異常現象を深く考えたら負けだと知っているので未だに寝息を立てているミラさんをぺちぺちやってます。

 何度も二度寝したがるのは私ですが、いざ起きるとなった時に全然起きてくれないのは実はミラさんの方なんですよね。


 「セヴンス、ハズレなのじゃ」

 え?

 「根源経由で会話をしたからと言って、やつがれが根源そのものであるとは限らんじゃろう?想像力を最大の武器とする地球人類種にあってその思考停止は減点ものじゃと思うのじゃ」

 このロリ、ドヤ顔したり顔で全セリフ吐き出すのでちょっとイラっとしてきますね。

 でも、ひっぱたこうにも理珠さんの面影が有るせいでどうにも手が出ないと言うか、ぐぬぬ。

 「では名乗らせてもらうのじゃ!……あ、いや名乗って良いのかコレ?純魔結晶を無駄遣いされた勢いで身体作って出てきたはいいのじゃが、端末達の仕事の迷惑になったりせんか?うーん、匂わせておくだけでこう、やつがれの偉大さをわかってくれるか?いやでも、こやつは肝心な所で察しが悪かったりするからの……」

 

 いや、名乗ろうとして固まってごにょごにょ言われてもこちらとしては反応にこまるんですが?

 あ、ミラさん起きてきましたね。とりあえずおはようのキスでもしておきましょうか。

 「んっ……、ミラさんおはようございます。ちょっと早いですがトラブルが発生したので起こしました。大丈夫ですか?」

 あー、へにゃって笑っておはようの声が返ってきましたがこれまだ頭の中寝てますね。

 「いやいやいや、ここでやつがれを無視して妹御を愛で始めたりするのはありえんじゃろ!?やつがれ、これでもアレぞ、ぬしらより偉大なアレぞ!?」

 「申し訳ないのですが、その、名乗って、どなたか教えていただかないとわたくし達としても、どう応対するのがふさわしいのか困ってしまいますので……」

 どう考えてもこれは理珠さんが正論ですね。

 いやだって、のじゃのじゃ喋る私の根源絡みの謎幼女に対してへりくだった態度を取れると思います?無理ですよね?


 「うぬぅ、そこまで言うならば名乗ってやろうなのじゃ!やつがれはシアシャル・グラゼ本体より切り分けられた分身わけみ、この地に魔力をもたらした精神生命体ヴァタォーゴの一身そのものである。ひかえおろー」

 ……は?

 「イツァナグイが再生した個体がたまたまやつがれと同じ魔力根源を有しておったのじゃ。面白そうだからと根源を共振させてずっと様子を見ておったのよ!おどろいたか?おどろいたじゃろ?ほれほれ、しっかりリアクションを取るのじゃぁ!(どやぁ」


 え?

 いやいやいやいや。

 え?マジです?

 私が、根源さんだと思って会話してた相手って、最初っからこの星に魔力を持ってきた精神生命体本体だったって事です!?

 はぁーーーーー!???

 

 なお、シアシャル・グラゼの名前を覚えていなかった理珠さんとそもそも知らないミラさんはこの幼女に着せる服どうしようかと家の人に服を取りに行くよう指示を出してました。

 いや、私関連の事案に対するスルースキル高すぎませんか?

 

 


☆★☆★☆★☆

ふーとーんーのーなーかーかーらーでーたーくーなーいーっ!

(打首獄門同好会 布団の中から出たくないより抜粋)

はい、ということで座敷わらし系巨乳のじゃロリ登場です。

シアシャル・グラゼってなんだっけ?って人は11話まで戻ってお読み下さい。

名前だけしか出てなかった元凶さんのようやくの参戦です。


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