第88話 あたたかな帰宅
「はー、じゃあ結局あの空母とその他は全部魔物だったって事にされたんですか。色々無理があるのでは?ほら、結局ぶっ壊れて座礁してる空母の前半分とか残っちゃってるわけですし?」
ミラさん曰く、エヴゲーニヤはお国から要求された日米の関係悪化工作と自分の目的である私を操っての自らの蘇生を両方叶える目的で今回の騒動を仕組んだのだとか。
まあ、当然そんな離間工作に乗っかってやるつもりは無いわけで、米国としては原子力空母とその他6隻を奪われたなんて事実はありませんと発表。
日本の公式発表としてはどうみてもアレは魔物だったという声明を出してお話は終わりです!と言い切ったようで……。
戦闘の痕跡はともかく、直立しちゃってる3隻だったりとか空母の前半分とか真っ二つになったヤツとかの残骸があったらその言い訳成立しませんよね?と質問を投げかけたわけですが。
「ん?全部砂になったり消滅したりしたから痕跡なんて一切残してないから大丈夫よ。いやー、左さんが復帰してくれて助かったわー。流石に全部パトリシアさんに砂にしてもらうってのは物量的に無理があったしねー」
何という力技!
左さんというのは多分、右ストレートの人の事ですよね。根源が右なのに名字が左とはこれ如何に。
「いやでも、流石に目撃者0人とは行かないんじゃないですか?避難命令無視してビルやなんかの高いところから撮影してた追っかけとかも居るでしょうし」
「良いのよ別に。政府の公式発表だからって全部信じてくれなくったって良いんだから。ああいうのはそういう事になりましたって発表であって、別に真実じゃなくったっていいのよ」
確かに、それが一番離間工作を仕掛けてきた相手に効く対応ではあるんですよね。まあ、何にしろ私達にどうこう出来る話じゃないので気にしても仕方ないですね。
「で、ミラさんは亡命してきた扱いになったと。記者会見やったって聞いたんですけどザマさん、録画あります?可愛い妹のメディアデビューはちゃんと確認したいじゃないですか」
発言と同時にミラさんから背中をばしばし叩かれましたが気にしません。ビシっと背筋を伸ばして質問にハキハキ答えるミラさんとか絶対かっこいいじゃないですか。ぜひ見たいです。
あ、もしかしてその場面ウェディングドレスで臨んだりしてませんよね?
その辺どうだったんですか?根源さん?
「大丈夫、私の大事な娘のある意味晴れ舞台よ?各局全データ、ネット中継含めて全部記録してあるに決まってるじゃない」
あー、ザマさんにとってはここの子は娘扱いでしたねー。ほら、ミラさん母親もどきも出来ましたよ?うん、ちょっと引くのは気持ち的にわかりますが、大事に思ってくれてる証ではあるので受け入れてあげて下さい。
「ミラかっこよかったんだよー。胸元のがばっと開いた大人っぽいドレス着て、キリっとした表情で!」
なるほど、私と同じ様に複数衣装に変身できるようにしてあるんですね。それならまあ……。
「あ、そういえばエラさんはミラさんの身体から分離してその
そもそも、食事は出来ませんし皮膚感覚的なものも無いでしょうし視覚と聴覚以外が機能しない状況ってかなりきついと思うんですよね。
「んーと、その辺りはなんか、エラみたいに気軽に身体を乗り換えられる
あー、なるほど考えましたね。
先にこうなるよってモデルケースを見せておいてからなら非人間ボディの嫌悪感も減るというものですね。確かに憧れますもんね、全身義体。メスゴリラ呼ばわりされたりは勘弁ですけど。
……いや待って下さい。初雪さんやら白さんが参考資料として見せたのならともかく、真割さんですよ?何も考えずにおもしれーから!って見せたに決まってるじゃないですか。
まあ、そういう分野に興味を持って、自分の状況を悪く囚えては居ないようなので結果的には大正解なんですけど。
じゃあ、概ね懸念事項は大体片付いたってことですかね?
「ねえ、羽佐間室長。ミラ達の居た組織の、
あ、まだそれが残ってましたか。
なんなら今からこっそり
「あ゛ー、それは、えーっと……」
ふむ?ザマさんが返答を濁すの珍しいですね?
「まあいいか、スネ希だし他言はしないでしょ。
あー、あの髪がもんのすごく長くて邪魔そうにしてる人ですね?
他の魔法少女はともかく、私は自前の移動魔法があるので接点が薄いんですよね。
「あいつさー、日本における対魔物戦線の要だから戦闘に参加したりそれに類する行為はダメって言われてるのに、なんかあるとすーぐ、『ちょっと悪の組織壊滅させてくるからサ、魔物が出たら電話して?』なんて言ってマフィアだのヤクザだの、魔物崇拝教団だのの拠点に一人で突っ込んで行くのよ?今まで怪我して帰ってきたことは無いとはいえ、何事も絶対は無いんだからやめろって言ってんのに!」
あ、ザマさん胃が痛そう。
……で、
「今回も勝手に出てって勝手に組織壊滅させて、勝手に助け出した女の子たちの身の安全の保証までさせてんの、ワケわかんないでしょ!特に最後!そういう折衝を勝手にやるなってーの!」
あー……、せっかくだから有用な魔法が使える子が居たら引き入れたかったんですね?
いやまあ、心の傷が癒えた後に戦おうって気になったとして、日本が一番損耗率低いのは事実ですし生活環境に対する配慮も手厚いのは事実なんですが。
「えっと、つまり
「みたいだよ。会話が禁止されてたから友達とかは居なかったけど、ミラ、みんなのこと心配してたもんね?」
ちなみに、ミラさんが来た頃にはもう冷凍庫の中でしたが、私も地味に一緒に捕まってた女の子ですからね?
ミラさんがほっとした表情で長くため息を吐き出しました。
「よかったぁ。ミラだけ幸せになるなんてみんなに申し訳なかったもの。みんなも助かったのならミラも姉さんとセヴンスとリズ姉様に存分に甘えても良いのよね?」
くっそかわいいなこの妹はもう!
そして、だからなんで私だけ呼び捨てなんですか!
「はいはい、存分に甘えて困らせちゃいなさいな。我儘言って、あれこれねだって、褒めてもらって、今まで出来てなかったことを存分にやってもらいなさい。特に
いやまあ、実年齢で言ったら娘みたいな妹なんでそりゃあもう可愛がりますけどね?
「ほら、そろそろ迎えが来る時間でしょ?信乃さんによろしくね?」
ザマさんの言葉通り、魔生対の裏口である魔法少女用の出入り口に黒塗りの高級車が停車するのが見えました。
「あと、夜にスネ希が色っぽい声を上げてたりしても見に行っちゃダメだからね?」
何故バレてるし。
ということで、はい。
ミラさんは私の妹として扱うって話が通った結果、理珠さんが「では当然、わたくしの義理の妹でもありますものね?」と有無を言わさぬ笑顔でミラさんの身柄は水流崎のお家で預かるという話を通しました。
エラさんは技術部とミラさんのお部屋と行ったり来たりの生活になるみたいです。
今日はまだメンテナンスがこっちでしか出来ないという話で、魔生対の方に泊まるらしいですね。
さて、理珠さんも迎えに来ましたし、愛しい妹を新しい自宅に案内するとしましょうか!
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リザルト的な回その2
しかしこの姉を名乗る不死者、急に出来た妹にデレッデレである。
なお、妹の側はいろんな感情パラメーターがMAXなのでアレです。
次回でエピローグ、その後コメントログ回を……何話か、4話ぐらい?挟んで、与太話を挿入したら3期の予定です。
なお、プロットが完成してないので与太話でつなぐ期間が長くなったらごめんなさい。
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