第71話 終末の魔力を原子炉へシュゥゥゥーッ!! 超!エキサイティン!!
「まあ、予想できた結果ではあるのよね」
と、ため息とともに言うザマさんの言葉に同意する魔法少女達。
いやまあ、実際私達の視点だとミサイルがダメージを与えるかどうかじゃなくて、どうやって魔物空母が攻撃してくるかが気になってた部分ですからね。
「と言うことで、魔操種の艦隊の撃破はおそらく魔生対の担当になります。とりあえず、現状の航行速度で計算すると明後日の夜辺りに東京近海へ到着する見込みです。と言うことで、対策会議と行きましょうか」
おおー、初の作戦会議です。ちょっとわくわくします。
前回の魔物の群れの時とかもやってたらしいですけど、私は不参加でしたからね。
「はいっ!ヘリとかで東京近海になる前に私が先行して、最大威力でメテオー!ってすればいいと思います!アウトレンジからの最大威力の先制攻撃は正義だと思います!」
と、元気よく手を上げたのは流星の魔法少女の青杜さん。
いや、まあ、彼女の魔法なら確かに大威力で先制攻撃してかなりの損傷を与えられそうではあるんですが……。
「ダメ、原子炉がある。少なくとも放射性物質が漏れる倒し方は全部NG。あとミラさん死ぬ」
と、依霞さんがダメ出し。
そうなんですよねー、下手にこれが私の全力全開!すると空母の原子炉にダメージが入って後処理がやばいってなりそうなのがやっかいです。
一撃必殺できれば一番楽なんですけどねぇ。あ!
「真割さんの
「あー、
ダメですか。となると、空母の動きを止めた上で、まあなんとなく艦橋あたりにいるであろう魔物からミラさんを救出して魔物のみを撃破しなければならないと。
だいぶ難易度が高いですね。
そもそも相手は酸素の魔物ですし、ミラさんを奪還した時点で逃走を開始するでしょうし……。
それ以前に、あの空母って多分、6本脚の謎の巨大陸上兵器として上陸してくるんですよねぇ。立ち上がった状態での空母の高さは脚となる随伴艦のサイズから考えて100メートル以上の高さになりますし、ミラさんを通した魔物の魔力が無くなった瞬間に原子炉付きの空母がその高さから自由落下なんてしたら大惨事でしょう。
となると、やっぱり先になんとかしたいのは原子炉ですよねぇ……。
どこかに、放射性物質とかを何の影響もない物質に変質させてしまうような、便利な魔法を持ってる人が……居ますね?
「あノ!私の魔法でナら、原子炉を全部、完全に、安全に分解できマス!」
はい、力強く手を上げて宣言したのはパトリシアさんです。
そうですね、終末の魔法なら放射性物質だって半減期の先の先のそのまた先で無害になるまで終わってしまうので原子炉関連の問題は全部クリアです。
あ、でも原子炉の周囲まで完全に範囲に入れないと後がめんどくさいと思うんですよね。この国、一部の人が核アレルギー持ってて安全値内でも普段より高かったら大騒ぎし始めるので……。
となると、えーと、あれ?空母搭載の原子炉のサイズとかってどうなってるんでしょう?
「うん、私もパティの魔法でなら原子炉を安全に処理できると思うんだけど、問題はあの空母の何処に原子炉が搭載されていて、どれぐらいの範囲を巻き込めば安全なのか、よね」
白さんが気だるげに髪をいじりながらザマさんに視線を投げました。
うーん、こういう態度が絵になるのずるいですよねぇ。
「そもそも
「真下からの攻撃、私はどちらかと言うと大反対だな。空母なんて巨大な構造物を、しかも他の艦船を脚にして立ち上がるなんて無茶をやっている。魔力のみでそんな事をしたら、消費がマッハで頭がおかしくなって死ぬんじゃないか?多分、電気を血の代用とかそういうのにして根源に絡めて魔法を使ってると思うから、原子炉を破壊した瞬間空から空母が落ちてきて人生にひっそりと幕を閉じることになると思う」
ミラさんの魔法で操ってるんですし、電気を血に見立てて操作しているのはなんとなく予想できます。
九條さんの言う通り、原子炉を破壊した瞬間に制御を外れて脚となっている艦船共々重力に引かれて落下して崩壊するという予想は多分間違っていません。
「そうすると、今度は対空火器が邪魔になってくるわけだ。パトリシア君が空母の原子炉を破壊するのにどれだけのサイズの瓶が必要かはわからないけれど、どうやったって山なりの軌道で射出することになるだろう?音速で迫るミサイルすらかなりの確率で撃ち落とす対空火器郡がそれを見落とすと思うかい?」
あー……、終末を招く必要がある範囲と位置は後で考えるとして、この問題はクリアしておかないとこの戦術が破綻しかねませんね。
「うーん、とりあえず、原子炉の位置と規模は機密だろうから後でパトリシアさんにだけ教える感じになるかな?で、対空火器なんだけど……」
お、ザマさん何かいい手があるんでしょうか?
「なんとかして魔物空母の脚を止めて、脚からよじ登ってもらって片っ端から壊して回るしか無いんじゃないかしら?」
……これ以上無いほど力技でした。
まあ、わかりますけどね。下手に搦め手を考えてそれが通用しなかった場合を考えると、確実に通るであろう手段を講じるのは決して悪いことではないです。
「そうなると、確実に脚を止めるためには脚3本の破壊が前提になるのかしら?6本脚のうち、片側2本とその反対側で1本壊せばバランスを取るのに精一杯で動けなくなるのでは無くて?私は大質量を止める魔法を持ち合わせておりませんので、他の人では危険なCIWSの処理を担当させて頂く形でよろしくて?」
と、シロップマシマシのアイスティーを飲みながら初雪さん。
確かに、対空ミサイルとかなら甲板に居れば発射されないでしょうけど、CIWSって結構な射角を持ってますから安全地帯が何処なのかわかりづらいですもんね。
ここなら大丈夫だろうって位置で発射されて蜂の巣とか御免被りたいです。
……逆に言うと、初雪さんは毎分3000発以上発射される銃弾を脅威とも感じていないということですよね。流石は夜間最強の魔法少女。最早常識の適用範囲外です。
「じゃあ、脚を破壊するのは誰がやれる?言っておくけど、脚になるイージス艦やら駆逐艦にだって対空火器はついてるからね?」
うーん、魔力保有者の扱いが悪い国とかで督戦隊が銃で彼女達を押さえつけてる事からわかるように、現代兵器って地味に大抵の魔法少女の天敵なんですよね
なんたって銃弾普通に効いちゃいますからね。
拳銃の弾数発程度なら撃たれても魔力の障壁と自己保存魔法の補完範囲内で死んだりはしないでしょうけど、ライフル弾なんて食らったら大体アウトです。
と、袖が理珠さんにくいくいっと引っ張られました。
顔を見れば、やりたいですって言いたげな表情。
ああ、現状私達だけが使えるであろうアレで作った新魔法を試したいわけですね?
当然私も試したいので笑顔でサムズアップです。
「では、1本はわたくしが担当いたします」
理珠さんの言葉に視線が集まりました。
まあ、破壊力という点では理珠さんは下から数えたほうが早いですからね。そんな子が艦船1隻破壊できますって言い出したらびっくりされますよね。
「大丈夫です。セヴンス様と作った新しい魔法がございますので」
理珠さんがドヤ顔で私の名前を出すとみんな納得したように、詳細も聞かずに2本目どうする?という話題に移っていきます。え?なんでそんな感じになるんです?
もうちょっと詳細聞いたり、大丈夫なのか確認したりしなくて良いんですか?
解せぬ……。
「じゃあ!1本は私が流星で!」
「ん、じゃあ最後」
残り2本は青杜さんと雛ちゃんで決まりですかね?
というか、雛わんこはナタで軍艦をぶった斬るつもりなんでしょうか?
「あ、だメです。雛サンはあの、ワタシのビンを投げる、お願いします」
と、パトリシアさんからストップがかかりました。
「原子炉、壊す、大きいビン必要デ、ワタシのSlingshotでは飛ばせナいデス」
あー……、なるほど。
となると、一番パワーのある雛わんこに投げてもらうのが良さそうではあります。
なんとなく、彼女なら狙った場所に違わず着弾させられそうですし。
「えっと、月ヶ瀬さんの抜けた分は何とかなりそうかも。アメリカからもエース級が1人参戦するって。彼女なら多分やれる……と思うから」
と、ザマさんがスマホを見ながら呟きました。
まあそうですよね、流石に自国のお船がご迷惑おかけしますやってるのに完全放置は無いですよね。
「と言うことで、後は作戦の詳細を詰めていきましょうか」
どの脚を誰が破壊するのか、攻撃用の兵器類の破壊をどうするか、エヴゲーニヤ博士の憑依にどう対策するかなど、事前に考えられる部分は出し切ったと思います。
後は、明後日の夜まで英気を養うだけですね!
☆★☆★☆★☆
さくせんかいぎ回
脚壊して動けなくしてよじ登って対空火器壊して原子炉にダイレクトアタックする
力技ですね!
後は想定外の事が起きなければいいんですが……
アメリカのエース級、一体どんなサメなんだ……。
気になりますね?
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