第62話 付き合ってやる、10秒間だけな!

 お魚、焼き魚が食べたい……。

 アメリカの生活にちょっと慣れてきたボクの今の一番の問題は、日本食が……いや、違うかな?「日本の料理」が気軽に食べられない所なんだ。

 あのね、味付けが全体的に雑なんだよこの国のお料理!

 いや、雑じゃないお料理も沢山あるよ?でもね?日本みたいに、ふらっと立ち寄ったお店でもよっぽどじゃない限り大体美味しいみたいな事は無くて、美味しいものを食べたいならそれに見合う金額のお店に行かなきゃいけないみたいな感じなんだ。

 うう、こんな事なら料理の勉強しておくんだったよ。


 そんな感じで、ミーティングルームで項垂れながらハンバーガーをもしゃもしゃしてた所にアラームが鳴った。

 『フィラデルフィアで魔物の発生を確認。だ。サイボーグ達の練習台にする予定だが、が一人必要だ。金にはならないが誰か行く気はあるか?』

 ふふーん、ボクもちょっとは英語わかるようになったんだよ。要はアレだよね。魔物が発生して、なんとか部隊が練習台にするけど念のため誰かついていってって感じでしょ?あってる?

 あ、通訳の人は大体合ってるって言ってる。

 え?サイボーグ部隊!?

 見たい見たい!ボク行くよ!行きたい!

 あ、ところで「いつもの」って何?


 サイボーグ部隊って奴とは現地で合流らしくって、とりあえずいつも通りボクは戦闘機で配達される流れみたい。

 魔物の説明は聞いたけど、知ってるだろって言われてもじゃーじーでびるって何!?知らないよ!

 とりあえず、日本で言う第二種群体型だって言うのはわかった。

 あと、いつものって言うのはじゃーじーでびる?の姿の魔物が何回も出てきてるかららしいね。日本でもクリスマスとかバレンタインとか、魔物の姿が固定化されがちだし、やっぱり魔物発生の原因となる感情とか思想が一緒だと同じ魔物になりやすいんだろうね。

 

 とりあえず、今回は何事もなければボクは後ろで見てるだけでいいらしいから変身だけして待機かな。幸い、今日は10秒間だけなら超加速が出来るホタルがモチーフのドライバーだし、緊急時に助けに入るのには向いてると思う。

 あ、そうそう。ボクにもスポンサーが付いたんだよ!アメコミの会社と、その映画を撮影してる会社!

 ……でも、ボクを題材として映画作りたいって話は西映とか、岩森プロとかに許可取らないと不味いんじゃないかなぁ。

 

 で、現場近くでサイボーグ部隊?の4人と合流したよ。

 『会えて嬉しいよスーパーヒーロー。アタシ達は実験部隊・トランプの兵隊トランプ・ソルジャーダイヤチーム。今はウィッチネームじゃなくてコードネームで呼んでくれ。アタシから順にエース、ジャック、クイーン、キングだ。いざという時は頼むよ!』

 あ、トランプがモチーフなんだ?ダイヤのエースと絵札3枚だね。

 せっかくならボクの今日の変身先が中の人がボクと同じ名前の銃使いなら面白かったのに。

 

 ダイヤチームのみんなは、自由に動かせなくなった肩に補助装置をつけてたり、両足に外骨格みたいな強化装置がついてたりしてる。魔物との戦闘で連れ去られるのはなんとか避けられたけど、負傷が原因で前みたいに戦えなくなったリトルウィッチさん達なんだって。

 一定の成果を挙げられれば、日本で言う支部所属の魔法少女みたいな感じで特定の都市所属の部隊として運用されるみたい。

 

 あ、戦闘開始みたい。

 結局ジャージーデビルの説明は無かったよ……。

 とりあえず、なんか羽根が生えてて直立歩行する馬みたいな変なのがわっさわさ居てちょっと気持ち悪い。

 主な攻撃方法は蹴りかな?アスファルトが凹む程度には威力があるみたい。

 あ、羽根は生えてても飛べないんだ?ちょっと飛距離が伸びるぐらい?

 大した魔物じゃないし、何事もなければダイヤチームさんだけで片付けられそう。


 んー、前衛が2人で後衛が1人、自由に動き回ってる人が1人って感じの構成なのかな?

 さっき自己紹介してくれたエースさんは光る剣とちょっとした念動力で戦ってる。

 アレだよね、時代の騎士だ。

 うーん、肩に外骨格をつけてるんだけど、その重さでちょっと動きが重い感じがする。肩の可動域もちょっと狭くなってそうだし、これは確かにチームを組んで戦わないとまた怪我しちゃうかも。


 後は、何か剣を召喚して投げてまた召喚して投げてを繰り返してるクイーンさん。うーん、剣に特殊効果とか無いのかな?まさか、普通の剣を投げてるわけじゃないよね?

 ジャックさんは遊撃で、手から炎を噴射しながら敵全体の動きをコントロールしてる感じ。炎もそんなに威力が無いのか、それとも威力を上げると周囲に被害が出るからなのか敵が倒せてないんだよね。それでも、装備の熟練度は高いのか両足の強化外骨格の機能で大ジャンプしたり装備はすごく使いこなせてると思う。

 キングさんはなんか、ゾンビを召喚しては盾にしたりゾンビに魔物を襲わせたりでチームの前衛としてならいい感じの能力かもしれないんだけど、足の強化装備が使いこなせてないのかポジション取りが良くない感じ。


 総評として、なんというかボクが強い魔法少女を見慣れすぎてるっていうのもあるんだろうけど、日本の魔法少女に比べて戦い方に幅がないというか、想像力ファンタジーが足りないんだよね。

 だって、ボク達が使ってるのは魔法だよ?もっと無茶苦茶しなきゃもったいないよ……。

 まあでも、チーム全体で見ればそこそこ戦えてる……のかなあ?

 

 



 そろそろ半分ぐらい倒したのかな?

 第二種だから、今残ってる奴の半分ぐらい倒せば終わりだと思う。

 んだけど、ボクのヒーローセンサーがこのまますんなり終わらせてくれなさそうな気配を察知してるんだよね。

 あ、ほら来た来た。


 『何だこいつら、急に集まって……』

 『キング、嫌な予感がする。フォーメーションDで様子を見よう!』

 ジャージーデビルが集まって、共食い?し始めたみたい。

 馬の顔の生物が同族、というか肉を食べてるのって変な感じがするね。

 うーん、ダイヤチームさん、慎重になりすぎて失敗してると思う。ここは全力で攻撃して少しでも数を減らす場面だったと思うよ。


 共食いをした後に残ったのは、なんかすごくムッキムキのジャージーデビルだった。残ってた個体の魔力を全部1体に集めた感じなんだと思う。

 群体型って総魔力量だけ見ると単体出現の魔物の5倍ぐらいある時も普通にあるから、これはもうボクが手助けしたほうが良いかも。

 あ、動き出した。


 ッジャーッジィィィィィー!

 あ、掛け声ジャージーなんだ。

 まっすぐ走ってきて、壁として立ちふさがるゾンビの群れをなぎ倒して、キレイなフォームで飛び蹴りをやってきた。

 エースさんが超能力で止めようとするけど、止まらずにゾンビの身体を盾として構えたキングさんにその蹴りが突き刺さった。

 ほえー、足の強化装備で後ろに吹っ飛ぶのを防いだみたい。そっか、あの装備はそういう使い方なんだ。

 っと、観戦してる場合じゃないよ。そろそろダイヤチームさんを助けに行かないと!


 スイッチを押して加速モードを開始するよ!

 10秒間だけだから急いで倒さないとね!

 『Start up』

 戦闘法衣バトルドレスの装甲部分が展開して加速が開始する。

 まずは、超加速の開始と同時に駆け出して強化ジャージーデビルに必殺キックを叩き込む!

 で、このマスクドライバーの必殺キックは相手を貫通しちゃう性質のキックだからそのまま着地出来るんだよね。

 だから、このまま超加速を維持して必殺キックを繰り返し相手に叩き込める。

 コレが一番攻撃力が高いし気持ちいいんだ。

『3…』

『2…』

『1…』

『Time out』

『Reformation…』


 よし、手応えはあったし相手に背を向けて止め演出だね!

 戦闘法衣バトルドレスの装甲が元に戻るのと同時に必殺キックの衝撃が幾重にも強化ジャージーデビルに突き刺さって、一瞬で滅ぼした。

 くぅー!これがかっこいいんだよねこのマスクドライバー!

 最強形態は別にあるんだけど、この超加速モードがかっこよすぎていつもこっちで戦っちゃう。

 

 あ、何の説明も無しにボクが倒しちゃったからダイヤチームのみんなが驚いて固まっちゃってる。

 『スーパーヒーロー、アンタが今のをやったのかい!?』

 あ、えっと、ボクがやったのか?って話だよね?いえすいえーす!

 『やっぱマホウショウジョってのは強い奴が多いんだね、流石に今の動きは真似できそうに無いね。閃光かQなシルバーみたいだったよ』

 なんか褒められてるっぽい?

 いや、でも今はちょっとサイボーグ部隊の人に聞きたいことがあったんだよね。

 えっと……。

 『質問。魔法少女、ボクサー、両足、義足、作れる?』



☆★☆★☆★☆


ぴっぴっぴ 

『Standing by complete』

はい、クリスマス回前のクリスマ回って奴ですHAHAHA(ネタにしたライダーのキック名がクリムゾンスマッシュ通称クリスマなため)

ということで完全趣味回2回めにして、引退した誰かさんの復帰フラグ回です。

日本側がちょっとシリアス展開開始前なのでこういう回を先に入れておかないと

空気感のギャップがアレなので……。



 


 

 

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