第29話 認識阻害と自己紹介
ということで、魔法少女の子達との懇親会に参加する事になってしまいました。
いや、別に参加する子に苦手な子がいるとかそういうのは無いですし、問題はないんですが、ほら、陰キャって休日は引きこもって趣味に時間を費やしてライフを回復してる的なムーブがあるじゃないですか。
そこにいきなり友人との約束が生えてきた時の行きたいんだけど行きたくない的なめんどくささというかなんというか?
その程度のめんどくささなら参加した方がいい?ごもっともです。
で、理珠さん……というか、ウィステリア・ヴェールの魔力を感じたので参加する時間になったみたいです。
どうしましょう?初手でなんかボケたほうがいいのでしょうか?
まあ、懇親会の会場を見てから考えましょう。
「
テーブルの下とかからニュルッと出てくるだけでウケますかね?
「こ、こんにちはー。セヴンスでーす」
結局、ネタがスベって場が凍ったら逃げるしかなくなるという事に気がついて理珠さんの影から普通に登場することにしました。
ちなみに、会場は何処かの飲食店を貸し切りにしたのか、いい感じの広いホールでした。まあ、窓は全部ブラインドがおりてますが。
「おー、マジで来やがりましたわね。待ってましたのよ」
「わ、セ、セヴンスさん簡易変身のままでも魔法使えるんですね……」
「相変わらず顔色悪いけど、ちゃんと休んでるんでしょうね?」
「おー、久しぶりだね魔女君」
「ボクははじめましてっす。よろしくっす!」
「……元気?」
「来た!魔女きた!これで勝つる!」
と、登場するやいなや大歓迎状態でしたので、素早く理珠さんの後ろに回って盾にしました。
いやしかし?多分この反応、ボクっ娘以外は全員魔法少女状態で面識のある人達だと思うんですよ。ってか今日もビシっとフォーマルな格好でキメてるペネトレイターさんは認識できますし。
でも、変身前の状態を見ても誰が誰なのかさっぱり分からなくてびっくりです。
いや、本当におかしいんですよ。メリクリさん、あの西瓜を目印にすれば間違いなく見分けがつくはず!と思って意識して眺めても誰がメリクリさんなのかわからないんですよ!胸のサイズは認識しているはずなのに!
魔法少女の姿からの連想を魔法が阻害してるとかそういう感じなんでしょうけど、
思い出せなくてもやっとするとかのレベルじゃなくて、本当にさっぱり分からなくて認識阻害魔法の効果をしみじみと実感します。
いやまあ、私は現状一切その恩恵に与れないわけなのですが。
「皆さん、変身前の姿では誰が誰なのかセヴンス様が認識できなくて怖がっているではありませんか。まず、一人ひとり自己紹介から始めて頂けませんか?」
と、騒がしくなっていた場を理珠さんが収めてくれました。
やはり頼りになるのは先輩魔法少女兼家主ですね!
……アラサーが女子高生を盾にして挙動不審になってるとかそういうのは考えないことにします。しました。しませんか?
「で、では、わ、私から!」
一番手は、ゆる三つ編みメガネのおっぱいさんが手を上げました。
ボディラインの分かりづらいサイズ大きめのニットセーターを着ていますが、その程度の小細工で誤魔化される私ではないと胸部装甲さんがコレでもかと存在感を発しています。
「せん、先日は私の回復魔法の才能を見つけてくださって、あの、本当にありがとうございました!私は
あざとおっぱいさん!
魔法名を名乗られた瞬間に、隠蔽魔法が解除されたのか外見的特徴からの連想が本人の姿としっかりと結びつきます。
いや、この胸があの胸と同じ胸だって連想できなくなる認識阻害魔法ほんとすごい性能してますね!
というか、実は機械的な判定さえも誤魔化してるマジでヤバい魔法だったりするんですけどね。
「ちょっと、あの子にお世話になって感謝を伝えたいのはわかるんだけどそんなのここにいる全員一緒なんだから抜け駆けしない!ここは出会った順で話をするべきでしょう?」
と、ちょっと偉そうに立ち上がったスレンダーなロングヘア美少女。モデル体型ってやつですね。シャツとジャケットとパンツというシンプルな服装なのに足の長さが際立ってます。
「
あー、変身解除してもスタイルの良さが際立ってますね。バニー姿も魅惑の脚線美でしたが素の姿もかっこかわ綺麗です。
ん?おつるさんって理珠さんの事だったりします?
「私はもう自己紹介の必要ねーでしょう?魔法少女デア・ペネトレイターこと、
相変わらずチンピラみたいなお嬢様口調と、きっちりとした格好のギャップで混乱しそうになりますね。
「真割製作所ってー工作機械のメーカーんとこの一人娘ですわ。金属製品の加工でしたらいくらでも請け負いますから、武器やら魔法の補助具やらが思いついたら相談してくれると意見が出せるんじゃねーかと思いますわ」
なるほど、工作機械関連でドリル属性が生えたんでしょうか?あ、工業用ドリルとぎゅんぎゅんドリルの扱いの違いについて後で質問してみましょう。
「出会った順に自己紹介とか言っておきながらめぐりんにサクっと抜かされた……。この怒りはしばらくおさまる事を知らない」
ソファーの端っこで体育座りをしていただぼTの少女がぼそっと口を開きました。
縮こまっているので身長はわかりかねますが、まあ普通ぐらい?ではないでしょうか?
顔は長く伸びた前髪がかかっていて正直良く見えないです。メカクレ属性ですね!
「義肢の魔法少女、アインハンダーの
いえ、覚えていますとも。戦ったことのある魔物の特徴を持った右腕を作り出す魔法を使えるとか言ってたはずです。使い捨ての代わりに何種類かストックできるとか新聞には書いてありましたね。
「じゃあ、次は私かな?」
次に立ち上がったのはメガネが知的なポニーテールのお姉さんでした。
というか、身長高くないです!?多分180cm近いですよこの方!
多分、男物だと思われるシャツとジーパンを着てらっしゃいますが、多分服を選ぶのが大変だからとかそういう感じなんじゃないでしょうか?いや、似合ってるんですけど。
「
初動対策課の高等教育は卒業して都内の大学に通ってるから呼び出される頻度は低いんだけど、一応何度か顔を合わせたよね?」
あー、あのなんか白いくねくねしたよくわかんないやつを呼び出して魔物を撹乱してた包丁を持った三角帽子の魔女っぽい衣装の魔法少女さん!
「多分、次、私。けど、自己紹介とかめんどい」
部屋のすみっこでずっとスマホをいじってたウルフカット……というか、ぼさぼさの髪の女の子がこちらにギリギリ聞こえるかぐらいの声でつぶやきました。
「霧のヤツ。ドーンストライダー・ヘイズ。
あ、露出狂の子だ!
いや、この子の
だって、隠すべき場所が霧で見えないってだけの全裸なんですよ!?
で、変身中は身だしなみが自動で整えられるので綺麗なセミロングのエメラルドグリーンの髪の全裸少女が見えそうで見えない感じの戦闘機動をするわけですよ。そりゃお兄さんたちに大人気ですよ!
ちなみに、中の人はそれが不本意なのか手と顔ぐらいしか露出してないロングブラウスとめっちゃ長いロングスカートといった出で立ちです。
「じゃあ最後はボクです!はじめまして!」
トリを飾るのは元気よく声をかけてきたボクっ娘。
くせっ毛で髪がぴんぴん跳ねまくってるのが本人の気質を表してるようなエネルギッシュな子でした。
「魔力根源はバッタとヒーロー!
ビシッ!とポーズをキメて挨拶をしてくれましたが、根源がバッタとヒーローって、日本人なら思い浮かべる存在は一つですよね。まあ、はい、マスクドライバーシリーズですね。
日によって、「シリーズの登場戦士の誰か」の能力を持った姿になれるらしいです。当たり外れが激しそうですね……。
「初雪さんと青杜さんと月ヶ瀬さん。吸血鬼と流星と鬼の3人は魔物対応の為に本部待機で欠席とのことです。何処かで顔合わせの機会は作りますので、今日はこの9人でパーティーを楽しむといたしましょう?」
一応参加しましたが、私って10年前のお話しか出来ないんですが会話が噛み合うのでしょうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます