第17話 ついに ネット環境を てにいれた

 えー、理珠さんお屋敷にご厄介になって3日が経過しました。

 その間に出現した魔物は5体、なんか出現頻度上がってませんか?大丈夫ですか?

 しかし、十分……いや、十分以上な食事と、温かい布団での熟睡により、家なき子をやっていた時より、かなり日常で消費する魔力量が減っています。この生活が続けられれば生き返りの日も近いのではないでしょうか?

 理珠さんにはほんと、感謝しかありません。


 ところで、私が居候になって以降、休みの日に偶に返ってくるだけだったという理珠さんが毎日こちらまで帰宅してらっしゃるのは何なんでしょうね?

 何故か毎日一緒にお風呂に入る流れに追い込まれますし、気がついたら自室を用意してもらったのに理珠さんの部屋で寝るのがデフォになってますし。いやほんと何なんですかねこの流れ?

 お風呂上がりに髪を乾かされたり、一緒にストレッチしたり、日々めちゃくちゃ構われてます。 

 アレですね。ペットショップで子猫を買ってきた翌日の父を思い出すムーヴです。

 まあ、構いすぎてウザかったのか逆に嫌われてましたが。


 魔生対に私が住み着いたことは報告したらしいのですが、ホワイトラビットさんに伝えた要望である、連絡の取れる手段についてはまだ手元に届いていません。

 なんでも、登録した魔法少女全員に配られるスマートフォンがあるらしいのですが、未登録者にわたすのは前例が無いからと許可がなかなか降りないのだそうです。

 食事の支援とかと違って、毎月通信費が発生するものですからね、事務手続き等かなり面倒くさいんじゃないでしょうか?まあ、気長に待ちましょう。


 ええ、それぐらいは気にしませんとも。なんて言ったって、私はついに文明の利器を手に入れた(買ってもらった)のですから!

 そう、現代オタクの必需品、パソコンとネット環境を!

 最新のゲーミングPCを買おうとする水流崎家御一行をなんとか説得して、そこそこの性能の中古ノートを買っていただきました。

 コレでようやく、新聞や公の記録に乗らない雑多な情報と、今まで一切触れなかったオタクの楽しみ全般に手を出すことが出来ます。ああ、本当にありがたいです!


 というわけで、早速ネットに接続しましょう。

 大丈夫大丈夫、本体設定やルーターの初期設定ぐらい自力で出来ます。むぅ?無線LAN?無線は信用出来ませんね、有線一択です。

 よし、いざネットの海へ!

 ……あれ?IEが無いんですけど?え?エッジ?君は誰です?ビッグバンでリディアと一緒に即戦闘不能になるキャラじゃなくて?

 ああ、なるほど、流石に10年も経過するとIEも寿命を迎えてしまったのですね。なんまんだぶなんまんだぶ。

 何にしろ、ちょろめさんをインストールして使うのでほぼ関係ない話ですね。


 という事で、10年ぶりのインターネット接続です。いや、私の感覚だとほぼ死んでた期間なので10日ぶりぐらいのネット接続なのですが。

 あ、レンジャー▲レンジャーの単行本って何処まで出たんですかね?

 ……は?10年で5冊?え?思ったより出てる……?出てない?え?休載中に開始した人気マンガがそのまま休載中に終わった?ナニソレ?

 まあ、あとでお小遣いで買いに行きましょう。大丈夫、水流崎家から一般的な女子中学生ぐらいのお小遣い……よりちょっと?いやだいぶ?多いぐらい?には貰っていますからね。

 っと、趣味に時間を使うと10年分消費しないとならなくなるので一旦忘れましょう。


 とりあえず調べたいのは、各国の魔法少女の実情とか魔物対策の現状とかそういうのですよ。新聞だとどうしても情報筋が偏ってしまいますからね。

 というのも、魔物って魔法少女拐ってネチョネチョしたあとパワーアップして戻ってくるらしいじゃないですか。その辺りの処理とかどうなってるのかなって。

 日本だと国土のサイズというか、居住可能地域の広さ的に全域カバーが難しくないので基本的に魔物は全部逃さないスタイルが通用してるみたいなんですけど、ほら、私の居た施設のあった国土広すぎ系国家ってどうなってるのかなって。

 というわけで検索開始です。まあ、題材的にオタクが好きそうな話題ではあるので誰かが何かしらの情報をまとめたページを作っていてくれるでしょう。多分!

 

 いや、みんな魔法少女好き過ぎでしょう。軽く引きますよこの情報量!

 確認されてる全魔法少女の写真と戦闘スタイル、公開されてる人は魔力根源まで網羅って!根源非公開の人は予測される根源の候補とかも書いてありますし。


 っと、それは置いといて、個々人じゃなくて国家組織的な対処方法とかは……。

 あ、海外の魔法少女……というか、国とか地域によって呼び名違うんですねコレ。確かに魔法少女って概念が世界中にあるわけじゃないですからね。

 えーっと、英語圏はウィッチかリトルウィッチ呼びが大多数、メディスンマンって呼んでる国もそこそこあるみたいですね。

 中国語は仙姑娘かな?仙女とかだとアッチ的には神様扱いになってしまうんでしたっけ?


 ん?バーバ・ヤガー?

 バーバ・ヤガーってアレですよね。スラヴ民話の山姥と悪い魔女の中間みたいな感じの、モンスター寄りのヤツですよね。

 思いっきり蔑称じゃないですか。必死に戦ってる少女たちを化け物扱いは酷くないんですかね?

 ……いや、メキシコだとウギン、マレーシアでポンティアナック、他にも色々。

 ウギンってアレですよね、無色のドラゴンのプレインズ……じゃなくて、メキシコ版のサキュバスみたいなヤツ。んでポンティアナックは女性の姿の食人鬼みたいな感じのヤツだったはず……。


 なんでしょう、結構な勢いで化け物扱いですね。どうしてこんなに扱いに違いが?

 化け物扱いしてる国ほど魔物対策の制度というか、魔法少女運用の法律が定まってない感じですし、隣国同士で救世主扱いしてる国と殺人鬼扱いしてる場合もあります。


 ……ああ、なるほど、完全に理解しました。

 人間、第一印象というのはとても強く受けてしまうものです。

 例えば、日本の場合。

 最初に覚醒した魔法少女は献身的に戦いました。続けて覚醒めた2人目と一緒に力の限り。それこそ、その少女の魔力根源であった『魔法少女』がこの国での魔力を扱う少女たちの総称となるほどにです。


 その視点から、魔法少女を化け物扱いしている国の最初の魔法少女を見てみると……。

 出るわ出るわ、殺人、強盗、誘拐、テロ……。

 うわ、この娘なんて基地に侵入して戦車を奪って政府施設を砲撃って……。

 まあ、魔法少女に変身していれば変身前の姿はバレませんからね、そりゃ、治安の悪い国ならそんな事もありえますか。

 魔物を放置してあちこちで犯罪行為を繰り返す魔法少女とか、なるほど確かに化け物扱いになってしまいますね。

 そして、魔法少女に放置された魔物は当然、魔力を扱う資質のある女性を異界に拉致してパワーアップして戻ってくると……。


 で、政府に存在がバレた悪徳魔法少女は、完全に生活を管理されて、督戦隊に銃口で狙われながら強制的に魔物と戦わされる、ゲームによくある剣闘士の様な生活の魔法少女となると……。

 魔法少女、対魔力防御とかそういうバリアはあるっぽいんですが銃弾で頭を撃ち抜かれたら普通に死にますからねぇ。

 いや、最初のヤツがやらかすとロクな結果にならないといういい例ですね。

 

 ……私も犯罪行為に走らなくて良かったです。本当に。

 っと、そうじゃなくて、そういう国で対処しきれなかった魔物がどういう事になってるかを調べるのでした。

 実際、良く撃退失敗する国の被害者数とか撃退率とかってどうなってるんでしょうか。


 ……あ、これ駄目なパターンです。検索しても政府公式の数値が出てきません。都合の悪いことを隠してる時のヤツです。

 いや、隠してるというか把握しきれてないパターンの方でしょうか。

 対魔物政策が失敗してる国の周辺国は国境付近に自国の強い魔法少女を集中配備してる感じらしいので、詳しい状況に関しては推して知るべしって感じですね。


 何度も現出と拉致を繰り返した魔物はやはり凶悪な能力になるらしく、直近のメキシコとの国境で起こった戦闘では、アメリカのエース魔法少女部隊と他3部隊が出動して3日間の持久戦の上での勝利となっています。

 魔物は魔法少女を殺そうとはしないので死者は出ていないようですが、その戦闘で3人の魔法少女が再起不能となったようです。


 ……いや、まあ、アメリカさんの場合、身体欠損で再起不能となった魔法少女達を機械の武装で補って運用されてる部隊があるとか噂されてますけど。

 出現後に海を渡って移動してきた魔物とかは現状流石に居ないようなので、日本に居れば強化型の魔物との戦闘機会はそんなに発生しないと考えて良いのではないでしょうか?


 なお、対魔物用の戦力として魔法少女を派遣してほしいとの近隣国の要求は魔生対が完全にシャットアウトしているようです。

 まあ、極めて危険な任務に従事する未成年を単身もっと危険な海外へ派遣とか、犠牲になれと言ってるようなものですからね……。

 魔生対、信用して良い気がしてきましたが、ゾンビ化まで打ち明けるのは流石に怖いんですよね。

 なんとか、検査とか無しで正規登録する手段とかないものでしょうか?




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