第14話 パッチワーク素肌と湯けむり美少女2人
ということで、お風呂に連れてこられました。
一人で入らせて貰うつもりだったのですが、理珠さんのたっての希望により一緒に入ることになりました。
いや、女同士ですし別に何が困るってこともないんですけどね?
「なんか、豪邸ですし温泉の大浴場みたいなのを想像してたんですが、広いは広いですけど普通のお風呂ですね……」
私の何気ない呟きに理珠さんがくすくすと上品に笑います。
「毎日その様なお風呂が用意されたら落ち着かないではありませんか。ほら、服を脱いでくださいませ」
脱ぐと言っても、私の場合これも魔法で作った衣装ですので、簡易変身のモードを変更するだけです。
「
そう言って魔力で出来ていた服を消し去ります。
全裸になって振り返ると、同じく服を脱いだばかりの理珠さんの後ろ姿。
……くっそぅ若くて肌綺麗ですねぇ。いや、このハリ・ツヤは何かしらプロの技を感じます。多分、専属のスタイリストさんとか居るんじゃないでしょうか?
あと、ツインテを解いてストレートロングヘアになった理珠さんはこれはこれで清楚で可愛いですね。
「あれ?セヴンス様のお洋服は……?ああ、あの服も変身状態の一種なので消せるのですね」
そういって振り返った理珠さんは私の全裸を見て動きを止めました。
……あれ?なにかおかしなところが……ありましたね。
この、明らかに生前より減った胸とか!
まあ、冗談は置いといて……。
理珠さんの視線につられて自分の肌に視線を落とすと、微妙に質感の違うパッチワークのような肌の裸体が目に入ります。
いや、そうなんですよ。私の身体って新鮮な冷凍死体から使える部分をツギハギして作ってあるので、中身や顔はともかく(イツァナグイ曰く、特に顔は頑張って形成した自信作だそうです)服で隠せる範囲の、身体の至る所がこういった縫い目のないブラックジャック先生の顔状態なんです。
見える範囲は何とか取り繕ったそうなんですが、普段見えない範囲はまあいいじゃろって適当に処理された感じが否めません。
一応、新陳代謝が戻れば皮膚の質が均一になって普通の肌のようになっていくみたいな説明は受けたんですが、未だゾンビのこの身体だと近くで見られればそりゃ気が付かれますよねぇ。
「その、身体の状態を、質問してもよろしいでしょうか?」
デリケートな話題だと思ったのか、恐る恐る理珠さんが質問してきますが、隠してることに直結する内容なので答えられないんですよね。
「あー、答えられないと思うので聞かないでいただけると……。気軽に見せられる肌じゃなかったですね。心配させてしまって申し訳ないです」
なんか、居心地の悪い空気になっているので、話題を変えるためにさっさとお風呂に入ってしまいましょう。
未だフリーズしている理珠さんをあえて無視して、私はお風呂への扉を開きました。
ひーのーきーぶーろー!
いや、独特の匂いで気がついてはいたんですが、やはり実物を目にするとテンション上がりますね。
しかも湯船めっちゃ広いです。3~4人ぐらいは余裕で足伸ばして入れるぐらいには広いです。
いやぁ、久々のお風呂でコレは流石に嬉しいです。
「理珠さーん、お風呂入らないんですか?」
真剣な顔で考え込んでた理珠さんは私の声を聞いて再起動したのか、ややぎこちないですが笑顔でこちらへやってきました。
「申し訳ございません、想像してなかったものを目にして思考が止まっておりました。事情はお聞きしませんが一つだけ……」
ゑ?理珠さんなんで私を抱きしめてらっしゃるのですか!?
お風呂入る前なのに肌しっとりしてるー。あ、でも余計な肉が全然付いてないですね。胸にも。まあ、胸がないのは私もですが。
抱きしめながら、私の肌のツギハギ境界線を優しくなぞりあげる理珠さん。
「これは、痛くは無いのですよね?痛みを堪えて生活していたり、戦っていたりするのではございませんね?」
真剣な顔で問いかけられます。まあ、痛くは無いんですよね。体内の臓器も魔力で動かしてるのにそっちも痛くないです。
でも、多分コレ痛覚無視する魔法が発動してるものだと思うんですよね。心臓を常時外部から動かしてその他の臓器も無理矢理魔力でなんとかしてる状態だと思うので、各所で無理が出て普通なら痛みでのたうち回ってるレベルなんじゃないでしょうか?
なのでまあ、嘘は付かない範囲で……。
「はい、痛いことはなんにも無いです。何の不調もなく元気かと言われると、ちょっと答えられないですが……」
私の答えに、理珠さんの抱きしめる力がぎゅっと強くなりました。
いや、これあかんですよ。理珠さんの美麗な顔面が目の前にあって肌が密着してって、これダメな方向に覚醒めちゃいますって!お風呂入る前にのぼせちゃいますって!
「理珠さん、お風呂はいりましょ?ね?ほら、抱きしめられると変な気分になるというかアッー!」
その後、理珠さんにめっちゃ甲斐甲斐しく色々気を使われながらお風呂に入りました。自分で出来ると言っているのに髪を洗われたり背中を流されたり……。
とても、とても気持ちよかったのですが、何か覚醒めてはいけないものに触ってしまった感じがします……。
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