ゾンビになったのに記憶があるので世界征服してみることにした

@ozugetuan

第1話 ゾンビになった日

 「ここももうだめだ、バリケードが壊させれるぞ!早く逃げろ」

 あちこちから悲鳴が聞こえる中、俺は二日酔いで走る元気もなく地べたにくたばっていた。ここに避難してきた人はすでに走り始め、俺からどんどん離れていく。

 やばい、早く逃げないと、、

 意識はしっかりしてるのに頭痛と吐き気があるせいで歩くのが精一杯だった。

「なんで、こんな時に限って、、、」

 まさか潰れるまで飲んだ次の日の朝にこんなことが起こってるなんて想像できるだろうか。少なくとも俺はできなかった。金曜の夜くらい誰だって気抜くだろ。俺の親父なんか年中気を抜いて生きてるくらいだから、俺だって華金くらい記憶飛ばすまで飲んでもいいじゃないか。

 と考えはするもののこの状況が変わるわけでもなく、歩いて逃げながらとはいえ、もっと他に考えることはあったのではないだろうか。

「おぉああぶぅあぁぁ」

 やばいやばい、バリケード壊されてあと30mくらいのところまで迫ってきてる。

 さすがに、ゾンビが発生したと世間が認知し始めた当日ということもあってみんなお互いがお互いを助け合う余裕もなく、一目散に逃げている。おそらく顔が青白くなってるだろう俺には目もくれずに…

 いろいろと考えてしまってる間に振り向くとすぐそばにまでゾンビの顔が近付いていた。

 あぁ、死ぬのか。それもゾンビになって…

 俺まだ23歳なんだけどな。涎垂らしてそれをおかしいとも思わず、生きてるものを見かけると一目散に追いかけまわすストーカー、ゾンビに俺もなるのか。人間死ぬ直前は時間が止まったように感じると聞いたことがあったが、今がまさにそれだろう。ゾンビの舌が見えてからもまだこんなことを考えている。あぁ、こいつ歯が黄色いな、絶対ヤニカスだ。こいつに噛まれるのはイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ。

「ガブッ、ゴリゴリ、グショッ」

 どうやら噛まれてしまったみたいだ。

 一瞬痛みが走り意識が途絶えた。

「うっゔぁぁ」

どうなったんだ。

周りには噛まれて、言葉になってない声を発しながら立ち上がりうろうろしているゾンビしかいなかった。

「俺も逃げないとな、、、」

しかし、立ちあがろうとする時に違和感を覚えた。

あれ、頭痛くない。二日酔いもない。

俺そういえば首噛まれたよな。

首元を手で触れるが、噛まれたあとの感触はない。

感謝はないのだが、腕を上げて首元を確認しようとした時見えてしまった。

腕が青く、血管がいつもより浮き出している。

この時点でほぼほぼわかってはいたが、確かめずにはいられず、あたりに散らばっていたガラス片を覗き込んでみる。

「あぁ、俺ゾンビになったんだ。」




















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