第2話俺の初体験
夏休みが終わり、俺は楓の姿で学校へと向かった。
あのあと地獄のような特訓が待っていた。
まずは勉強だ。1日に12時間ぐらいぶっ続けで楓の教えの元、勉強をしていた。
さらに話し方で俺とバレないように話し方も特訓した。
しかし、やっぱり楓と2人でいろいろなことをすると言うのは辛いより嬉しいが勝つものだ。
そして、そんな日々を終え、俺は学校の中へと恐る恐る入っていった。
お嬢様のような女子ばっかり。
それが俺が最初に抱いた感想だった。
お嬢様のような人ばっかり。
それが俺が最初に抱いた感想だった。
トップレベルの女子高ということもあり、社長令嬢のような人がたくさん通っているらしいのだ。
その行動や制服からも気品というかそんなものが伝わってくるような気がする。
俺は楓に教えてもらった教室の前までついたところで足を止めた。
そういえば、俺は楓の交友関係を知らない。
ど、どうすればいいだろう。
全員に話しかけるべきか。いや、俺にそんなコミュ力はない。
話しかけられた時だけ答えるだけでいいだろうか。
俺は息を整え、教室の扉を開けた。
このクラスは30人クラスらしいのだが、俺より先に来ていた20人弱の人の視線が一瞬集まり、各々の方向へと戻っていった。
その中で扉の近くにいた5人くらいが俺の方を見て、話していた。
これは挨拶したほうがいいのだろうか、俺は少し悩んで
「おはようございます」
と言った瞬間、周りにいた人たちからの視線がまた一種で集まった。
周りからは「あの楓さんが喋った」とか「今更媚び売ろうと思ったんじゃないの?」そんな声が聞こえた。
俺はどうしていいかわからず、とりあえず楓に教えてもらった椅子に座った。
どういうことだ?
いつも元気な楓は学校で一言も喋らないということか?
俺は疑問に思いながらも、それから俺は出来るだけ、人と話さないようにして過ごした。
コミュ力のない俺からしたらかなり助かるのだが…
そうして、昼休みになった。
授業は楓がしてくれた予習のおかげでなんとか乗り切ることができた。
途中、何度か当てられたりしたが、なんなく答えることができた。
やっぱり、楓はすごいなぁ。
俺は昼休みになり、自分で作った弁当を鞄から取り出し、机に置いた。
その瞬間、周りからが少しざわついたような気がしたが、俺は気に留めなかった。
それにしても、友達たくさんいるものだと思っていたのだが、誰も話しかけてくれなかった。
俺的には嬉しいのだが、楓に話しかけてくれる友達がいないのは少し心配である。
そういえば、夏休み中も誰とも遊んでいなかったな。
多分、優秀でかわいい人気者には声がかけにくいんだろう。
俺は兄でよかったなぁ。
そんなことを考えながら、俺は弁当を食べ終わった。
弁当をカバンの中に片付け、ふと周りを見ると、クラスメイトの視線が集まっていた。
楓は人気者だから、これくらい耐えれるのかもしれないが、小心者の俺には無理なので、席を立ち、部屋から出ることにした。
俺はしばらく学校をぶらぶらと歩いていたが、ところどころで俺の方を見て、話している女子たちがいたため、俺は屋上に逃げることにした。
楓いわく、この学校の女子たちは日焼けとかを気にしてあまり屋上に来ないらしい。
だから、なんかあったり逃げたいときは屋上に行くように言われていたのだ。
そして、俺は屋上につき、ドアノブを捻って外に出た。
その瞬間、
「ひっっ!」
そんな叫び声が聞こえた。
そっちを見ると女の子がいた。
「な、なんでこんなところに」
その女の子は髪はロングで前髪は目に若干かかっている。
メガネをかけて暗そうな表情をしている猫背気味なその子は1人で弁当を食べているようだった。
「こ、こんにちは?」
「ひっー!喋った」
その子は俺が喋るなり、後ずさりしだし、膝に乗せていた弁当をぶちまけてしまった。
「大丈夫ですか?」
「い、いえ私のことなんか、気にしないでください。あ、あの、そ、それで私になんか、い、言いに来たんですか」
「違うよ。ただ、なんとなく屋上に来ただけだよ。」
「そ、そうですよね。私なんかに用事なんてありませんよね。自意識過剰でした。すみません」
「そ、そんな謝らなくて大丈夫だよ」
「すっすみませんでしたーーー!!!」
そう言って屋上から急いでいなくなってしまった。
残された俺は呆然としたまま、立ち尽くした。
それからも授業が続いて、1日が終わった。
なんとか俺が楓と入れ替わってるということがバレることはなかった。
大変なことといえば、授業で当てられた時とトイレに行く時くらいだろうか。
トイレは背徳感がエグかった。
出来るだけ行かないでいいように、学校行く前にしっかりやっておこう。
そうして、かえりのHRが終わり、帰る準備をしていた時だった。
「ねぇねぇ、ちょっといい?」
「いいですよ」
突然、クラスメイトの3人、この学校でもお嬢様のような人とその取り巻きみたいな人に声をかけられて、驚きのあまりに敬語になってしまった。
「え?」
やっぱり、敬語だったことがおかしかったのか、その女子たちは驚いた顔をしていた。
「それでどうかしたの?」
俺はこのままでは疑われると思ってしまい、そう問いかけた。
「あぁ、わかんない問題があってね。教えて欲しいの」
「いいよ。どの問題?」
流石、楓だな。クラスの人からわからない問題を聞かれたりするなんて。
そう感心したがら、問題に目をやった。
「これわかるかしら?」
そうやって指さされた問題は今日の宿題の一番難しいところだった。
そして、ここはちょうど楓が予習で教えてくれていたところだった。
危ねぇ。楓が教えてくれなければ、恥をかくところだった。
楓はやっぱり天才だな。
「ここはこうなるんだよ」
そうやって違う紙に書きながら説明すると、
難しいのか悩んでいるような顔でずっと説明を聞いていた。
まぁ、ここは俺も理解するまで時間がかかったから、ここですぐに理解するのは難しいだろう。
「だから、こうなってこれでおしまい」
そういう感じで全部説明が終わった。
「理解できた?」
「できたわ」
そういうと、3人は嬉しそうに俺が書いた説明の紙を持って「また頼むから」そう言って帰ってしまった。
お礼ぐらい言って欲しかったな。
そして、説明が終わった俺は帰ろうとして、そういえばさっき質問しに来た人の名前を知らないなと思い、確認することにした。
するとそこには、神楽 茜と書かれていた。
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