先輩日和 番外編3
先輩日和 番外編 千尋とたつや
とある日の仕事終わり。次の日は休みということもあってとある6人が居酒屋にいた
あど「んぐ、、んぐ、、、ぷはぁ!」
花乃音「うまぁ!」
アテナ「これが仕事終わりの1杯ってやつデスね!」
蒼司「こういうのも、悪くないですね〜」
千尋「だろ〜?たまには、みんなで飲むのも悪くないよ!」
たつや「そうだなぁ〜。モグモグ」
いつもの6人。居酒屋で話をしていた
あど「花乃音さんって就活の時どうしてたんですか?」
花乃音「私は、、んー、、千尋と面接練習かなぁ?」
千尋「そういえばしてたなぁ!懐かしいや」
花乃音「千尋ったら毎回真面目にやらないの!」
千尋「いいじゃないの!入れたんだしさ?」
花乃音「それとこれとは違う!!」
あど「まぁまぁ、、」
たつや「就活、、かぁ」
あど「ん?どうかしたか?」
たつや「あぁいや、、なんで俺この会社選んだんだろうって思って、、」
あど「は、はぁ?お前がここに行きたいからって、何回も言ったからだろ?」
アテナ「記憶喪失ってやつデスか?」
蒼司「頭でも打ったか?たつや」
たつや「いやいやそんなんじゃないよ」
花乃音「そういえば2人ってこの東京から少し離れてるとこから来てたよね」
あど「はい。俺はそんな遠くに行く必要ないって思ったんですけどね、、たつやがどうしてもって」
たつや「んー、、なんでだっけなぁ」
千尋「、、、、その理由わかる気がする」
花乃音「え?!」
たつや「な、なんでお前が」
千尋「ま、これの理由を話すと、昔昔に遡るんだけどね」
アテナ「昔昔、、、気になります!」
千尋「お!お客さん1人目ー」
あど「気になりますね、、僕も!」
花乃音「私も!」
蒼司「じゃあ僕も」
たつや「聞かせてくれ!」
千尋「まあまあ落ち着いてよ、、ほんじゃ!話すよ」
千尋「時は遡って、私とたつやが小学生の時、、、」
時は小学生の時代に遡る
千尋は6年生でたつやは4年生。2人は昔から遊ぶ仲であった
2人がいつもの公園で遊んでいた
たつや「まてまてー!!」
千尋「おそいぞー!」
鬼ごっこをしたり、時にはかくれんぼ
千尋「たつやは足遅いな!」
たつや「うるさい!お前6年生なんだからずるいぞ!!」
千尋「言い訳しちゃってー」
たつや「なんだと!」
千尋「へへへ〜」
時は進み、卒業に近づいていた
2月下旬。2人は雪合戦で遊んだあと、公園のベンチに座っていた
たつや「ゆきっていいな!たのしい!」
千尋「だね、、、」
たつや「、、、どうしたんだよ。お前今日元気ないぞ?」
たつや「風邪でも引いたのか?」
千尋「ち、違うよ!、、、な、なんでもないから!気にすんな!」
たつや「そ、そうか?」
千尋「うん、、、ほら!もっかい遊ぼ!」
たつや「おう!今度は負けないぞ!」
また時は進み、3月上旬
2人は学校帰り、いつもの公園のベンチに座っていた
千尋「ねぇたつや」
たつや「ん?」
千尋「もし、、もしもだよ?私がさ、、、」
千尋「東京に引っ越すって言ったら、、どうする?」
たつや「、、、え?どうした急に」
千尋「い、いやなんとなく、、で?どう思う?」
たつや「んー、、東京に遊びに行くかな!」
千尋「ば、バカ!こっから東京まで遠いんだよ?」
たつや「そ、そうか?なら、、」
たつや「ん?それって、、遊べないってこと?」
千尋「そ、そういうこと、、かな」
たつや「遊べなくなるのか、、」
たつや「嫌だなそれは」
たつや「俺、お前と遊ぶのが楽しいから、、1人になっちまうよ」
千尋「あ、あんたなら友達沢山できるでしょ?」
たつや「そうなのかな、、でも俺、千尋が1番だな!」
千尋「、、、ばか、、急に何言ってんのよ、、」
千尋が頬を赤くしてたつやから目をそらす
たつや「どうした?顔赤くして」
千尋「う、うっさい!も、もう帰ろ!」
たつや「おう!!」
それからあっという間に日がすぎて、卒業直前の日
千尋は父と母と話していた
千尋「ど、どうしても行かないと行けないの?!」
母「千尋。これはきまったことなの。可哀想だけど、、」
父「すまない、、千尋。俺だってここを離れたくないさ。でもそれが大人の世界なんだ」
千尋「、、、、どうして、、」
千尋「なら私一人ここに残る!!!」
母「千尋!!いい加減にしなさい!」
母「あなた一人で生きていけるわけないでしょう?!」
千尋「で、でも、、、」
千尋の目に涙が浮かぶ
父「か、母さん。それぐらいにしてやってくれ」
母「でもあなた、、」
千尋「、、、もう、、知らない!!!!」
千尋はリビングから出ていき部屋に戻った
父「、、、、、」
千尋はベッドの上に座って枕を抱いていた
千尋「なんで、、なんでよ、、」
千尋「たつや、、、」
千尋の脳裏にはたつやとの思い出が浮かんでいた
千尋「、、、っ!」
千尋は枕に顔を沈め、静かに泣いていた
千尋(離れたくないよ、、、)
それから時間が経って、午後3時
千尋「、、、手紙書こう、、」
千尋はやっと落ち着き、机に向かって座る
白紙の手紙用紙に、たつやへ手紙を書き始めた
千尋(明日、、卒業式、、今日渡そう、、)
30分ぐらいかけて、手紙に全てを書いた千尋。その手紙を封筒に入れて、家を出た
千尋はたつやの家に向かう
インターホンを押すとたつやが出てくる
たつや「おう千尋!どうした?」
千尋「いやその、、、」
千尋は手紙を持っている手を後ろに隠していた
千尋「えっと、、、」
千尋「あ、遊ばない?」
たつや「、、、」
たつや「あぁ!いいぞ!」
2人はいつもの公園に行く
たつや「なにする?」
千尋「えっと、、お、鬼ごっこ?」
たつや「分かった!じゃあジャンケンだ!」
千尋「、、、うん!」
千尋は手紙を小さなカバンに入れてたつやと遊んだ
夕方、まだ寒いということもあり、5時でもう真っ暗だった
たつや「いやー!いっぱい遊んだ!」
千尋「だね!」
たつや「明日卒業式終わったらさ」
たつや「また遊ぼうぜ!」
千尋「、、、、、あ」
千尋「え、、、っと、、うん」
たつや「どうした?用事でもあるのか?」
千尋「いや、、その、、」
千尋は涙が出るのを堪えていた
千尋は急いでカバンから手紙を取りだした
千尋「こ、これ!明日の卒業式が終わって、、その後に読んで!」
たつや「え?今読んだらダメなのか?」
千尋「だ、ダメ!絶対に!私の卒業式が終わって、、その後!」
たつや「、、、分かった!じゃあまた明日な!この手紙読んだら」
たつや「お前ん家行くからさ!」
千尋はその言葉に涙が溢れそうになった
千尋「そ、そう、、、じゃあ、、またあしたね!」
たつや「おう!じゃあな!」
千尋「うん、、、バイバイ、、!」
たつやが公園から出ていく
千尋「、、、、うぅ、、」
千尋は我慢していた涙を全て吐き出す
千尋「うぐっ、、えぐっ、、やっぱ、、やだよぉ、、」
何分も、何十分も泣いていた
父と母が千尋を心配して、千尋をむかえにきた
母「千尋!どうしてこんな時間まで、、、って」
父は無言で母の肩を持つ
母「あっ、、、」
2人の目の前にはベンチに座って泣いている千尋が居た
父と母が千尋に声をかける
父「、、、千尋。もう帰ろう」
千尋「、、、」
千尋「帰りたくない、、、ここでまた」
千尋「ここでまたたつやと遊ぶ!!!」
涙で濡れた顔で千尋が叫んだ
母「きっとまた会えるわ、、まだ若いんだから」
千尋「でも、、でも、、、」
父「、、、帰ろう?たつやくんに、手紙は渡したんだろう?」
千尋「え、、どうしてそれを、、?」
母「千尋が手紙を一生懸命書いてるの見たわ、、それぐらいここを離れたくないってのは伝わった」
母「けど、、それは出来ないの、、、」
千尋「、、、、、」
父「本当に、、すまない」
千尋「、、、うぐっ、、うぅ、、」
千尋はまた涙が込み上げてきた
千尋は母に抱きついて泣く
絶対に避けられない現実を目の当たりにし、千尋は泣くことしか出来なかった
そして、次の日。卒業式
千尋(これが終わったら、、、私は、、)
そう考えいるうちに卒業式はあっという間に終わる
千尋は今まで遊んだみんなに別れを言い、ひとり学校を出た
学校の外には父と母が待っていた
千尋「っ、、、」
父「、、最後に、千尋の行きたいところに連れてってやる」
千尋「なら、、、」
千尋が選んだ場所は
いつもの公園だった
父と母は少し離れた所に車を置いて千尋の気が済むまで待っていた
千尋「、、、、」
その頃たつやは
たつや(そういや卒業式終わったな、、見るか!)
たつやは千尋から貰った手紙を取りだして読み始めた
たつや「なになに、、たつやへ、、」
手紙「たつやへ。急だけど、今まで本当にありがとう。たつやとはちっちゃい頃から遊んだよね。ほんと楽しかった。それで、また急なんだけど私。引っ越すことになりました。場所は、東京。ここから遠いところです。私も何回もお父さんやお母さんに反対しました。けど、やっぱりダメみたい。だから悔いの残らないよう、たつやにこの手紙を渡しました。実際に会って言うのは恥ずかしいから、手紙にしました。何回も言うけど、ほんとにたつやと遊んだ日々は楽しかった。また、また遊びたい。また遊べる時が来たら、その時はたくさん鬼ごっこしよう!それじゃあ、今までありがとう、たつや。千尋より」
千尋の書いた手紙には、涙の跡らしき丸い水のシミがあった
たつや「千尋、、、」
たつやは白紙を持つと、それを割いた
その紙に、とある言葉を入れた
その紙を持ってたつやは
いつもの公園に走った
千尋(もう、、いっかな、、)
千尋が公園を出ようと公園の出口を見た時
千尋「、、、どうして、、?」
たつやがそこにいた
たつや「ぜぇ、、はぁ、、ち、千尋!!!」
たつやは千尋の目の間に行く
千尋「な、なんで、、、来ちゃうのよ、、、」
たつや「そんなん、、そんなの!」
たつや「あんなの貰ったら!行くに決まってるだろ!!」
たつやが千尋の目を見て言う
千尋「たつや、、、」
たつや「お前、、ほんとに東京行っちゃうのか?」
千尋「、、、うん」
たつや「、、、なら、これ!」
たつやがひとつの紙切れを千尋に渡した
千尋「これ、、は?」
たつや「俺とお前の、友達の証だ!」
その紙切れには、こう書かれていた
『いつまでも、どこへ行っても、ともだちのあかし』
千尋はそれを読んだ途端、涙が溢れ出る
千尋「、、なんで、、なんでこんなの、、渡すのよ、、」
たつや「そりゃ、、お前とは友達だから!」
千尋「ばか、、こんなの貰ったら、、」
千尋「余計、、離れたく無くなるじゃない、、、」
千尋「うぅ、、、うわぁぁぁん!!」
たつや「だ、大丈夫か?」
千尋「大丈夫なわけ、、ううう、、ないじゃん!!」
千尋「もう、、ばか!!」
たつや「、、、、」
たつや「なんて言ったっていいさ。俺は」
たつや「俺はあんな手紙だけで、お前と別れたくない!」
千尋「、、、え?」
たつや「俺とお前は、友達!親友だ!こうやって、面と向かって!」
たつや「別れを言うもんだろ?」
千尋「、、、、」
千尋「ふふっ」
千尋が笑った
千尋「ほんと、、変なとこ真面目だよね、、たつやって」
千尋の顔に笑顔が現れた
たつや「お、やっと笑った。やっぱお前は、笑ってないとな!」
千尋「それも、、そうね!」
その時、父が千尋を呼ぶ
父「千尋ー!」
千尋「あ、、、もう、行かないと」
たつや「、、、そっか。」
千尋「、、、また、」
千尋「また会えるよね!」
たつや「もちろんだ!俺がお前の所に行ってやる!」
たつや「おっきくなったら、お前に会いにいく!そんときはまた」
たつや「鬼ごっこしようぜ!」
千尋「、、、うん!」
千尋は公園を出ていく
たつや「、、、」
たつや「またなーーー!!!!!」
千尋「、、、」
千尋が振り返って叫ぶ
千尋「元気でーーー!!」
たつやが大きく手を振っていた
千尋も手を振る
千尋はたつやに背を向けて、歩き出した
たつや「、、、またきっと、、会えるよな」
千尋は車に乗って、この街を、後にした
それから年月は経ち
たつやは高校三年生になっていた
たつや「なぁ、、あど」
たつやの隣にはあどが居た
あど「ん?」
たつや「おれさ、、東京に就職しようと思うんだ!」
あど「、、、え?急にどうした?」
たつや「おれ、、、小学生の頃約束したんだよ。ある人と」
あど「どんな?」
たつや「その、、大人になったら、必ず会いに行くって」
あど「そのために東京に?」
たつや「あぁ!東京に引っ越して就職すれば、会えるかもしれない!」
あど「そっか、、、」
たつや「俺一人じゃ心細いし、、お前も来てくれ!」
あど「え、ええ、、、」
たつや「頼む!親友のたった一つのお願いだ!!」
あど「、、、、、はぁ」
あど「分かったよ。お前が本気なのは分かった」
あど「俺も一緒に行ってやる」
たつや「ほんとか?!よっしゃぁ!!」
それから2人は、東京に引っ越してとある会社に就職した
たつやはひとり大きな公園のベンチに座っていた
たつや「、、、就職できたのはいいものの、、会える気が全くしないな、、」
たつやが空を眺めていると
隣に誰か座ってきた
??「君、あの会社の子だよね?」
たつや「え?」
たつやが隣の人を見る。その人は女性だった
たつや「あ、、はい。最近就職したばっかで」
??「そっか。でもうち、結構いいところだからさ、すぐ慣れるよ!」
??「君、名前は?」
たつや「俺は」
たつや「たつやです」
??「、、、たつや、、」
たつや「どうかしました?」
??「あ、あぁ!いや、なんでもない。昔遊んでた人と名前同じでさ」
たつや「そう、、なんですか」
たつや(そういやこの人、、なんか千尋に似てるような、、)
たつや「すみません、お名前聞いてもいいですか?」
??「ん?あぁ、自己紹介遅れたね。私は」
千尋「千尋よ」
たつや「千尋、、」
たつや「、、、、千尋?」
千尋「?どうかした?」
たつや「その、、千尋、、さんって、昔引っ越しとか、、しました?」
千尋「え、、なんでそれを」
たつや「それに、紙切れ!持ってます?!」
千尋「なんでそれ知って、、、」
千尋「まさか、、、」
たつや「やっぱり、、」
たつや「千尋!!!」
千尋「たつや!!!」
そして、今に至る
千尋「ってな訳!」
それを聞いていたたつやと千尋以外は
あど「、、、あれ、涙が、、」
花乃音「うぐっ、、えぐっ、、そんな、、そんな奇跡が、、」
アテナ「ううううぅぅ、、なんていい話デスか、、、ロマンティックすぎます、、」
蒼司「運命って、、あるのかもな、、」
たつや「そうだ、、そうだ!だから俺は、、ここに!」
千尋「そういうこと〜」
千尋「んぐっ、、んぐっ、、ぷはぁ!」
千尋「いやー懐かしいね〜」
たつや「ははっ、、なんか恥ずかしいな」
千尋「何あんたが恥ずかしがってんのよ!」
たつや「い、いいだろ、、別に」
花乃音「ぞんないいばなじあるんだね、、」
千尋「あ、あんた泣きすぎ、、」
千尋「まぁ!こうして私たちは再開したって話!」
たつや「うん、、やっぱあの頃は楽しかったな」
千尋「お!なら鬼ごっこでもするか?」
たつや「し、しねえよ!酔ってんじゃないのか?お前」
千尋「酔ってないですー!」
2人はこれからも、お互い離れることなくこんな楽しい日常を送っていくことだろう
次回に続く
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