先輩日和 10話 後編



アテナ「蒼司さん!雪デスよ!」


蒼司「本当だ、、」


アテナ「私久しぶりデス!雪!!」


蒼司「これは積もるかもしれませんね」


アテナ「ほんとデスか?!積もったら絶対雪合戦してみたいデス!!」


蒼司「ゆ、雪合戦、、?そんな子供みたいな、、」


アテナ「いいんデスよ!細かいことは!」


アテナ「いくら歳を取ろうが、その時を楽しんだ方が絶対に楽しいでしょ?」


蒼司「ま、まぁ、、その通りです、、」


アテナ「だ、か、ら!」


アテナが蒼司の手を取る


蒼司「ぬっ?!」


アテナ「雪合戦!やりましょ!!」


蒼司「は、、はひ、、」


アテナ「んん?やっぱり蒼司さん顔赤いデスよ?熱でもあるんデスか?」


蒼司「ちっ、ちちっ違います!!」


蒼司「そ、それよりも、その、、こ、この手、、」


アテナ「はい?手がどうしたんデスか?」


蒼司「あ〜えと、、その〜、、」


蒼司(ここで変に離してくださいーなんていったらだめだよなぁ、、)


アテナ「?」


蒼司「そ、その、、アテナさんの手、、暖かいな〜って、、思って」


アテナ「そうデスか?」


アテナ「それなら!私全体であっためてあげるデス!」


蒼司「へ?」


アテナが手を離して


アテナ「それ!」


蒼司に抱きついた


蒼司「ぬほっ?!?!」


アテナ「どうデスか?暖かいデスか?」


蒼司「は、はわっ、、」


蒼司(アテナさんの髪の毛、、すごいいい匂い、、、それに柔らかい、、)


蒼司(俺の胸ら辺に、、なにか柔らかいものが、、!)


アテナ「〜♪」


蒼司「あ、アテナさんもう充分温まりました、、、」


アテナ「、、そうデスか?」


アテナ「、、、、私はもうちょっとこうしていたいデス、、、」


と、アテナが本当に小さな声で言った


蒼司「ん?な、何か言いました?」


アテナ「な、なんでもないデスよ!」


そう言うとアテナが蒼司から離れた


アテナ「涼むつもりが、逆に暑くなっちゃいましたね!」


蒼司「ほ、ほんとですよ、、」


その時店の扉が開く


リアム「2人とも、今日はありがとうデース。みんなでケーキ食べるデース」


アテナ「ほんと?!蒼司さん!一緒に食べましょうよ!!」


蒼司「よ、、喜んで!」


そして3人は店内に戻った


その時千尋とたつやは、コタツに入って晩酌をしていた


千尋「あんたって意外と料理下手なのね」


たつや「し、仕方ないだろ?やったことないんだから」


たつや「それに俺はお前みたいに器用じゃないからなぁ、、」


千尋「まっ、多才な私には敵わないよね〜」


たつや「はいはいそうだな、、」


千尋「なによその反応〜」


千尋「んぐっ、、、ぷはぁ、、」


千尋「あ〜あ、、もうクリスマスかぁ、、」


たつや「そしてもうすぐお正月だな、、」


千尋「1年って早いわね、、」


千尋「ちっちゃい頃は毎日が楽しくってさぁ、、」


たつや「お前なんて男よりも強かったよな、、」


千尋「なによ〜私はちゃんと女性よ?」


たつや「昔の話だよ」


千尋「もう小学校の頃なんてほとんど覚えてないわよ」


たつや「そうか?なら、お前にやったアレ、覚えてるか?」


千尋「私にやった、、アレ?」


千尋「なによそれ」


たつや「ほら、、ひとつの紙切れ」


千尋「え〜、、なにそれ、、」


千尋は少し飲みすぎたのかウトウトしながら話していた


千尋「紙切れなんて知らないわよ?」


たつや「、、、そうか」


たつや「ま、まぁ、紙切れだしな」


たつやが話すことも無くベランダの外を見た


たつや「あ、雪降ってるよ」


千尋「ふぇ、、雪?」


千尋も振り返って窓を見る


千尋「おわー!すごいじゃん、、!」


千尋が姿勢を崩して床に倒れる


千尋「んむ、、ふわぁ〜あ、、」


千尋「雪、、あんたと雪合戦したのは覚えてるわね、、」


たつや「そこは覚えてるんだ、、」


千尋「なんかその後何かあった気がするんだよね〜、、、」


たつや「お?覚えてるか?」


千尋「ん、、、紙切れ、、貰っ、、て、、」


千尋がそう言いかけた時


千尋「、、すぅ、、すぅ、、」


たつや「あちゃー、、惜しい所まで行ったんだけどなぁ、、」


たつや(、、、紙切れ、さすがに捨てたよな、小学生じゃあるまいし、、)


たつやが何となく千尋の隣に行く


千尋「むにゃ、、、すぅ、、」


たつや(、、、、こいつこんな寝顔なんだな、、)


千尋は柔らかい顔つきで眠っていた


そしてたつやは何を思ったのか千尋の頭を撫でた


たつや(、、、ふわっとしてるな、、)


たつや「、、、」


たつや(あー急に恥ずかしくなってきた、、やめだやめ!)


千尋から離れようとしたその時、ふと千尋のバッグに目が映る


たつや(あれま、、チャック開いてて無防備な、、)


たつやがチャックを閉めようとした時、ふと中に何かの紙切れを見つけた


たつや「ん、、、」


取り出してみると


たつや「なんだこれ、、ぐっちゃぐちゃ、、」


紙を正していくと、ある文字が書いてあった


たつや「、、、まったく、持ってんじゃないか、、」


たつや(もっと大切にしてくれてもいいだろ、、まぁ、アイツらしくていいか、、)


たつやはその紙をまたぐしゃぐしゃにしてバッグの中に入れた


たつや「さてと、洗い物をしないとな、、」


たつやが重い腰を上げて台所に向かった


千尋「すぅ、、、たつや、、、」


千尋「ともだち、、、すぅ、、」


ちなみに、あのぐしゃぐしゃの紙にはこう書かれていた


〚いつまでも、どこへ行っても、ともだちのあかし〛


そしてその頃、あどと花乃音は出来上がったケーキを食べていた


あど「んん、、!」


花乃音「ふわふわぁ!」


あどと「出来たてとはいえ、、すごい美味いですね!」


花乃音「ふふん!頑張ったからね!」


あど「、、デコレーションだけ?」


花乃音「なっ!ちゃ、ちゃんとほかのもやったもん!!!」


あど「分かってますよ、はははっ」


花乃音「むぅ、何笑ってるのよ!」


あど「いや、クリスマスでも調子変わらないなーって」


花乃音「い、いつもこんな調子じゃないよ!」


あど「どうですかね〜」


花乃音「むぅ、、、」


花乃音があどのさらに乗っているいちごを取って食べる


花乃音「ハム!!」


あど「あーっ!!楽しみにしておいたのにぃ、、、」


花乃音「ふふんっ!わたひをばかにしゅるから、、おいひいなこれ、、」


あど「はぁ、子供っぽいっていうかなんて言うか、、」


花乃音「んん?!」


あど「なんでもないですよー」


花乃音「まったく、、」


コネが2人の近くによってきた


コネ「みゃ〜」


花乃音「お!コネ〜、コネもケーキ食べたいか〜?」


コネ「みゃ?」


あど「あはは、ダメですよ花乃音さん」


花乃音「冗談冗談!」


あど「にしても、誰かと過ごすクリスマスなんて、久しぶりですよ」


花乃音「だよね〜、私もずっと1人だったからさ」


花乃音「でもあどくんはいいよね〜コネがいるんだもん」


コネ「みゃお!」


コネが花乃音の膝の上に座る


あど「まぁ、ずっと1人はしんどいのもありますしね、それに猫とか飼ってみたかったのもありますから」


花乃音「私もコネ欲しいなぁ〜」


花乃音「コネ!私のお家に来るか〜?」


コネ「みぃ?」


あど「ふっふっ、僕のコネは難攻不落、落とせますかね?」


花乃音「それならぁ、、ゴロゴロ攻撃〜!」


コネの顎を撫でる花乃音


コネ「ゴロゴロ、、、んみゃぁ、、」


花乃音「はわぁ〜、、癒されるなぁ、、」


それから数十分たって


あど「ごちそうさまでしたー」


花乃音「美味しかったね!ケーキ!」


あど「お店にも負けないんじゃないんですか?」


花乃音「ふふんっ、私の材料選びの強さ!舐めないでもらいたいね」


あど「なんすか材料選びの強さって、、」


その時コネがベランダに向かって鳴いた


コネ「みゃ!んみゃ!!」


あど「ん?どうした〜コネ」


2人がベランダの外を見ると


花乃音「わぁ!!雪だよ!!」


あど「お〜、、クリスマスに雪なんて、、」


花乃音「ホワイトクリスマスだよ!綺麗だなぁ、、」


ベランダから見える景色はライトアップされた街と雪が映し出されていた


花乃音「そうだ!外行こうよ!」


あど「え?なんでまた」


花乃音「ホワイトクリスマスだよ?勿体ないじゃん!」


いつもと何か違う花乃音に驚きながらもあどは承諾した


あど(お酒ちょっと入ってるせいなのかな、、それか雪のせいか、、)


あど(まぁ、雪は人を童心に帰すって言うし、、雪なんだろうけど、、)


花乃音「コネも一緒に行こうよ!」


コネ「みゃ?」


あど「でも、コネには寒すぎません?」


花乃音「ん〜、、リュックにカイロ入れて暖かくしてあげよう!」


あど「ほう、ナイスアイデアです」


そしてふたりは準備して駅前の広々とした公園に来た


もう夜ということもあり公園に人はほとんど居ない


ベンチに座る2人


コネ「みゃ〜、、、」


コネは暖かそうにリュックから顔を出していた


花乃音「コネ〜雪だぞ〜」


あど「寒いっすね〜、、」


あど「花乃音さんよくこんな中外に出ようと思いましたね」


花乃音「だって、、雪だからね?」


あど「どんだけ雪好きなんですか、、」


花乃音「あははっ、実は私、ちっちゃい頃から雪見るとテンション上がっちゃうんだよね〜」


あど「ちっちゃい時って、、今ですか?」


花乃音「なっっ、、、!」


あど「冗談です冗談」


あどが花乃音の頭に手を置く


花乃音「むぅぅ、、!」


あど「頬ふくらませちゃダメですよ〜」


あどが花乃音の少し膨らんだ頬を押す


花乃音「んにゅ、、、こらぁ!」


あど「はははっ!ほんと、反応変わらないですよね〜」


花乃音「誰のせいで、、!」


あど「ごめんなさいごめんなさい、、」


あどが笑いながら謝る


花乃音「はぁ、、、私一応先輩なのに、、」


あど「まぁ、花乃音さんらしくていいじゃないですか」


あど「逆に今の花乃音さんの方が、僕は好きですよ」


花乃音「、、、へ?」


花乃音「す、、すき、?」


あど「、、、、すぅ」


あど(やばい、、言葉間違えた、、!!)


あど(な、なんだよ好きって!もっと言葉選べよ!!)


あどは清々しい顔でそんなことを思った


花乃音「、、、、」


花乃音があどに身を近づけて座る


あど「、、花乃音さん?」


花乃音「わ、私も、、今のあどくん、、、嫌いじゃ、、ない、、かな、、」


花乃音は明らかに緊張しながら言った


あど「、、、、」


花乃音「、、、」


コネ「みゃぁ、、、」


あど「ぷっ、、」


あど「あははははっ!!」


花乃音「な、なによ!!」


あど「いやいやっ、、やっぱ花乃音さんにはそう言う臭いセリフは似合わないなーって」


花乃音「なっ、、またそんなこと言って!」


花乃音「むぅぅ、、このこの!」


花乃音があどの肩をポコポコと叩く


あど「あははっ、いてて」


花乃音「もう!」


あど「はははっ、いつものポコポコですね」


花乃音「ポコポコじゃない!」


花乃音が叩くのをやめる


花乃音「はぁ、、疲れたぁ」


あど「ほんと、クリスマスでも変わらないですよね、花乃音さんって」


花乃音「そ、そう?」


あど「ええ、いつもこんなことしてる気がしますし」


花乃音「いつもポコポコ叩いてないよ、、」


あど「あ、確かに」


そして花乃音がふと夜空を見て言う


花乃音「、、、来年も、またこうやって他愛もない話できるといいね、、」


あど「急ですね、、まぁ、、」


あど「僕も同じですよ、、それは」


少しの間空を黄昏れる2人


花乃音「、、、寒いね」


あど「寒いっすね、、」


花乃音「か、帰ろっか、、今0℃だって、、」


あど「か、帰りましょう!凍ります!」


2人はベンチをたって家に向かった


コネ「みゃ?」


花乃音「コネは暖かそうだな〜」


あど「ほんと、幸せそうっすよね〜」


雪が少しづつ強くなって行った


花乃音「あ、明日積もるといいね!」


あど「ですね!」


そしてふたりは、あどの家に帰って行った


こうして6人のクリスマスが終わった。来年もこのようなクリスマスを送りたいと思う、6人であった


次回に続く

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