終焉を司りしおっぱい

「……で、なんでまたこのダンジョンに来ちゃったのよ!」


 また来てしまった。呪いのようなものにかけられたあのダンジョン。今の俺にとって、トラウマと言っても差し支えないほどのここに。



「それは———俺の鼻が疼くからだ。この先に何かがある、絶対に何かがあるんだ、俺の求める何かが……っ?!」


 また、踏んでしまった。



 ガチャン、と。

 そう音が鳴った瞬間に、俺は何をしてしまったかを理解した。


「……おい、あまりにもソレは早すぎないか……っ!」


「みんな、霧が出てくる! 絶対に吸っちゃだ……め……?」

「霧が出てこない、今度こそ俺は———」



 再度ガチャンと鳴った時。


 俺の目線は、突如下に落ちた。


「うわああああああああああああっ!!!!!!」




◆◇◆◇◆◇◆◇



「……っちち、あ……あ~っ、痛ぇ……ここどこだ、何があった……?」


 突如意識が付いた俺の頭に飛び込んできたものは、少しばかり広い大部屋だった。


 ダンジョン内の洞窟と同じく、茶色い石造りの壁で覆われている点は変わらなかったが、俺の目の前にあったのは———光だった。


 光は紛れもなく太陽のソレだったが、一体どこからそんな太陽光が差し込んでいるんだ、とも疑問に思った瞬間。



 最初はボヤけて見えなかったが、その光の下にいたのは———女だった。



「あ———、あ、え、え……っ?」


 普段修道女が纏うようなデザインの、白い服を纏った清楚な女。……顔もめっちゃ俺好み———というか、それはもうめっちゃくちゃに美しかった。



 ただ、色々と疑問はある。なんでこんな出口も何もない場所に女がいるのか、とか。


 ……まあ、そんなことを言う前に。俺の目線は既に、その女のに引っ付いていた。




 ……え


「そのめっっっっっちゃくちゃにでっかいおっぱい揉ませてくださいっっっっっっ!!!!!!」



 その瞬間に、女はこちらに気付いてそっと振り向いて、優しく微笑んだ。


「いい、ですよ?」



 ……え。


 え、え、えええええええええ~~~っっっっ?!?!?!?!


「い———い、いい、いいって一体ソレはどう言う……」


「だから……いいですよ?……私の……その、お……おっぱいを、触っても」



 驚き、と言うか、呆ける……と言うか、とにかく変な感じだった。



 まさか本当に承諾してもらえるとは思いもしなかったから。だからこそ、逆に緊張しまくって、自分の魂が体から抜け落ちていくような感覚に至った。



 ……が、この機を逃しはしなかった。

 恐る恐る、一歩ずつ足を踏み出す。


『本当にいいのか』と聞くまでもなく。あまりの罠っぽさに対するコメントもなしに、俺の足は衝動のまま進み続ける。


「お……お…………っ、お……っ!」


 いざ目の前に来て。

 そのたわわに実った実を揉みしだこうとした時。



 後ろから声が響く。




『ソイツに触れちゃダメ! 貴方を取り込む気よっ!』



 ……俺には、ここでその女を突き放すことができなかった。


 ———故に、ここで俺の人生は終わりだ。……だが、最後にもう一度だけ、俺は夢を見てみたかったんだ。







 モキュッ。





 柔らかい感触。天にまで昇る、至高の感触。

 触れてしまった、越えてしまった、揉んでしまった。



 そして、俺の人生は終わってしまった。

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