俺の(くだらない)決意の行く先に。

 俺は。人生最大の過ちを犯してしまったことを理解した。


 何を隠そう、人界軍の主戦力たる近衛騎士の、その団長を前にして。



 ……告白を、してしまったのだから。


「は……はい…………?!?!?!」


「———、この……無礼者ぉっ! 今すぐに台から降りろっ!」



「あ、いやでも、俺は告白を———」


 何言ってんだろ、とは自分でも思った。

 だって、ギルドセンターでも突然おっぱいとお姉さんの髪について語り出して、ここに来ても突然告白してしまったのだから。


 ……でも、お姉さんのおっぱいが魅力的だということと、俺があの人を———レイさんが好き(になってしまった)と言うことは、どちらもだった。



 まさか。もしかして。と、俺に電流走る。



「……まさか、そうなのか……?!

 ……コレが今の俺にかけられた、呪いなのか……?!」


「何言ってるんですか」

「早く降りろ無礼者、ここは貴様の立ち上がっていい場所ではないぞ!」


◆◇◆◇◆◇◆◇



 


 そうして俺は、涙ながら王都を後にした。

 自分のパーティメンバーをも置いて、もう誰もいないところへ逃げようと思ったのだ。



 ……俺があの場にいると、みんなに迷惑をかけてしまう。……ああいや、本当はみんなのパンツを覗きたいだけなんだけど、それでもその『『想い』』が口に出てしまうからだ。


 だから、俺があの場にいることは許されない。……そう胸に秘めながら、俺は旅に出ることを決めた。自分のやるべきことを決めるために。


 ……俺の持ってる、パーティのを使い倒すつもりで。





「……って、何逃げようとしてんの。金は持ってかせないわよ」

「俺を置いてかせはしないですよ兄貴ぃ……!」


 王都の門をくぐり、今まさに旅に出ようとしていた俺を引き留めたのは、紛れもない俺の仲間だった。


「おまえら……っ!」


 涙を流す俺の目には、まるで何かを差し出すように手を差し伸べる2人の姿が。

 ……やっぱり、パーティの絆は本物だった。


 別パーティから来たサナはとりあえずいいとして、ジェールズ、お前だけは俺に着いて来てくれるって……!



「お金、返して?」

「兄貴……俺の稼いだ金もちゃんと返してもらいますよ」




「金の話……かよ、俺のことを心配してきてくれたと思ったのに……」



「とりあえず話はそれから。まず金返して、私も貴方にお金預けてたでしょ?」

「いくら兄貴とは言えど、預けた金は返してもらわないと俺は許しませんよ」





◆◇◆◇◆◇◆◇


 それから、俺は今自分が置かれていた現状を全て話した。


 まず、自分が思ってしまったことが、どの程度かは分からないがかなり口に出てしまうこと。俺の意思に関係なく。


 ……そして、なぜか近衛騎士団長に告白したこと。


 最後に、これから俺はどうすべきかを話し合った。



「どうすべきも何も…………女の子に対して『パンツ見せてください』って声をかけまくるぐらいだったら、いっそのこと一度死んで———」

「死ぬのは嫌だ、他の方法を探そう」


 サナの発言が辛辣すぎる。死ぬのは嫌です。



「……ならいっそ、のがいいんじゃないんですかね?」


「ジェールズ、お前……」


「やめてよ、コイツに欲望のまま生きろだなんて言ったら、何しだすか分かんないのよ?!?!」



 ……決めた。

 今のジェールズの発言で俺は、俺の思うままに生きることを決意した。


 どうせ今までのまま生きても、俺の人生は崩壊するだけだ。……ならば、俺は俺の思うがままに、自分の人生を決めてみせる……!



「……ジェールズ、サナ……俺、決めたよ。




 女の子のおっぱいを揉みに行くっっっっっっっっっっ!!!!!!!!」



「何、言ってんの……?」

「ワッツハッペン」



「そうだ、そうだそうなんだよ! どうせ俺はこのまま生きてても思ったことを言ってしまうだけなんだ、だったら俺自らその思いを実現しに行く!


 つまり女の子のおっぱいを揉む! それでいいだろ、なあ!」



「……分かった、分かったけどさ、もしかしてソレ、私も入ってる?」


 サナは自らの胸に親指を突き立て、自分もそうなのか、と聞いてくる。……だけど、お前だけは違う。


「フッ、お前には、もう一度生きて会うべき『運命の人』がいるだろ。……だからお前は対象外だ」


「カッコよく言ってみせたはいいものの、結局アンタのやろうとしてることの最低さは全く変わってないからね、そこちゃんと覚えといて」

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