終結

 リロカとは戦争にならずにすみそうだった。

 キーケは損害に対する賠償は請求するが、キーケからは攻撃を仕掛けないとのことだった。そして、リロカは今回の戦闘で力の差が分かり、キーケの侵攻から手を引くらしい。

 元々勝算があっての奇襲ではなく、冷却魔法の噂を聞きつけて、冷却魔法を魔道士たちが覚える前に急いで攻撃を仕掛けたということだった。

 熱攻撃も終わり、冷却魔法で王都の気温を保つ必要も無くなった。

 王子の不眠の種は取り除かれ、私の睡眠魔法なしでも眠れるようになっていた。


「お呼びでしょうか、王子様」

「はい。睡眠魔法をかけていただけますか?」

「どうなさったのですか? 睡眠魔法なしでも寝られるようになっていたのに」

「今日は緊張して眠れないのです」

「何に緊張されているんですか?」

「……実は、姫にお願いしたいことがあるのです」

「なんでしょうか」

「私に訓練をしていただけませんか」

「訓練ですか? 戦争は回避されましたが……」

「では訓練でなくても構いません。二人でお話をしませんか?」

「……そうですわね。私たちお互いのことを何も知りませんもの。私もゆっくりとお話ししたいと思っておりましたわ」

「ありがとうございます。では、あなたの夢にお邪魔させていただきます」

「分かりましたわ。おやすみなさい」

「おやすみなさい。では、夢の中で」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

居眠り姫と夢の国 睡田止企 @suida

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ