第229話 あの頃の俺たち。
家に帰った俺はシャワー浴びてご飯をモリモリ食べて試合動画をチェックする。高嶺農業の試合はまさに圧巻。
違うカテゴリーの試合って雰囲気で大学生対高校生のような風格すら感じる圧勝。
簡単に言うと早く強く高く何より上手い。
試合見てため息…これは強い…。
…正直…二段上に感じる…。
流石の愛莉先輩もメンタル的なことしか言わない…もちろん気持ちで負けたら勝負にもならない。
部員チャットも早くボール回すとか粘り強く走力勝負に持ち込んで消耗戦に持ち込むしか無い…!って結論。
キャプテンは最後まで一言も発しなかった…。
早く寝てしまえ!と思いつつ今日の試合の興奮と明日に試合の不安でなかなか寝付けない。
思い出すことはチームの事や試合のこと。
ちょっと早く寝たから?承に久しぶりに会えたから?
…でも…見た夢はそのどれとも違ってた…。
☆ ☆ ☆
…。
…。
…介くん?
…宏介くん?
『皐月?』
皐月『なに?寝てたの?もう!デート中だよ?』
河川敷公園のベンチ…皐月のお弁当食べたウトウトしてた?
うふふ♪って皐月は笑う…
皐月『来週には…北翔高校で高校生だね?』
その頃の夢だ…。
『…そうだね。』
皐月『…まだ実感わかないけど一緒の高校に合格出来て良かったな。
理数系苦手な私を後押ししてくれてありがとう♪』
『…皐月が頑張ったからだよ。』
皐月『…高校生…中学生の頃とは違うよね?』
『…そうだね。』
皐月『やっぱりダメ?高校生になったら…もう少しだけイメチェンしたい…高校行って宏介くんが可愛い子に気持ちが動かないように…。』
皐月は黒髪を長く伸ばした綺麗な娘。メガネも似合うし目鼻立ちも整ってて…俺は今のままでいいって伝える。
図書委員を務めた印象そのまま…清楚で頑張り屋さんで真面目。そんな彼女だから俺は…!
それを伝える。実は何度かあった相談だった。
それでも俺は今が良いって断言した。
皐月『…そうかな?案外私…綺麗にイメチェン出来る気がするんだけどな…。』
まだ渋る皐月に…俺は照れながら皐月の良いところを挙げていく。
だんだん顔が赤くなっていく皐月。ある程度言うと…
皐月『もう!もうやめてー!照れて死んじゃうよー!
宏介くんのいじわる!
私だって!宏介くんの好きなところ!』
キャッキャ!じゃれあって…不意に顔が近いことに2人は気づく…。
そっと皐月が目を閉じて…
10日前に初キスして…あれから会うたびにしている…。
俺は皐月とキスをする。
そっと触れるようなキスの後、ついばむようなキス。
それから…唇をゆっくり重ねる。
皐月『もう!誤魔化して♪』
『…俺が誤魔化された気分だけどな。』
ふふ!はは!
皐月『いつまでも仲良しで居られると良いね?』
皐月の笑顔に俺は大きく頷き手を繋いで帰った…。
…。
…夢だよな。
あれから何度も夢を見る。
別れを切り出された夢、最後に会いに行って罵られた夢…でもそのどれよりも仲良かったころの皐月が、清楚な皐月がはにかんだ笑顔の夢が1番辛い…。
久しぶりに皐月に会ったからか?俺はなんとも言えない胸の疼きに悩まされる…。
復縁なんてあり得ない!
誰が!なんで!それは断言出来る!
…それでもなんでこんなに辛いんだろう?
いつもでは無いんだ。俺の心の奥底が皐月を忘れろよ!って言う、大体は。
そして時々、忘れちゃうの?あんなに皐月好きだったでしょ?って思い出させる。
多分どっちも俺の深層心理なんだろう。
俺は結局気分次第で忘れようとしたり、思い出したりしてしまう。
…前に進んでいるようで後ろへ進んでいる。そんな気にさせる。
…こういう時は承に会いたくなる…あの親友なら、なんか漢らしい勢いある言葉で俺の迷いや躊躇いを押し流してくれるんだ。
悩んでいるうちに俺はやっと眠くなる。
…。
…。
ジャンプ強パンチ(引き付けて)→立ち強パンチキャンセル→
望『昇竜拳!』
※強
承『うわぁ…うわぁ…。』
ダンダン!
Nozomi Win!
承が望にKOされてる夢を見た…。
二戦目も担ぎ上げられた承がイヤイヤするように抵抗するけど…
望が後頭部から叩き落としてKO!!
…スプラッシュマウンテンだね…!
ディズニーじゃ無いよ?格ゲーのバーチャ…!
…俺疲れてるのかな…?
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