第213話 ダメ男たちの晩餐

九頭『なんで俺がこんな目に…!』


ちょっと可愛いJCを校内で見かけて…ちょっとちょっかい出しただけなのに…!

九頭はひとり愚痴る。


ここは九頭の地元付近。国道沿いにある流行っていないボーリング場。

昼間っから高校生位のしかもあまり真っ当じゃ無い若者がたむろしている。

九頭は北翔高校を退学くびになってからしばらくは他校に編入の道を模索していたが事件を起こしての退学はなかなか他校に受けられがたいらしく何校か当たったが全てダメだった。


両親も今まで度々あった達雄の女性とのトラブルに匙を投げた。

両親からの提案は、



父『山奥の更生施設がある。

全寮制でほぼ高校じゃ無いんだけどほぼ高校と言って良い設備でそこを卒業すれば大検も取れる。

…大検取ってから卒業なのかな?

とにかく真人間になって帰ってこい。』


母『そんなところ…大丈夫なの?達雄ちゃん?』


冗談じゃ無い!そんなところ行きたく無い!

母も母!心配なら父を止めろよ!九頭は苛立つ。

父の最後の言葉にさらに耳を疑う。


父『そこは下界と完全に隔絶した学校。

絶対に問題児でも更生するらしい…!』


母『達雄ちゃん…あなた…!』


頼みの母まで中立になってはたまらない。そんなとこ行きたく無い!

最近は寝に家に帰る程度ですっかり九頭の生活は荒み切ってたいた。



ゲーセンもボーリングもすっかり飽きた。

あんなにハマったビリヤードも全然楽しく無い。

あんなに退屈だった学校がテニス部が懐かしい。


悪友『くずぅ!お前も来いって!うちのチームにさ!』


話しかけてくるのは同じ中学の同級生だった奴。

早々に高校をドロップアウトしたこいつと話してると何故か録画されててピンチになった。それもムカつく。

こいつは北翔高校に行ってた俺と今は同格と思ってるんだろう。

お前風情が?って思いつつも高校を退学した九頭とつるむ奴も居ない。


こんな奴…!九頭は心の中で蔑みつつも唯一と言っていい友人のこの男と昼間っからだらだら遊びつまらない毎日を送っていた…。

こいつの誘うチームは半グレ集団で札付きの悪が集うしょうもない集団。

窃盗、店舗荒らしに振込詐欺の受け子まで手広く悪事働くけどそんなに金回りも良く無いハイリスクローリターンの使い捨ての小悪党ども。

そんな使い潰される役目は真っ平だった。





その日帰ると待っていたのは両親の笑顔。


父『達雄!こないだ話したろう?

あの施設から達雄の受け入れ準備出来たって返事来たぞ!』


母『達雄ちゃんの為だから…!』


あの施設?

確かに大検は必要だろう。

このままじゃ最終学歴が高校退学になってしまう。

このままじゃ並以下の人生しか歩めない!

大検とって多少良い大学入って!可愛い女の子に囲まれてステイタスある彼女作って夢のキャンパスライフをおくるんだ!


…しかし…その為に山奥の全寮制の施設…。

九頭は哀願してみる。


九頭『そこじゃ無きゃダメ?俺反省しているよ。

家で勉強したりさ?塾で…大検取って大学受験は出来ない?』


父は厳しい顔で、


父『北翔高校だって高いお金を払って入学して…停学になって…留年しかけて…さらに女子中学生に掴み掛かって…お前の素行不良の不始末だ。

…それ以外も事件にはならなかったけど…心当たりあるだろ?』


九頭『でも!反省してるって!』


九頭は食い下がる。

このままじゃ監獄のような全寮制のとんでもないところ行き!


父『反省しているのなら行って証明しなさい。』



山奥?男子校?全寮制?

九頭はその禍々しい響きに寒気が止まらない!

女の子居ない世界じゃ生きていけない!


父『そこなら女性問題も起こしようが無い!

なんせ完全な男子校で全寮制!

相部屋で男同士のつながりを大事にする校風!

先生方も屈強なゴリゴリの熱ケツ…いや熱血教師揃いらしい!』


母『まあ…♡』


九頭『そんな…せめて共学…!

反省しているし、もう女性問題は引き起こさないから!』


父は少し呆れたように、


父『共学じゃまた女性問題引き起こすだろう?

反省してるなら、女性問題引き起こさないなら…卒業して帰っておいで?』


母『…達雄ちゃん!』


もうこんな所には居られない!

このままじゃ山奥の全寮制の男子校で女子が1人も居ない学校で男たちとくんずほぐれず…地獄のような…学校に入れられてしまう!




九頭はその日から家に戻らなくなった。

悪友の誘いを受け入れ、半グレ集団に入団意思を伝えた。


すぐに九頭の入団は許可されてトントン拍子に顔合わせの日になった…。

夜、カラオケルームの1番広いパーティルームに集う半グレたち!

遅めの夕飯を兼ねて食べ物もたくさん!


リーダー『今日は新入りの歓迎会だぜ!

2人とも自己紹介しろや?』


ふたり新人が入ったらしい。


九頭『山本?』


山本『…九頭か?』


あの頃、君付けで取り繕っていた日々より遥かに互いを近しく思える境遇同士…心細い環境で知り合いと再会…2人の距離が縮むのに時間はかからなかった…。



☆ ☆ ☆

九頭と山本が再会しましたw

元カノ同士はすっかり親友ですが(笑)


☆ ☆ ☆

九頭の学校名訂正しました!


あるも読者のコイビトスワップに出てくる学校名とほぼそっくりだった為です。


指摘されてあっ!ってなりました。

申し訳ありません!

代替案がモロすぎたので学校名無くしましたw

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