第205話 あだ名2

思ってもいない皐月との遭遇に寒気が止まらない…

まじで昔はあんなじゃ無かったのに…。

本当に怖い!なんであんな事しておいて上から目線で頑張ったね?今なら釣り合うよ!合格!みたいな態度なの?



そんな事思いながら教室へ入り席に着く。

田中くんが気にして笑い話しをしてくれる。

…朝HRまでまだ時間がある。


優木『宏介くんおっすー!』


『…おはよう。』


小佐田『おはよう、斉藤くん。』


隣の席の優木さんとその後の席の小佐田さんと挨拶。

席も近いし話す機会多いんだね。挨拶流れで少し話し込む。

田中くんと浩も一緒。


優木『そんな訳なんですー。』


なるほど…優木さんは明るい優等生。

小佐田さんが言葉足らずなのフォローしたり茶化したりする女の子。


朝HR前のガヤガヤした時間。

教室の反対側には永瀬さんグループが談笑中にまた五味が…



五味『もうじき中間だね?勉強進んでる?』


永瀬『…うん、大丈夫。』


五味『良かったら成績トップクラスの俺が教えてもいいよ?

勉強会とかどうかな?』


二宮『五味くんさぁ?私たちおしゃべりしてんじゃん?

じゃまー!』


にっこり笑う二宮さん…多分イラついてる。

こっわ!


そこに…


庶務『永瀬ー?生徒会の…ってお邪魔だった?』


五味にげんなりしてる永瀬さんに同じ2年の生徒会庶務の女子が用事でやってきた。

五味と永瀬さんを交互に見てニヤニヤし出す。


庶務『あー。永瀬も寂しくなっちゃったもんねー?

モテる女は辛いねー?』


五味『…本当に女も辛いのか…?』


五味はまだ引っかかってたらしい…。


永瀬『…そんなんじゃないもん。

何?用事?』


庶務女子はニヤニヤしながら茶化す様に五味を持ち上げる。


庶務『良いんじゃない?五味だっけ。

お似合いじゃーん♪』


二宮『は?』


二宮さんは食ってかかろうと、高橋さんはおろおろ。

でも1番に反応したのは五味だった。


五味『わかるー?わかるかー!

そうだよね!綾ちゃんに相応しいのは僕でしょー!

…ごめんね、君の気持ちは嬉しいけど目がぱっちりして無くて君の顔は好みじゃ無いんだよ…ごめん。』


ニコニコしながら五味は永瀬さんへ笑いかけたあと、庶務女子へ断りを入れた。

五味…いいのかそれで…。

顔を引き攣らせて庶務子は、庶務子で良いよね?



庶務子『…まじいらつく男だわ…

でも?永瀬にはピッタリっしょ?

今年は寂しいね?去年は言い寄ってくれるイケメン(笑)が3人も居たのにね?』


二宮『は?そんなんじゃ無いし?

あやだって迷惑してたんだよ?』


庶務子は笑いながら、



庶務子『だってー!差堀先輩は問題起こして推薦取り消しで浪人でしょ?

山本くんは実家が崩壊して、成績急降下で留年→退学!

九頭くんに至っては事件起こして退学でしょー?

この3人に比べて五味じゃ弱いか!』


五味『なにを?負けん!』


永瀬さんグループはそもそもこのクラスの中心で注目されがち。

皆んなが永瀬さんグループに絡む庶務子とさらにそれに巻き付くような五味を見ている、


庶務子『だからさー?永瀬知ってる?

あんた最近ダメ男ホイホイって呼ばれてるんだよ?

ウケるー!』


クラスで笑い声がする。

ダメ男ホイホイって響きが確かに面白い。

でも、それが永瀬さんに対する侮辱なら全然笑えない…!


庶務子は周りに語りかけるように、



庶務『だってさー?あんなに熱心に口説いてたイケメン(笑)…いやダメ男たち!

みんなダメ男だったじゃん!一年かけてそれが証明されてw

マジウケる!

それとも側に居たらダメ男になっちゃうのかな?』


キャハハ!って笑う庶務子に同調する奴も居る。

永瀬さんに言い寄ってた3人がダメ男だったのは異論が無い…でもあんまりでしょ!



二宮『…おまえ表でろ!』

高橋『にーちゃん!落ち着いてー!』


永瀬『いい加減に…』


『そんな事無いでしょ。』


目立ちたく無いのに…!

俺は口を挟んだ。

ゆっくり永瀬さんと庶務子の間に割り込みながらクラスに聞こえる様に語る…!


承だったらもっと序盤で割り込んだ。

女の子ひとり庇うため躊躇せずにクラスを敵にまわした。

俺にはあそこまで出来ない…それが承と俺の差…。

でも、承の様でありたい!


無口で目立ちたく無い俺だけど!


『…俺はそうは思わない。』


庶務子の目を見ながら、


『…俺、去年一年間永瀬さんの隣だったけども。

未経験で入った部活でレギュラー獲れて成績上がって特進クラスに入れた。

友達も増えて小遣い増額になって体調も良くなった。

文化祭で優秀クラスも獲れたし色々勉強会やお出かけ企画してくれた。

…永瀬さんはすごい。』


永瀬『…宏介きゅん…!』


…噛んだな…?



クラスメイトが口ぐちに…

『宏介くんが長セリフ!』

『斉藤くんの躍進の陰に永瀬さん効果?』

『宏介くん生徒会にも誘われてるもんね。』


目立ちたく無い…でも黙っても居られない。

俺の口出しに、



庶務子『別に私の主観じゃ無くて噂!

そんなあだ名付いてるよってだけ!

なによ!人を悪者みたいに!』


そう言いながら庶務子はプンプンしながら教室を去って行った。

席に戻り、HRが始まり1限目が始まる。

1限目が終わると永瀬さんがそっとやって来て。



永瀬『…宏介くん、さっきはありがとうね?』


『…あぁ。思った事言っただけ。

聞いてられなくて。』


永瀬『…宏介くんはそう思ってくれてるんだね?』


『…個人の感想です、効果には個人差があります。』


永瀬『もう!』


永瀬さんはニコニコしながら俺の肩をぽかぽか叩いた。

うふふ!って笑ったあと、



永瀬『ダメ男ホイホイって…結構ショック…。

…確かに昔からちょっとダメな感じの男の子に執着されがち。』


…一ノ瀬会長に聞いた事あるのは永瀬さんがフランクに距離近めに接して男側が好きになっちゃってアプローチすると永瀬さんはそんなつもりじゃ無かったって距離置かれるって。

…ダメな男はそこからむしろ踏み込んで行くから必然的にダメ男が口説いてる様に見えるって言ってた…。

ままならないよね…?

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