第202話 お使い昼休み

生徒会のお仕事を、永瀬さんのお使いの手伝いを頼まれた俺。

今は席が近く小佐田さんたちと良く話す為、グループがよく集まってると聞いている家庭科室へ向かった。


永瀬『…ふーん、小佐田さんの事詳しいんだね?』


永瀬さんは人の横腹を指で突っつく、止めて欲しい。

席が近いからね。そう答えるけどふーんって不満顔。

聞いてた家庭科室でノックして入室すると、



『ショートケーキは富士屋やろ!』

『はあ?コージーコーニャーっしょ?』

『シャントレーゼこそ至高!』


小佐田グループはモメていた。


優木『おっすー宏介くん♪』


隣の席の優木さんがニコニコやって来る。

優木さんも優等生女子っぽいんだけど高橋さんに比べると大分軽い。

優木さん?コレどうしたん?


優木『ケーキの事で口論中。恋ちゃん派閥!武闘派!インテリヤクザ!

みたいに言われるけど甘いものに目がない女子集団でもあってね?

恋ちゃんはイチゴが大好き!甘味と酸味と香りって言うけど本当は見た目可愛いから…。』


小佐田『優木ー?』


優木『本人はイチゴ好きってキャラじゃないって秘密にしてんの!

おっかしー!大体飲み物学校で買う時は購買でいちごオレ♡鉄板!

これ以上言うと怒られるからやめとくね?』


全部言ったんじゃないか?

小佐田さんこっわい顔してるし。


小佐田さんは赤くなりながらムスッとした顔で。


『斉藤くんと永瀬さん?どうしたん?』


永瀬さんは生徒会の要件来た事を伝える。

そして先日の調査に協力頂いた事の感謝と証拠品として提出頂いたノートパソコンを返却に来たと伝えた。


小佐田『教室に戻った時に返してくれればよかったのに。』


永瀬『早めに済ませたくって。ここにサイン頂戴。』


同中のふたりは少し軽口を挟みながらノーパソを渡し、受け取り、書類を取り出しサインしてて戻す。


永瀬『…最近宏介くんと仲良いね?』


小佐田『まあ席近いしね?』


永瀬『ふーん。彼氏居るのに小佐田さんらしくないね?』


小佐田『涼くん知ってるし、涼くんが困ってたら力になってって言ってるからね斉藤くんのこと。』


…言ってた。こないだ会った時に涼言ってた!

その時なぁ…。


小佐田『…斉藤くんはこないだデート中にばったり会って…一緒にお茶したもんね?』


小佐田さんの目が怖い…俺帰るって言ったんだよ?

でも涼がお茶付き合えよー!って…そん時の小佐田さんの笑顔が怖かった事!

永瀬さんは笑いながらも声を落として、



永瀬『まあ、涼くんと仲良くね?

同中のよしみで忠告しておくんだけど…

…デスクトップのフォルダ…タイトル…

『涼くんとのスウィートメモリー🍓』

は止めた方が良いよ?』


小佐田さんがわなわな震え出して、


小佐田『見たの?ねえ見たの?フォルダ見たのー?!』


見た事ないほど瞳孔開いた小佐田さんに掴み掛かられた!俺盾にされたんだね。

永瀬さんはニヨニヨしながら、


永瀬『借りたノーパソのフォルダ勝手に開けないよ!

でもタイトルでどんな甘々な写真フォルダなんだろ?って見ればわかっちゃうよ?

生徒会役員一同見てない事は誓約できる!早く返したのはそれもあってのこと!』

※涼と恋はいまだプラトニックなので見られて困る写真とかは無い…けどあまあま恋と涼のツーショットだらけw


小佐田さんは真っ赤になりながら崩れた…!


永瀬『じゃ、行くね?

小佐田さんありがとー♪』


『フルーチェはイチゴ味でしょぉ!』

『ブルーベリー!』

『ピーチっしょ!』


退出する頃までまだ仲間達は揉めていた。


…小佐田さんのグループってもっとクールな…もしくはダークな印象だったけど…彼女らも普通の女子高生なんだね…?


☆ ☆ ☆

次は…田中くんの居る映像研究会か…。

永瀬さんが思い出したように、


綾『宏介くん、清香に伝言あるから図書室寄っていい?』


俺が頷くと永瀬さんは行こ!って言い俺を追い立てる様に図書室へと向かった。


図書室に着く。

静かな室内。

大きなテーブルが何個もあり自習するもの、本を読むもの様々だが心地よい穏やかな雰囲気。

静かに流れるクラシック…他の生徒を邪魔しない様に…高橋さんは…?

すぐに見つかった。

けど。



浩『…。』

清香『…。』


静かな室内で皆の邪魔をしない様に浩と高橋さんはお互いの耳にそっと手を添えて何か一言二言話してはふたりで微笑んでいる…。

俺たちには気づいていないんだね、頻繁にこっそり話しては目を合わせて声を出さずに笑ってる。


永瀬さんも同じ様に声小さく、手でこっそり、


永瀬『…清香忙しそうだから直前に話すかロインで伝えるね…。』


こくんと頷くと俺たちは図書室を後にする。


綾『清香と浩くんいい感じだったね?』


『あぁ、そうだね。』


綾『こないだのアレ!効いたんだ!よかった!』



本当だよね。


綾『しかし、気付かなかった!

2人きり勉強会するまでとは…!

負けてられない!ね?宏介くん!』


『…浩も高橋さんも中間に準備万端だね、俺たちも勉強会する?』


まさか学校の昼休みも勉強会しているとは思わなかった…!

特進に入って意識変わったのかな?友達だけど学業においてはライバルだもんな。


綾『全然伝わってない!けどそう来る?勉強会する!』


永瀬さんはなんか葛藤があるみたいだったけど…高橋さんに負けてられない!ってぶつぶつ言いながらふたり勉強会が開催されることになった。



☆ ☆ ☆


『じゃ、最後に田中くんとこ。

映像研究会の部室だね。』


綾『や。行きたく無い…。』


あー。田中くんと永瀬さん仲良く無いもんな…。

俺返しておく?

ううん、仕事だし。


そんなやり取りしつつ部室棟の四階、映像研究会の部室へ着く。

…ここは結構な変わり者の巣窟だから…永瀬さん気をつけてね?

はい?


がちゃ、部室を開ける。


『お疲れ様さまです。』


部長『おー宏介くん…彼女付き?!』


え?!宏介くんの彼女?!

NTRの?どっちだよ?そんな声がする。


この野郎ども…!

映像研究会は本当に変わり者の集団。

俺はここにも籍がある。

だから去年もドキュメンタリー撮影したりしたでしょ。


綾『…彼女?…彼女…。

うん。聞こえがイイよ!』


永瀬さんがなにやらうんうん頷く。

そこに、


田中『違うから!宏介くんはフリー!フリーザ!』


『…だれが宇宙の帝王だよ…!』


田中『宏介くん!…なんでコイツ連れて来たの?』


永瀬さんは本当にやる気が無い言い方で…


永瀬『この度は…生徒会にご協力ありがとー。

お借りしてた?HDD?お返しします…。

えーと?田なんとかくん?』

※棒読み。


『…田なんとかくんって…『んと』が余計…!』


突っ込まざるを得ない…!


田中くんもコメカミビキビキで、


田中『お礼に来たの?ケンカ売りに来たの?』


永瀬さんは美人なだけに余計に煽り効果ある言い方で、


永瀬『ごめんなさい、なんかここまで出かかってるんだけど…?』


田中くんもキレそうになりながら、



田中『オレの名をいってみろぉおおお!!!』


北斗羅漢撃を使えそうなほどの激昂ぶりを見せる田中くんとツーンってソッポ向いてる永瀬さん。


水と油…。

永瀬さんが出した用紙にサラサラってサインするとふたりは目も合わせずに用紙とHDDを交換した。


田中『あ、宏介くん。

さっき康司くんが探してたよ?』


え?ロイン確認すると確かに俺を探してた。

永瀬さんにここで解散でいい?って確認すると、


綾『付き合うよ!教室かな?』


永瀬さんと一緒に歩くと目立ってしまう。

こんなに美人で明るく気さくな女の子。


そうこうしているうちに康司のクラスの3組に着く。

…居た。真面目に本読んでる…!

ハードカバーの厚い本を康司は真剣な表情で読み込んでいて。


浩も勉強会してたしみんな勉強熱心だね。

俺も頑張らないと…。


永瀬『…ね?宏介くん…驚かしてもいい?』


永瀬さんはうふふ!ってイタズラっぽい表情で企んだ。

…康司も永瀬さんファンなとこあるから喜ぶかな?


俺が前から近づきつつ…永瀬さんが後ろからこっそり近づき…!


永瀬『わ!!!』


康司『ヒャ!!』


康司が椅子から跳ねた!


康司『永瀬さん!宏介?なんだよびっくりしたよー!』


康司はやめろよなー?って笑いながら俺に肩パンした時、本が倒れた…!

本のカバーが外れて…


『現代バスケットボール戦術論』


『康司これ終わったら俺にも貸して?』


正直、康司は才能や天性の勘で動いてるって思ってた…!ちょっと感動すら感じる…!

実は女の子にモテる為のハウツー本でも読んでるかも?って思った自分が恥ずかしい!


少し3人でバスケ野話をした後、自分の教室に戻る…。


永瀬『宏介くん!今日は付き合ってくれてありがと!』


ニコニコ永瀬さんは輝く笑顔。


『なんか皆んなの色々な面も見れたから面白かったよ?』


笑いながら知らなかった事や意外な面の話しをしつつ、


永瀬『じゃ!近いうちに!勉強会しようね!』


こうしてお昼休みのお使い手伝いが終わった。

中間テスト前に永瀬さんと勉強会をすることになったんだ。



☆ ☆ ☆

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