第201話 届けものはなんですか?

田中くんに透って名前が付いた記念リクエスト回。

田中透の名付け親、@anotherbloodさん…あれ名前変わった?

透…名は体を現すwコメントで提案頂いてこれしか無い!って即採用させて頂いた経緯があります、本当にありがとうございます。


綾と宏介のとある昼休みのお話しはじまりはじまりー!


☆ ☆ ☆

5月下旬、ある昼休み。


今日は浩は図書室に用事があり、田中くんも映像研究会に所用があるって不在。

※浩は清香とこっそりふたりで勉強会です。

席が隣で最近一緒な事が多い小佐田さんと優木さんも不在。

俺はひとりで自分の席にぽつん。



(たまにのんびりするのもいいかな…。)


そう思って机で午後の授業まで居眠りでもしてようかな?

そんな昼のひと時を…!


綾『あー!宏介くん!

田中くんと小佐田さん知らない?


あとにいちゃん、清香知らない?』


少し息を荒げながら永瀬さんが登場。

永瀬さんほどの目を引く綺麗な子が急いで来たのか頬を紅潮させて目をキラキラさせながら教室へ入って来ると否が応でも目立つ。


二宮『…清香ご飯食べたら用事あるって出て行った…。あたし寂しー!』


抱きつこうとする二宮さんをあしらう永瀬さん。

学年トップクラスの美人ふたりが戯れ合う光景はまたクラスの注目を浴びる。


二宮『…たぶん?図書室っぽい。返却本持って行ってたし?一緒に迎えに行く?』


二宮さんはニッコニコ。

永瀬さんは頷き、俺にさっきのふたり知ってる?って繰り返し尋ねる。

あぁ、ふたりなら…口に出そうとすると、


五味『綾さん!何でも俺に聞いてください!』


…彼は五味くん。

同じ特進クラスのクラスメイトなんだけど…なんて言うか…クセが強い。

自分の学力成績に自信を持っていてそれがプライド。

俺は特進だ!が口癖なんだけどもここは特進クラスだから皆特進な訳で。

彼は俺を目の敵にしてるフシがある…絡んだ事無いんだけど…。

中肉中背とくに特筆すべき点は無いけど目つきが悪く被害妄想気味な男。



五味『綾さん!そんな無口で無表情な奴に話してもムダですよ!

俺が力に!』


綾『…名前で呼ばないで欲しいかな?

…あと、人探しなの。五味くんわからないでしょ?』


五味『あぁ!他人に興味無いんで!』


なんて意味無い会話…!

俺は多分わかるよ、何か用事?って聞くと、


二宮『あー!私用事出来たー!宏介くん♪綾をお願い!』


永瀬さんはニパ!って笑顔で、


永瀬『生徒会の…で預かり物とか今日中に返しておきたくって…!あと清香に担任の先生から言伝てが…長文面倒だし午後までに会えないかなって…ちょっと付き合って♪』


『…いいy『綾さん!俺が付き合います!』』


付き合うってワードに食いつく五味に顔を引き攣らせる永瀬さん。

二宮さんが、


二宮『宏介くんは一ノ瀬会長にも認められてるし、生徒会にも勧誘されてるから生徒会仕事のフォロー頼まれてんじゃん?

五味くんはあやを構いたいだけでしょ?今回は遠慮して?』


五味は俺を横目で見ながら、


五味『ちっ…。』


『…。』


なんだこいつ?

…しかし一年の経験がこういう男は触らないのが1番だと告げている、

俺は無視を決め込む。


五味はわざとらしい芝居かかった仕草、

わかってもらえないぜ…不遇な俺!って雰囲気を出しまくり。


五味『…好きな娘が素っ気なくても何か役に立てないか?って声をかけ続けてしまう…

…男は辛いよ…。』


…コイツに男語られたく無い…そう思ってハッキリ言ってやろうと口を出しかけた瞬間、



綾『女も辛いよ?』


永瀬さんの視線が真っ直ぐ五味くんを射抜く。


五味『…え?』


この反論を想定して無かったであろう五味は鳩が豆鉄砲食らった顔。ぽかん。


綾『女も辛いの。』


諭すように永瀬さんに、狐に摘まれたような五味。


五味『え?!女も辛いの?!』


綾『もういいや!行こ!』


俺は永瀬さんに袖引っ張られて連れ去られた!

驚く五味と笑い転げる二宮さんが見えた。


まったく意味が無いけどおかしな会話。

思い出すと…クスってくる。


『…女も辛いの?』


綾『辛いよ!男ばっか辛いよ!って主張する五味くんに一言物申したくなってしまってのことよ?』


急にお嬢様みたいな口調になった永瀬さんがコミカルで笑っちゃった。

俺と永瀬さんは笑いながら生徒会室へ向かった。



☆ ☆ ☆

一ノ瀬『済まないね?斉藤くんまで?』


綾『…仕事ですので。』


永瀬さんは一ノ瀬会長には塩対応だよね。

敢えて壁を作っているのかな?幼馴染だって聞いた。

…俺なら望みたいなもんでしょ?なあなあになるからかな?


永瀬さんはノートパソコンと外付けHDDを受け取る。


一ノ瀬『じゃ、綾ちゃんよろしくね?』


綾『名前で呼ばないでください!』


うわ!永瀬さんには珍しい!

永瀬さんが会長に怒るから俺は間に立ってとりなす!


一ノ瀬『斉藤くんは俺たちが兄妹みたいな幼馴染って知ってるから!

大丈夫!誤解は無いよ!』


『…わかるよ、俺にも妹みたいな子がいるもん。』


永瀬さんはなぜか不安そうに、


綾『新川の幼馴染の娘だよね…!』


『いつか会わせるよ。

来年入学するかも知れないし。』


永瀬さんはやっと笑顔に戻り、


綾『えー?女の子でしょー?』


『…昔は男の子みたいだったけどね?

カブトムシ捕まえたり、ザリガニ獲ったり、釣りに行ったり。』


そんな話しをしながら取り敢えず近くに居そうな小佐田さんを目掛けて小佐田グループがよく集まってると聞いている家庭科室へ向かった。



こんこん。


ノックして扉を開けると一斉に小佐田グループの女子がこっちを向く!

なんか口論中?



『ショートケーキは富士屋やろ!』

『はあ?コージーコーニャーっしょ?』

『シャントレーゼこそ至高!』



女の子が掴み合いしてる…なんなの?これ?





続く!



登場人物の一面を見る昼休みのおはなし。

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