第200話 中庭の4人

日奈子『…ナルホド…かくしてゆかり先輩はNTRれたのですね…。』


中庭で小佐田さんの話しを聞く俺たち…。

気付けば日奈子が眉間を押さえて端っこで聞いていた。

ゆかりさん知ってるの?


日奈子『あー…教室に居場所が無いノデお昼はここに居ますよ?』



不憫…。そんな浮いてんのか…。

…今はそれよりこっちの話しだけど。

…文化祭直前、キスして文化祭終わりまで会わないって宣言したゆかりさんは小佐田さん提案のクラスでのアミューズメント施設へお出かけで九頭に再会した。

…それは小佐田さんの引き合わせ。

元々九頭に告白するほど好きだったゆかりさんは数日であっという間に惹かれて…あのミスコンでの手のひら返し…。


思い出したく無い気持ちと懐かしい気持ち…痛いけど好きだった気持ちがまだある。

あの頃、俺とゆかりさんは…間違いなく惹かれ合ってて…発車寸前の電車で一瞬ホームに降りてキスしたり…毎日ロインして…

そんな半年ちょっとなのにもう昔の出来事のような思い出。

それを知ったから何が変わるとかは無い。

ただ…あの頃の胸に穴の空いた気持ちだけは一生忘れない。



小佐田さんは俺に頭を下げながら、


小佐田『…ゆかりっちはあのクズに会ってから…変わっちゃった。

…それまで斉藤くんの話しばっかりしていたのに…

私が仲介しちゃったから…。

クズに会った翌日からクズの話しばかりする様になって…。』



ゆかりさんはミス北翔になり全校で知らない人が居ない程人気者になったがその後は人が変わった様に謀反を起こそうとして追放されたり、ラブホ出入りを写真撮られて停学になったり、ミスコンのレギュレーション問題でミス一年に格下げになったりドキュメンタリーのダイエット協力が九頭じゃ無かったことが発覚したり、ミスコンの告白がやらせだったりで人気は急下降。

…今はしょうきにもどった!らしい…。



小佐田さんは呆れた様に、


小佐田『ゆかりっち…あの三島皐月とつるんでるんだよ…。

斉藤くんには不快かも知れないけど斉藤くんに迷惑かけないように釘は今も刺している。

…私はつい先日…またゆかりっちとは友達に戻った。』


そっか。



小佐田『私はあんなに頑張ってたゆかりに敬意を持ってた。

あんな優柔不断だった太った子が根性出してストイックに変わっていく、綺麗になっていくのを側で毎日見てて…

文化祭の目玉になれるクラスの為利用!から気付けばがんばれ!って気持ちになってた。

…でも…ゆかりはどんどんダメになっていった…どんどん自分に甘くなり、人にも甘えて…そしてぶくぶく太って九頭にまで突き放されて…。』



小佐田『前述の理由で九頭やゆかりの評判が悪くなった時に相談に来たゆかりっちに『九頭とゆかりは純愛!在学中は絶対別れない』って縛りを設けた。

それを広める事でゆかりっちや九頭がこれ以上白眼視されない為の処置。

…ゆかりと九頭が別れて頭がランブータンみたいになってるゆかりっちが斉藤くんに行かない為と…ゆかりっちが九頭に捨てられない為の縛り。

でもね、そんなんじゃ付き合っているていでも…心は…。』


ふうって息をつく小佐田さん。


小佐田『もちろんゆかりっちの自業自得だよ。

キスして告白予告までして手のひら返したゆかりっちが悪いよ。

でも、私が仲介してしまった!

良かれと思ってふたりを縛ったけどそれが余計にゆかりを傷付けた…。

私はゆかりに謝らなきゃいけない。』


縛りは在学中って条件だから九頭が退学するなら交際は終わるだろうし…。

小佐田さんは最後にそう締め括った。




『…そんな事があったんだ…。』


ちょっと頭が追いつかないけど…九頭の処分とゆかりさんの裏切りの裏に何があったか漠然とわかった。

…半年たったから受け止める事が出来た。



小佐田『…ゆかりっちは未だに、斉藤くんにかけて貰った言葉を大事にしているよ。

辛い時、苦しい時思い出す言葉が斉藤くんの言葉なんだって。

…合わせる顔が無いって言ってた。

…でも…いつか…ううん、私が口出しする事じゃ無いね?』


小佐田さんは優しく笑うと教室へ戻って行った。

…今の席は小佐田さんの友達の優木さんが隣で小佐田さんは斜め後ろ。

だから小佐田さんのグループと毎日の様に会話があり、付き合いがある。

小佐田さんは毎日そんな気持ちを抱えながら俺に接していたの?


日奈子『ヤクザガールは優しさを含んでいた…バファリン…?』


お前喋るな?


田中『小佐田さんも間に挟まれてたんだよね。』


田中くんが語るには小佐田さんは責任を感じて九頭を調べてたって。

ゆかりさんに相応しく無いって確信して断罪の機会を伺っていて…

※皐月も同意見でしたw


でも、相応しく無いクズだってわかってなお一層会わせてしまった罪悪感が出て苦しんでいたらしい。


『…誰も得しないし、悲しい結末だよな。』


結局九頭の退学をそう結論づける。

真面目に勉強や部活頑張るだけじゃダメだったんだろうか?

好きな娘居たらその娘だけ見てれば…。

誰か周りにそう言ってくれる奴居なかったのかな?

承が言ってたっけ。


承『言ってわかる奴は言わなくてもわかる!』


言ってわかってくれる奴は欠点や気になる事を自分で気づいたり修正出来る奴。逆に言うなら自分でわからない奴は何を言っても無駄だし絶対にわからないって事なんだろう。


九頭は…どうなるのか?

せめて人に迷惑かける事が無ければ良いけどな。


日奈子はイタズラっぽい笑顔で俺に尋ねる、


日奈子『宏介せんぱい?宏介先輩はこれからどうするんです?

手紙のこと調べるんです?』


『…一応大体わかったし愛莉先輩にこれ以上何か起こらないなら放置で。

もうじき中間テストだし、来月末にはいよいよインターハイの県予選が始まるからそっちに全力でしょ?』


日奈子『…テストも良い点…部活も絶好調…進⚪︎ゼミの小冊子みたいに充実した高校生活でスネ。』


日奈子は肩をすくめる。

こいつ帰国子女だからかこういう仕草が妙に似合う…。

試験と部活!特進に入って初回の試験と三年生にとって最後の大会!

どっちも近い!俺は気合いを入れ直して日々に臨む!




翌週 

九頭達雄 私立北翔高等学校退学。


望の元に顛末が告げられ、無事にそちらの事件も終熄を迎えたんだ…。

望は言った、


望『インガオホー!』

※因果応報。


☆ ☆ ☆

200話目でした!

九頭くん正式に退学!

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