第191話 無期限停学は仮処分

一ノ瀬『…厳罰を求められたんだけど…その立花さんってどんな女の子なのかな?』


『なんとも説明が難しいんです…。』


俺は説明に困った。

…悪様には言えない…でも…


『家族や友達思いの優しい娘です。

曲がった事が嫌いで真っ直ぐで熱い女の子…。

学業も優秀ですし、テニスで結果出してますが運動能力も抜群です。』



一ノ瀬『…良いお嬢さんなんだね?幼馴染って聞いてるよ。

そんな娘さんが厳罰を求める…よっぽど怖かったんだな…。

僕の方が本当は斉藤くんを訪ねようかと思っていたんだ。』


…望だからアレだけど…普通の女子中学生だったら怖いよね…。

先制は望って事だけは言えない…!

俺に用事?一ノ瀬先輩が?


一ノ瀬先輩はため息を吐いて少しだけ。他言無用の独り言だよ?って口にした。

俺は頷く。


日奈子『…。』


俺と一ノ瀬先輩の視線が日奈子に集まる。


日奈子『お構い無く…。』


日奈子に外で待つように告げるとしぶしぶ離席した。


一ノ瀬『うちの…北翔の無期限停学って処分ってより処遇を決める為の一時的な処分なんだ。』


『…。』


一ノ瀬『普通の停学は仕出かした事の質量で停学期間が決まり、その期間は登校も許されずに家で謹慎。

まあ反省文や課題の提出などが求められるよね。

…九頭くんは去年も停学を受けてるし。』


『…。』


一ノ瀬『本来は生徒の更生を願い、反省を促し、真っ当に学業に戻って欲しいって願いが学校側が温情をかける理由だよね。

…中にはそうもいかない生徒も居る。

北翔はまだ創立6年だけど過去に無期限停学者は九頭くんを入れて3名。

…先のふたりは最終的に退学になった。』


独り言に声挟めない。


一ノ瀬『教師も評価があり、トラブルを嫌う。自分の査定に響くから自分の管轄の生徒から留年、退学は避けたい。そういう動きもあるんだ。』


やっぱりか…日奈子分析もそんな事言ってたな。

でも先輩の言い方だと?


一ノ瀬『…そこで、この厳罰を求めるって被害者の訴えなんだ。

生徒会は本来生徒を守りべき組織で生徒の処分に関して一度たりとも厳罰側を後押しした事は無い。

…しかし、今回の事件だよ。

真面目に学業に励んだり、部活動に青春をかける生徒も居る。

…その圧倒的大多数の普通の生徒に迷惑をかけている生徒…。

外でナンパを繰り返して学校の印象を悪化させる。

飲酒を繰り返して、酔った女性を触ったり撮影していた形跡があった。

よって生徒会は発足以来初めて生徒の厳罰を学校側に申し出る。』


ふうってため息を吐く一ノ瀬先輩。

ファン多い訳だよ、男前。

…本当にロリコンなんだろうか?



一ノ瀬『九頭くんは去年停学処分を一度受けている。

成績も良くは無くて進級ギリギリだった。

…しかも、生徒の告発により様々な事件が出て来ている。

…小佐田さんと田中くん友達だよね?あ、独り言。』


俺は頷く。


一ノ瀬『…表だってはね?生徒の動揺を抑える為に何も出なかった。

…事になっている。

でも真っ黒なグレーなんだ。

きっと斉藤くんは小佐田さんや田中くんに聞くだろうけど今はふたりにも他言無用と釘刺してあるんだけどね。』



ふう。俺もため息が出る…!


一ノ瀬先輩はじゃ独り言終わるって言うと俺の目をまっすぐ見ながら、


一ノ瀬『…だから、昨日の新川中を訪ねた顧問教師方々から聞いてる。

立花望さんの希望で信頼して同席させたって斉藤くんに立花さんへの説明をお願いしたい。

無期限停学は決してうやむやにする処分じゃ無くって正しく事態を究明して然るべき処分をする前準備だと。

…九頭くんの処分が例えば『退学』など厳しくなったとしても立花望さんが自責の念に駆られたり、罪悪感を持たないように説明とフォローを斉藤くんにお願いしたい。この通り。』


一ノ瀬会長が頭を下げるのを急いで上げてもらう!


一ノ瀬『外部生徒とトラブルだよ?

しかもこっちが招待してトラブルにならないように承諾書などサインして貰った書類を持参頂いてうちの生徒が起こしたトラブルだよ。

教員の一部は波風立たないように収めたいって意識があるみたいだけどそうはいかない。

もちろん立花望さんには誠意ある対応を約束するよ。

斉藤くんもその辺フォローをお願い出来ると本当に助かる。』


特待生云々は夏の大会後の話しだろうけどこれで北翔が志望校から外されたくは無いんだ。

先輩は苦しそうだったけど…。


望は九頭がどんな処分だろうが気にしないだろうし自責?ないない。

むしろ手を叩いて、


望『インガオホー!あたしが直接裁くよぉ!』

※因果応報


とかやりかねない…まだ本性を知られるわけには…。


とにかく今回のトラブルをうやむやにせず確固たる処分がある事とそのフォローをする事を約束して望にその旨また説明に伺うからもし都合が合えば斉藤くんも同席か後でフォローをお願いされて俺は引き受けたんだ。

…北翔高校と妹のような望の為にも間に立つ事を決めた。


☆ ☆ ☆

話しを途中で切ったせいで九頭くんの処分が軽そうに見えた事お詫びします。

コメント欄が荒れ気味で仕事中見てあわわってなった(笑)

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