第180話 がんばったんだね【side三島皐月】
日奈子から聞いたから?
5月連休の初日、午後北翔高校へやって来た私とゆかり。
なんでも3校合同練習の試合らしくて?明日明後日は残りの2校で練習、試合をするらしい。
体育館の観戦ブースへ入る。
ゆかりと端っこで座って見てるけど前みたいに解説かって人が偉そうに解説してるわね。
私は聞き流すけどゆかりが真面目に聞いてる。
私はウォームアップしてるうちの高校…いや宏介を見てる。
昔なら絶対私の視線に気付いて手位振ってくれたんだけどな。
私が見てるのに気がつかない宏介に少し腹が立つ。
ゆかり『3校では真ん中って評価らしいよ?実績や近年の成績的に。』
『正直?スポーツよくわからないのよね?』
ゆかり『…わかる。』
※わからないことがわかるの意。
でも目の前のおじさんは熱く語ってる。
おじさん『今年は去年以上見込めるだろ?冬の県ベスト8以上!』
おじさん2『だがそれ以上は決勝リーグ…だろ?』
おじさん3『だが!一年にも良いのが入ってる!今年なら!』
※大学生のバスケ部OBたちです。
ふーん。
おじさん『差堀よりは今のキャプテンのが安定してるし、PGの斉藤も良い。』
宏介の名前が出て思わず、
『…宏介…斉藤くんは良い選手なんですか?』
聞いてしまった!
おじさん『うわ!
う、うん、背は低めだけど早いしパスは的確で早い。何よりインテリジェンスでクレバー。すっかりチームの司令塔だよ。まだ二年生だからね楽しみだよ!』
お礼を言ってまだ話したそうなおじさんから離れる。
『宏介評価されてるんだね。』
ゆかり『…ずっと頑張っていたもんね…。』
そうだよね、そうじゃなきゃ私と釣り合わないもんね…。
私と釣り合うために…私にダメ出しされてから頑張り続けていたのねって思うとちょっと見直しちゃうかもしれない。
ゆかり『…馬鹿な事考えてない?』
ゆかりも宏介褒められて嬉しそうだったけど私の横顔見てなんか気づいたみたい。
今は黙っておこう。
もし…私が宏介とヨリ戻したら…ゆかりは喜んでくれるかな?悲しむかな?
でも九頭がもし学校辞めるようならきちんと別れた方が良い。
別れるならキチンとした方がいいよ。
※自分も山本と宙ぶらりん状況です。別れ話保留されてるのでまだ付き合っている判定。
1試合目と3試合目が出番らしい。
早速第一試合!
宏介はスターティングメンバー!北翔がボール持つと宏介にボールが集まる!
宏介がボールを持つと北翔は目まぐるしく動き出す!
それに早いパス、自分でドリブル!切り込んでシュート!見ないで早いパスなど多彩なバリエーションで攻撃の指揮を取る宏介!
守備の際は最前線でボール持ってる向こうの司令塔の圧をかけ続け…ボール弾いて自分で持って行ってゴールは素人目にもわかる格好良さだった!
『きゃ!』
ゆかり『すごい!』
ゆかりと手を繋いではしゃいじゃう!
今の宏介だったら…もう一回…付き合ってイイ。
そう思っちゃうほどの活躍ぷり!見ててドキドキする…!
運動神経イイ奴がモテるなんて小学生かよ!って感じだけど宏介は特進だし良物件なんだよね。
よく見ると結構女子のオーディエンスも多い。
私は考える、いくら宏介だって男だもん。
女の子に言い寄られてちょっと可愛ければ付き合ってしまうかもしれない。
私にフラれて結構経つけど彼女居なかったみたいだし?
やっぱり私忘れられなかったんじゃ無い?
だって初めての彼女で初めてのキスの相手で…なんのかんの私もまだ意識しているんだからきっと向こうもそうだろう…そうに決まってるよね?
試合は北翔ペースのまま展開して行く。
2戦目もあるし選手はこまめに交代して居るけど宏介は変わらない!
そのまま第四Qで差がついた所で宏介は交代した。
試合は北翔の勝ち!
マネージャーなのかな?遠目でわかる巨乳の女マネージャーが媚びるように宏介にまとわりついている…何あれ?
ゆかり『…愛莉先輩は優しい良い人だよ。』
『どうだか。レギュラーだから面倒みてるんでしょ?』
『一年の頃から宏介くんを指導してたし、私もお世話になったの。
そういう事言わないで。』
『はいはい。世話になったなら挨拶すれば良いじゃ無い。』
ゆかり『…合わせる顔無いよ…。』
合わせる顔無いなら観に来なければ良いのに…でも私に付き合ってくれたんでしょ?
ゆかり大好きっ!
二試合目は他校同士の試合だった。
私は爪のお手入れを念入りにした。
ちなみに女子バスケ部も合同練習で遠征中らしい、興味無い。
三試合目が始まった!
また宏介はスターティングメンバー!
今度の相手…!宏介をめっちゃマークしてる!
卑怯じゃない?
宏介にピッタリひとり張り付いてるの。
男同士気持ち悪!近い近い!
でも宏介はひらりとかわしたり、仲間が邪魔して宏介フリーにしたり宏介は頑張ってかわしてる!
※スクリーンのことです。
でも第三Qには動きが鈍く…。
おじさん『マーク外すため動きすぎたな…。』
おじさん2『組み合わせ的にインターバルあるから言い訳にならないよ。』
おじさん3『本番でもやられるかもしれないしな。』
わかってるなら!どうにかならないの?
宏介はその後精彩を欠き下がった…。
第四Qの半ばから出て来て…休んで元気出たのかまた活躍!
さっきと違って早くパス出したり、あまりボール持たないプレイで攻撃の指揮をとる!
宏介は僅差で北翔を勝利へ導いた!やった!
ゆかり『すごかったね!』
『ね?さすが宏介!』
ちょっと宏介を見てるとドキドキする…。
やっぱり…この思いは…。
どうしよう…一回話してみようかな?
宏介だってきっと望んでいるはず…。
二試合とも勝ってきっと機嫌だっていいはず…。
おめでとう、二試合とも大活躍だったね?見てたよ?
こんな感じで…優しく微笑みながら…
私は宏介を体育館裏で待ち伏せる事にした。
ゆかりにはすぐ戻るって言って抜け出て来た…。
少しだけ!ここで決めない、ここで印象付けて関係を修復?正常に…。
来た!ちょうど宏介ひとり!
後ろ振り返って…!宏介!って驚いて…
背に集中!タイミングあわせる!
だっ!!!すごい勢いで横を駆け抜けて背中しか見えない宏介!
待って!宏介はあっという間に走り去って行った…。
多分私のこと気づいていない?皐月だよ?
直接話しかけようとした事ゆかりにバレるとおこられるから黙って何事も無かったように帰る。
宏介は部活でも勉強でも結果だして評価が上がっている。
…でも…やっぱり宏介格好良かったな…そう思いながら帰途に着いた。
昔と同じような胸のざわつきがあるのを感じた。
※本編クロス回で宏介は承と釣りキャンプ行くのに大急ぎで帰りましたw
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